マッツ・アイレットセン

2021年10月18日 (月)

マッツ・アイレットセン Mats Eilertsen Trio 「Sails Set」/ Yasukuni Terashima Presents「For Jazz Audio Fans Only Vol.14」

ヤン・エリック・コングスハウクの名録音に一つの焦点

<Jazz>

Yasukuni Terashima Presents「For Jazz Audio Fans Only Vol.14」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1099 / 2021

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「ジャズは音で聴け!」をモットーに、全てのオーディオファン/ジャズファンに捧ぐ寺島レコードの定番、人気コンピレーション第14弾!!・・・・と、言うことで今年もリリースされているこの寺島靖国の選曲によるオーディオを意識したジャズ曲集、ピアノ・トリオを中心として、ユーロ系が多いが私の好みとはかなりの共通点があるので、新たな発見がと、期待して今年も楽しみながら聴いているのである。

(Tracklist)

1.Orbiting [Mats Eilertsen Trio]
2.Due Passi Nel Mare [Alboran Trio]
3.Pool Boy - Swim IV [Florian Ross Trio]
4.Ragtime [Audun Trio]
5.Les Sebots [Adrian Frey Trio]
6.How Deep Is The Ocean [Giovanni Mazzarino Quartet]
7.Evanescence I [Casimir Liberski]
8.Fiery [Peedu Kass]
9.End of September [Tim Allhoff Trio]
10.Nardissism [Olga Konkova Trio]
11.Norr [Tingvall Trio]
12.I Fall in Love Too Easily [Peter Rozsnyoi Trio]

 2008年以来のこのシリーズ、今回は、以上の12曲、12の演奏者の紹介となっているが、私の所持しているアルバムでは4枚が取上げられていた。いずれも好録音であると同時に演奏に魅力のあるもので、私も納得している。
 その他では、私の未聴のものものも素晴らしく、冒頭のMats Eilertsen Trioは2019年にECMアルバム『And Then Comes The Night』(ECM2619)をここで紹介したことがあったが、この曲"Orbiting"の収録されているのは、それより前の2013年のアルバム『Sails Set』で、その内容は極めて興味深かったため、ここに取上げてみたい。

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ベーシストによる鉄壁トリオの詩情あるコンテンポラリーの世界

<Jazz>

Mats Eilertsen Trio 「Sails Set」
Hubro Music / EU / HUBROCD2524 / 2013

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Harme Fraanje - piano
Thomas Strønen - drums
Mats Eilertsen - bass
Recorded at Rainbow Studio, Oslo -Ap.2011 and Jun.2012
Mixed and mastered by Jan Erik Kongshaug

 ノルウェーのマッツ・アイレットセンMats Eilertsenによるピアノ・トリオ作品。彼はTord Gustafsenや Helge Lienのトリオ、そして最近はAlessandro Galati のトリオなどに参加している実力派ベーシストだ。 
 そしてこのアルバムは、現代ジャズトリオの一つの進化形態として受け入れられる。流れはアンビエントであり、そこにはコンテンポラリーサウンドが、心象風景として迫ってくる。

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1. Sails Set
2. Stellar
3. Orbiting
4. Stray Dog
5. The Lighthouse
6. Monument
7. Lunar Light
8. Currents
9. Stone and Sand
10. Music Box
11. Alone

 確かに北欧の静寂感や空気感が迫ってくる。決して多くない音が極めて繊細に響き、三人のプレイが聴く者に静かだが深く心に訴えかける。
 それぞれの曲は、ソロ、デュオ、トリオ形式で比較的短く造られており、響く音が時としてメロディックなところもあるが、かなり即興性で構築している。「私たちの目標は、即興の曲、音、状況を作り出し、同様にうまく構成され、制作されたことでした」とアイレットセンは言っているようだ。

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 寺島靖国に紹介された曲M3."Orbiting"は、極めて暗示的な曲として、三者の音が録音の良さも有り明瞭に定位され聴かれ、その構成は暗さに陥ることも無く展望的に聴く者をして虜にしてゆく。
 M1."Sails Set"のタイトルトラック‎‎で‎‎は、海に向かう情景だろうか。メディックなピアノとアルコ奏法ベースと、静かにパーカッシブなドラムスの響きで構成。
 かなり簡潔なソロ・ピアノ曲‎‎M2."Stellar"‎‎は美しく響く。
  ‎アルバム中心曲はM6."Monument"だろう‎‎‎‎、静かなドラムスとベースで情景を描き、約2分過ぎからピアノが同一のリフを繰り返し、次第に緊張感に進む。アイレットセンの共鳴、ストロネンの広大なリズムと聴きどころの即興曲。
 M7."Lunar Light"はベースとドラムス, M11."Alone"は、ベースで描く深遠な世界。

