マツシモ・ファラオ

2021年3月29日 (月)

マッシモ・ファラオ Massimo Faraò 「Nuovo Cinema Paradiso」

ジャジィーな演奏に期待しないで、ポピュラー的演奏で
・・・エンニオ・モリコーネをトリビュート

<Jazz>

Massimo Faraò 「Nuovo Cinema Paradiso」
~ tribute to Ennio Morricone
Venus Records / JPN / VHCD1286 / 2021

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MASSIMO FARAO マッシモ・ファラオ (PIANO)
DAVIDE PALLADIN ダヴィデ・パラディン (GUITAR #1-6,8,9,12)
NICOLA BARBON ニコラ・バルボン (BASS)
BOBO FACCHINETTI ボボ・ファッキネネィック (DRUMS)
CESARE MECCA (TRUMPET #12)

Recorded at Riverside Studio in Torino on July 21&22,2020

Engineered by Alessandro Taricco
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara
Produced by Tetsuo Hara

Enniomorriconew  イタリアのジャズ・ピアニスト、マッシモ・ファラオが、マカロニ・ウェスタンで人気を上げたイタリア映画音楽の巨匠、エンニオ・モリコーネ(1928-2020)(→)の名曲を、シネマ・ジャズに仕立て上げたアルバム。もともとあまり欧州独特の味というのは無く、又Venusレコードというところで、興味もそれ程無かったピアニストだが、今回のこのエンニオ・モリコーネを取上げたと言うことで、なかなか興味をそそるのも上手というか、商業的にもうまいというか、そんなところに操られて手にしたアルバムである。

(Tracklist)

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  やはり思った通りの一通り演奏しましたという感じの出来だ。いつも思うのだが、彼の演奏にユーロ・ジャズの味がどうも感じない。Venus Records との連携の結果であろうか、今回のように一人の作曲者に絞っているので、その対象が何を描きたかったかというところにほんとに踏み込んで演奏しているのかと、ちょっと疑いぽくなってしまう。作品という感じがしないのだ。

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 ここで前回取上げたマッシモ・ファラオ・トリオのアルバムは、ストリングス・オーケストラとの共演の『Like An Elegant Wine』(VHCD1278/2020)であったが、あれも変化というモノが無く、ポピュラー演奏版といった感じであった。今回もとにかく一通り演奏しました聴いてくださいというアルバムで、ジヤズの面白さというところがあまり感じないアルバムなのである。

 そしてこのアルバムの特徴は、トリオにギターを加えたところだが、それもピアノと交互に旋律を奏でるという手法であまり面白くない。ジャズ・ミュージシャンとしてのアドリブや展開の色づけというところでは、ちょっとそのあたりが見えたのがM2."Il Buono Il Brutto Il Cattivo 続・夕陽のガンマン"であった。
 まあ、ポピュラー音楽的に、多くの誰にも聴けるというところを狙っての刺激の無い演奏というところではこれで良いのかも知れない。
 私が期待したM3."Gabriel's Oboe"、M5."C'era Una Vilta Il West"では、単に旋律をたどった演奏。そしてM10."Playing Love"の「海の上のピアニスト」のテーマ曲、これもあの哀感がもっとあって欲しかった。
  いずれにしても映画音楽であるので、もう少し遊び心の展開と、叙情的なジャズ・アレンジが欲しかったと思うのである。しかしこれは単なる私の希望であって、これはこれで"聴きやすさで良し"とするところもあるのだろうと、取り敢えずVenusレコードの希望に添ったものだったのかもと思うのであった。

(評価)
□ 編曲・演奏   75/100
□ 録音      83/100

(試聴)   このアルバム関係が見当たらないので、参考までに・・・

 

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2020年8月24日 (月)

マッシモ・ファラオ・トリオ Massimo Faraò Trio 「Like An Elegant Wine」

ストリングス・オーケストラをバックに、あくまでも優雅に美しく


<Jazz>

Massimo Faraò Trio, Accademia Arrigoni's Strings Orchestra
「Like An Elegant Wine エレガントなワインのように」
VENUS RECORDS / JPN / VHCD-1278 / 2020

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マッシモ・ファラオ MASSIMO FARAO (piano)
ニコラ・バルボン NICOLA BARBON (bass)
ボボ・ファッキネネィック BOBO FACCHINETTI (drums)

with Accademia Arrigoni's Strings Orchestra
Conducted by Bill Cunliffe

2020年2月15日,16日 Magister Recording Area Studios,Preganziol,Italy 録音
Sound Engineers Andrea Valfre’ and Alessandro Taricco
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara
Produced by Tetsuo Hara

  このところ Venus Records の看板になりつつあるあのイタリアのピアニスト・マッシモ・ファラオ( 1965- )が、とにかく美しく優美にと、繊細にしてメロデックな演奏を、ストリングス・オーケストラをバックに優しく演ずるアルバムの登場。

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(Tracklist)

1.ラブ・ケイム・オン・スティールシー・フィンガース
2.Io Che Amo Solo Te 君だけを愛して
3.オールダー・マン・イズ・ライク・アン・エレガント・ワイン
4.Days Of Wine And Roses 酒とバラの日々
5.ホエン・サマー・カムズ
6.ニアネス・オブ・ユー
7.ティズ・オータム
8.イージー・リビング
9.スプリング・ウィル・ビー・ア・リトル・レイト・ディス・イヤー

 とにかく全編優美なストリングス・オーケストラとマッシモ・ファラオ・トリオが輪をかけて優美に演奏するアルバム。そんな訳でジャズ感覚は少なく、ポピュラー・ミュージック感覚で聴いてゆくアルバムだ。
 とにかく、あのジャズの'50-'60年代の典型的なハード・バッブ・スタイルを継承するがごとくのマッシモ・ファラオのピアノ演奏も、ここではただただメロディーの美しさに絞っての演奏である。そんなために曲M1、M2、M3と、私には殆ど同じ曲の流れかと思うぐらいに変化は無くただただ美しいのである。
 M4."酒とバラの日々" になってヘンリー・マンシーニーの耳慣れた曲が現れて、成る程こんな具合に仕上げるのかと、その優美さの引き出しに納得してしまうのだ。続くM5."When Summer Comes" なんかは、オスカー・ピータンソンの美的ピアノを更に美しくといった世界に溺れてしまう。
 その後も、全く変化無しに映画音楽などを取上げて、全編ピアノの音も美しく、ベース、ドラムス陣もこれといっての特徴も出すところもなくストリナグスに押されて流れて言ってしまう。
 時には、こうした疲れないバックグラウンド・ミュージック的な世界も良いのかなぁーと思いながら聴いてしまったアルバムだった。それにしても途中で一つぐらいは暴れて欲しかったが、いやいやそれをしないで通したマッシモに取り敢えず敬意を表しておく。

(評価)
□ 演奏 :    85/100
□   録音 :    85/100

(視聴)    関連映像がないので・・・参考までにトリオ演奏を

 

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2020年1月 1日 (水)

アレキサンドラ・シャキナ Alexandra Shakina 「MOOD INDIGO」

Dsc03261trsw 謹賀新年  

2020年元旦
今年もよろしくお願いします。

 

 

 

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                        (ナナカマド)

 さて元旦早々何からスタートしようか考えましたが、やはりシャズ・ヴォーカル界は完全に女性ヴォーカルの天下、従って2019年リリースの注目株からスタートとします。

  ロシアの歌姫の相変わらずの低音の魅力で2ndアルバム登場

<Jazz>
Alexandra Shakina 「MOOD INDIGO」
Venus Records / JPN / VHCD-1267 / 2019

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Alexandra Shakina (VOCALS)
Massimo Farao (PIANO)
Nicola Barbon (BASS)
Gianni Cazzola (DRUMS)

2019年1月21日,22日 Riverside Studio Torino Italy 録音

Produced by Tetsuo Hara
Engineered by Alessandro Taricco
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara
Photography by VictoriaNnazarova
Designed by Artplan