 ここにはユーロにして北欧ならではの宇宙探求的静かさと深遠さが伝わってくる。ピアノ・トリオ・ジャズ作品へのコンテンポラリーな展開への一つの提示があると感じ取れる真摯にして美しい作品。Contemporary Jazz,  Free Jazz,  Free Improvisation の貴重盤として位置づけてここに取上げた。

(評価)
□ 曲・演奏 :  90/100
□   録音   :  90/100

(参考視聴)

アルバム「And Then Comes The Night」より、"Soften"

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2019年2月22日 (金)

マッツ・アイレットセン・トリオMats Eilertsen 「And Then Comes The Night」

ECMからのリリカルにして深遠なる前進性をみる世界

 

 <Jazz>

 

Mats Eilertsen Harmen Fraanje Thomas Strønen

 

「And Then Comes The Night」
 
ECM / Germ. / ECM 2619 770 2569 / 2019
 

 

Andthencomestn

Harmen Fraanje, piano
Thomas Strønen, drums
Mats Eilertsen, bass
 
 Produced by Manfred Eicher
Recorded May 2018
Engineer : Stefano Amerio

 

Metriow

 

 


 

 

Me  ノルウェーのベーシスト、マッツ・アイレットセンMats Eilertsenのリーダーによるピアノ・トリオ作品である。彼はTord Gustavsenの(初期のトリオでなく)最近のQuartetなどに共演していて知るところにある。いずれにしても彼は過去に北欧系の多くのピアニストのリーダー・アルバムにベーシストとして共演している。

 

 このトリオは活動10年目にあたるというところで、やはりECMからニュー・アルバムがリリースされた。

 

 アルバム・タイトルは解説によるとアイルランド人の作家Jón Kalman Stefánssonの小説から引用されているとか、集まったミュージシャン達による持ち寄った曲集という会話的トリオ作品なんだろうか。

(Tracklist)
List

 


 

 曲は10曲収録。全曲彼らのオリジナルで占められている。そして主としてピアニストのHarmen Fraanje(オランダ) と Mats Eilertsenの貢献度大きい。
 やはりプロデューサーのManfred Eicherの元での製作で、アルバム全体の印象はECM盤そのもので、なかなか深遠なところにある。

 そしてアルバム・タイトルと関連の曲"Then Comes The Night"は8番目に登場。3者による曲となっているが、演奏も3者の主張と語りが即興的な展開で折り合って、前衛的な印象もあり興味深い。後半のThomas Strønen(ノルウェー)のドラムスのソロによる纏め上げも独創的で面白い。

 

 M1.M10."22"は、同曲の別バージョン。M1では、冒頭から静かなピアノの美旋律に唸らせられる。中盤からベースの響きが美しく印象的に展開。しかし全体的にはピアノの響きが抒情的な美旋律で魅力的なところに引き込まれる曲。これはベーシストのアイレットセンの曲である。このあたりもベーシストの抒情性が見てとれるところだ。
H_f M2."Perpetum"で静寂の中にも印象の変わる即興重視の展開が聴ける。3者によるメロディーはもとより印象的な音による世界描写が見事である。このあたりがこのトリオのありきたりのスタイルと違った創造性豊かな前進性を印象づけられる。
 中盤の4曲も魅力的な哀愁旋律、スティックによる繊細な音、ドラムスの主張、ピアノとベースの美しき交錯などなど聴きどころが空間の中に描かれたように展開して魅力的な演奏だ。

 

 

T_s
 ECM的静寂の中の静謐なる深遠なる哲学的世界を美しく叙情的に描いたハイセンスの作品。しかも所謂歴史的ピアノ・トリオというパターンに飽き足らず、三者の音楽的現代性と前衛性もちゃんと織り込んでいて、なるほど彼らのハイレベルな音楽的センスを見事に示している。これにはアイヒヤーのリードも効果を上げているものと思うが、なかなか優秀にして好印象の作品である。

 

 

 

(評価) 取り敢えず満点である。
□ 曲・演奏 :  ★★★★★ 
□  録音     : ★★★★★
(視聴)

 

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