  ロシアの歌姫アレキサンドラ・シャキナの第二弾。ロマンチックなハスキー・ヴォイスと言われているが、ハスキーというよりは低音に重量感のある歌声で訴えてくる。アルバム・デビューは2018年で、まだニュー・フェースに近いが、なかなかの学歴と経験の持ち主で教壇にも立っているようで、所謂若者ではなさそう。

91akeo3vbl_ss500_  今作も、以前ここで取り上げた前アルバムの1st『All The Way』(2018年)(→)と全く変わらないスタイルでのロマンチックなスタンダード曲集である。
 実はVenus Records と言うことで、少々尻込みするのだが、この彼女のヴォーカル・アルバムは前作以来、かなりの実力のあるヴォーカリストとして実は一目置いている。とにかく曲の内容をしっかり歌い込んでくるテクニックも素晴らしく、訴える力も大きい。おそらくロシア出身とはいえ、自由主義圏での学んだ成果が出ているのではと思うところだ。
  バックは女性ヴォーカルを支えるに手慣れている前作同様マッシモ・ファラオ・トリオである。このトリオはイタリアにしてはアメリカ的ジャズが得意で、私はそれ程思い入れは無かったが、過去にここで二度ほど取り上げている。そして録音はイタリアに於けるものであり、明らかにこれはロシアとの関係では無く、イタリア産とみてよいと思う。

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1.エスターテ
2.アイ・クッド・ハブ・トールド・ユー
3.ロマンチックじゃない?
4.レッツ・フェイス・ザ・ミュージック・アンド・ダンス
5.ラブ・ユー・マッドリー
6.ムード・インディゴ
7.オンリー・トラスト・ユア・ハート
8.スリーピン・ビー
9.テイク・ラブ・イージー
10.ユー・アー・ザ・トップ
11.カムズ・ラブ
12.アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー
13.あなたを想いて

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 スタートはマルティーノの私の好きな曲M1."ESTATE"だ。これで新年冒頭のアルバムとして選んだとう事もあるかも。これが又従来聴く多くのシンガーとは全くイメージの違う太く豊かな低音で迫ってくるところが凄い。そして歌が上手い。
  M2."I Could Have Told You " 、M3."Isn't It Romantic" かなり昔の2曲、こうゆうのを選んでゆったりと情感込めてクールに歌われる様は説得力十分。
 アルバム・タイトル曲M6."Mood Indigo" は、デューク・エリントンの曲で、スローにブルージィーにアメリカン・ムードに仕上げているが、マッシモ・ファラオのピアノがしっとり聴かせるにピッタリのヴォーカルが乗っていい仕上げ。もともとファラオはアメリカン・ジャズ・ムードが得意としているので、M8."A Sleepin Bee"でもスウィング・ジャズを立派に演じている。
 M11."Comes Love"は、なんとベースとのデュオで歌い上げる。こうしたはスタイルはアカペラに近いので歌唱力に自信のある証拠だし、そんな実力を十分発揮だ。
 M12."I'm A Fool To Want You " はビリー・ホリデイーがしっとりきかせてくれた曲で、如何に歌い上げるか注目曲。ここにも彼女なりきの世界が十分感じられていい仕上げだ。

 古きアメリカン・ジャズ・ヴォーカルをファラオのピアノ・トリオをバックにオーソドックスに挑戦したアルバム。そこには立派に歌唱力の実力を示し、ジャケにみる顔立ちからは想像も出来ない魅力的重量級のヴォーカルが全編に満ちている。これはまだまだ続編の出そうな雰囲気を感ずるところであった。評価は並以上とする。

(評価)
□ 選曲・歌唱力  ★★★★☆  85/100
□ 録音      ★★★★☆  85/100

(参考視聴)

 

 

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2018年11月13日 (火)

アレキサンドラ・シャキナAlexandra shakina「All The Way」

なんと言っても、中低音の魅力が・・・・・・

<Jazz>
Alexandra shakina「All The Way」
Venus Records / JPN / VHCD-1239 / 2018


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Alexandra Shakina (VOCALS)
Massimo Farao (PIANO)
Aldo Zunino (BASS)
Ruben Bellavia (DRUMS)

 

Recorded at Riverside Studio in Torino on April 5&6, 2018
Produced by Tetsuo Hara
Engineered by Alessandro Taricco
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara

 

   全く知らなかった女性ヴォーカリスト、そしてVenusレコードときたので、若干尻込みしがちな私ですが、美女狩りを得意とする友人からの勧めで聴いたアルバムである。
   アレキサンドラ・シャキナAlexandra Shakina は、ロシアのジャズ・シンガーだがこれがデビュー・アルバムのようだ。彼女に関しては現在のところ情報も少なく詳しいことは解らないのだが、とにかく宣伝では”妖艶なハスキー・ヴォイスが魅力的な本格的ヴォーカリスト”ということになっている。
 更にそこまでの流れも解らないが、このアルバムはトリノにての録音であり、バックの演奏は近頃も取りあげたマッシモ・ファラオ・トリオMassimo Farao' Trioが努めていて、どうもイタリアでの活動であるのかと思うのである。
 しかしイタリアと言ってもマッシモ・ファラオ・トリオの特徴であるアメリカン・ジャズ・ムードも上手に描いており、取り敢えずは立派なジャズ・ヴォーカル・アルバムに仕上がっている。
 
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01.All The Way (J. Van Heusen)オール・ザ・ウェイ
02.Let Me Love You (H. Bart) レット・ミー・ラブ・ユー
03.Get Out Of Town (C. Porter)  ゲット・アウト・オブ・タウン
04.Dedicated To You (Cahn, Chaplin, Zaret) デディケイテッド・トゥ・ユー
05.I Concentrate On You (C. Porter)  あなたに夢中
06.Weaver Of Dreams (V. Young) 夢織人
07.I’m Just Lucky So And So (D. Ellington) アイム・ジャスト・ラッキー・ソー・アンド・ソー
08.That Old Black Magic (H. Arlen) ザット・オールド・ブラック・マジック
09.Come Fly With Me (J. Van Heusen)  カム・フライ・ウィズ・ミー
10.Where Or When (R. Rodgers)何時か何処かで

 

 いずれにしても、ポイントである彼女の声の質はちょっとジャケの顔の印象とは異なって、低音の重量感というところだろう。とにかく中低音部に魅了する厚みがあり、これを生かしてのこれからへの展望も持っている。
 M10."Where Or When"などのように、彼女向きの独特な編曲もなされており、 この点は取り敢えず合格点だ。
 唄う曲はスタンダードものというところであり、ほぼ一般ジャズ・ヴォーカル・アルバムとして捕らえてよい。そして全体的に曲仕上げはマッシモ・ファラオ・トリオの流れで有り、ジャズとしては最も一般的な、言いようによっては特徴のあまりない世界に納まっている。

 Venus Recordもかなり意欲的にこのアレキサンドラ・シャキナに取り組んでいて、このアルバムの売れようによっては、彼女のヴォーカルものは今後立て続けにリリースされてくる可能性も秘めている。取り敢えずは期待株としておこう。

 

(評価)
□ 歌唱・演奏 ★★★★☆
□ 録音     ★★★★☆

(My Image Photo)

 

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初冬の花・石蕗   Nikon D800,  Lensbaby

(視聴)

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2018年8月30日 (木)

マッシモ・ファラオMassimo Farao' Trio 「AUTUMN LEAVES」

とにかくロマンティックな明るさの軽装ジャズ

 

<Jazz>
Massimo Farao' Trio 「AUTUMN LEAVES」
Venus Records / JPN / VHCD-78297 / 2015

 

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Massimo Farao (p)
Aldo Zunino (b)
Marco Tolotti (ds)
Recorded at  Pianopiano Studios in Torino ITALY on Feb. 11,12and13,2014
Produced by Tetsuo Hara
Sound Engineer by Alessandro Taricco
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara

 

 今まで、世間の話からあまり気にとめておかなかったイタリアのこのマッシモ・ファラオ・トリオMassimo Farao' Trio だが、先日取り敢えずはクラシックを題材にしたジャズ・ニュー・アルバム『MOLDOU plays classics』 (VHCD-1242)のリリースがあり聴く機会があった。
 聴いた結果は、早い話がピアノ・スウィング・ジャズの肩の凝らない演奏といったものであり、イタリアものとしては珍しいように思ったのだ。かってからの評判は、”あまりのポピュラーな世界で面白みに若干欠ける”といったところにあり、それは如何なるものかと、更にもう少し聴いてみようと、近くはこのVenus Recordsから2015年のアルバムが手っ取り早いので聴いてみたという話である。

 

 このアルバムは、スタンダードの聴き慣れたもののオンパレードということで、あまり毒にもならないだろう(御免なさい)と言ったところの内容だ。よく見てみるとお相手のトリオ・メンバーは異なっていて、マッシモ・ファラオがその都度やりたいことによって集めているメンバーなんだろうと思う。

 

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1. コルコバード
2. エスターテ
3. トゥ・イーチ・ヒズ・オウン
4. ロシュフォールの恋人たち
5. いつか王子様が
6. 危険な関係のブルース
7. チーク・トゥ・チーク
8. アローン・トゥゲザー
9. 枯葉
10. アイ・ソウト・アバウト・ユー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オープニングのジョビンのM1. "コルコバード"からボサノバのリズムをピアノで軽いタッチで流して、ムードは悪くない。中盤もベースを主体に構成したりするが、結構重さが無くてこれはこれで納得。
  そして2曲目はイタリアから"エスターテ"、なるほどマッシモ・ファラオという人は決して暗くしないでの味を求める、ピアノの流れも快感でそれが彼の信条なのかも知れない。ここまでは私は今回のニュー・アルバム『MOLDOU』(VHCD-1242)よりはこちらに軍配を挙げる。
 M3."トゥ・イーチ・ヒズ・オウン"これはまあよき時代のアメリカン・ジャズ・タッチ。バックグラウンド・ミュージックに最適という世界。

 

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  M4."ロシュフォールの恋人たち"、あれっこんな哀愁感の曲も選ぶのか?、とちょっと不思議な感覚にもなった。実はこの世界は私は好きなんですね。この線で流れてくれれば、マッシモに私は誘惑されてしまいそうだが。
 M5、M6、M7、M8とスタンダードそのものの曲が並ぶ。 演奏もスゥイング・ジャズ・スタンダード。特に気にするところも無く、あまり聴き込む焦点は感じなかった。
 M9."枯葉"、これはアルバム・タイトル曲、ややスローにピアノ・メロディーを中心に編曲、アドリブを加えて取り敢えず力作。相変わらず聴きやすい。もう少し強弱余韻という演奏法はないのだろうか。大きな感動といったとこには至らない。
 M10."アイ・ソウト・アバウト・ユー "マッシモのクラシカルな演奏ジャズの典型。

 宣伝紹介では「マッシモの魅力であるロマンティックなメロディーの表現と幸福感溢れるスインギン・ピアノが楽しめる、華麗なるジャズ・ピアノ・トリオの名品」となっているが、ここに「癖の無い万人向けジャズ」と言ったら良いのではと、一言付け加えるのである。
 選ぶとしたらM4."Chanson De Maxenceロシュフォールの恋人たち"

(評価)
□演奏 : ★★★★☆
□録音 : ★★★★☆

 

(視聴)

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2018年8月24日 (金)

マッシモ・ファラオ・トリオMassimo Farao' Trio のニュー・アルバム「MOLDAU play classics」

クラシックを取りあげてのスウィング基調のお気軽ジャズ
~ちょっと拍子抜けのところもあるけれどね

 

<Jazz>

 

Massimo Farao' Trio 「MOLDAU play classics」
VENUS Records / JPN / VHCD-1242 / 2018


Moldau

MASSIMO FARAO マッシモ・ファラオ (PIANO)
NICOLA BARBON ニコラ・バルボン (BASS)
RUBEN BELLAVIA ルーべン・ベラヴィア (DRUMS)

Recorded at RIVERSIDE STUDIO,TORINO, ITALY on Novenber 7 & 8, 2017
Produced by Tetsuo Hara
Engineered by Alessandro Taricco
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara

 

Foto_1522216430 とにかくイタリアには、ジャズ・ピアノを聴かせる名プレイヤーが軒並み連ねていて、飽きるところが無い。さすがバロックを作り上げた音楽の国民性がしっかりと生きているんだなぁ~~と、あのがさつと思われるイタリア男には、頭が下がる思いである。
 そんな中で、それなりの実績をしっかりと積み上げてきたマッシモ・ファラオMassimo Farao' (1965年生まれ) のニュー・アルバムである。それがなんと私の場合は殆ど接点無しで来たプレイヤーである。何故かって、あまり面白みが感じられなかったというのが偽わざるところ。しかし今回はあの何かとお騒がわせなVENUSレコードからの第3弾であるこのアルバムにクラシックの臭いから手を付けてみたというところ。

 

 これは、マッシモ・ファラオがオーソドックスなピアノ・トリオで、超有名なクラシク曲をメロディックにロマンティックに、ジャズのスウィングを十分効かせて演奏したというところなのだ。

 

List

1 ソナタ第8番 悲愴 (ベートーベン)
2 マズルカ (ショパン)
3 ノクターン 夜想曲 (ショパン)
4 エリーゼのために (ベートーベン)
5 ソルベーグの唄 (グリーク)
6 アヴェ・マリア (グノー)
7 愛の夢 (リスト)
8 アンダンテ 交響曲第3番 (ブラームス)
9 ピアノ・ソナタ (モーツアルト)
10 白鳥の湖 (チャイコフスキー )
11 モルダウ (ドボルザーク)
12 アダージョ(アルビノーニ )

 

 なんとなんと冒頭のM1."悲愴"から、哀切なメロディーをピアノでなぞりながらのスウィングしての曲展開なのだ。私はどんなにか哀愁のバラードかと期待したんですが、ちょっと空しい。でも立派にスウングする演奏から、これこそジャズだと喝采を浴びせる人もいるのだろうなぁ~~と思うところ。
  そして続くM2,M3と相変わらずスウィングは止まるところを知らない。 "夜想曲"までスウィング展開、更に"エリーゼのために"は快調なリズム展開でまさかの異色ムード。あまりにも有名なクラシック曲であるので、原曲のなぞりでは面白くないのは解るのだが、いやはやここまでくると昔の酒場のバックグラウンド・ミュージックだ。

 まあそれがジャズだと言えば、そうなんですが、今時のユーロ・ジャズとしては私としてはどこか哀愁の世界とか、なんとなく思索的な思わせの世界とか・・・どこか芸術的な臭いがするなんて大それたところに期待してしまうのですが。

 

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 それでもようやくM5."ソルベーグの唄"になって、原曲のムードが演じられてきた(原曲のムードを演ずるが良いとは言っているわけではない)。そしてM6." アヴェ・マリア "になって、これも原曲通りのスロー展開ではあるが、その中にジャズらしいピアノ・タッチが見事で、やっとこのアルバムを聴いた意義が感じられたという始末。
 M7." 愛の夢"、M8."アンダンテ 交響曲第3番"は、スローでムーディーな演奏でスタート、中判にスウィングするという手法。このほうが味があろうかと思うところなのだが。
 なんと言っても、私の興味はM12."アルビノーニのアダージョ"に実はあったのですが、うーん最後に来てようやく納得のユーロ・ジャズ世界を聴かせてくれた。もともと曲が好きなので何処までその世界をジャズ化してくれるかが楽しみだった。これはピアノ・メロディー編曲からインプロも適度に効いて、ようやくピアノの音の余韻の中にドラムスの展開も存在感があって聴く気分も充実できた。

 

 トータルに判断して、けっして裏切りのアルバムではない。とにかく万人向きのスウィング・ジャズを基調にした世界である。とにかく聴きやすいく難しさが全く感じられないアルバムだ。これがジャズだと言う人もいるのだろう、まあVENUSレコードですから(ジャケはそれらしくないですけど)難しい事は抜きで気楽に聴きましょう。
 推薦ナンバー1は、M12."アルビノーニのアダージョ"だ。

 

(評価)
□演奏 ★★★★☆
□録音 ★★★★☆

(参考視聴)

 

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