アメリカン・ジャズ

2025年4月 2日 (水)

ブランフォード・マルサリス Branford Marsalis Quartet 「 Belonging」

二番煎じも面白い ・・・調和がテーマか

<Jazz>

Branford Marsalis Quartet 「 Belonging」
Universal Jazz ,  Blue Note / Import / UCCQ-1217 / 2025

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Branford Marsalis (sax)
Joey Calderazzo (piano)
Eric Revis (bass)
Justin Faulkner (drums)

Produced by Branford Marsalis
Recorded by Rob "Wacko" Hunter at the Ellis Marsalis Center for Music,New Orleans,LA on March 25-29,2024

Branfordmarsalisheadshot   サックスなどのものはあまり聴かない私でも知っているテナーやソプラノ・サックスで有名なブランフォード・マルサリスBranford Marsalis (1960 -, 米国ルイジアナ州出身, ⇢)のピアノ・トリオとのカルテットでのアルバム『 Belonging』がリリースされ話題になっているので、焦点をあてる。彼は歴史的にもアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズとかマイルス・デイヴィス・グループのメンバーなどでも知るところである。

 私が注目したのは、このアルバムはなんとマルサリスの6年ぶりのニューアルバムであり、それが1974年に我が愛するキース・ジャレット(↓)がヨーロピアン・カルテットでECMから発表した名盤『BLONGING』(ECM, 1974)(↓)にそっくりそのまま丸々取り組んだ作品ということである。キースは、2018年の2度の脳卒中による左半身まひで、公演活動への復帰が難しいことが明らかになってもう数年になり寂しい思いでいるわけだが、そんな時に話題になることをしてくれたと、ある意味では歓迎しているのだ。

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 このカルテットはピアニストのジョーイ・カルデラッツォ(↓左)、ベーシストのエリック・レヴィス(↓中央)、ドラマーのジャスティン・フォークナーをフィーチャー(↓右)した、評価の高い長年の「ブランフォード・マルサリス・カルテット」である。そもそも前作『The Secret Between the Shadow and the Soul』にキースの『Belonging』に収録されている曲"The Windup"を入れようと決めたときにアルバムを聴いていて感動し、レヴィスが『ビロンギング』を丸々レコーディングすればいいと言ったとか、その結果が、ここに結実したということだ。

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(Tracklist)

1.Spiral Dance
2.Blossom
3.‘Long As You Know You’re Living Yours
4.Belonging
5.The Windup
6.Solstice

  マルサリスに言わせるとレコーディング時に初めて招集され、後に1970年代を代表するグループとなったジャレットのバンドとは異なり、このマルサリス・カルテットはレヴィスは1996年、カルデラッツォは1999年、フォークナーは2009年に加入しており、互いの音を聴き、反応する能力はレベルが高い。重要なポイントは、カルテットとしての形での時間が与えてくれた教訓だという。「私たちの最大の利点は、キースのバンドが持っていなかった50年分の情報と、その共有された経験を処理する能力だと思う」と。つまりカルテットとしての調和の完成度を挙げているのだろう。

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 私はこのキースのこのアルバムで好きなのはやはりバラードもので、サックスも落ち着いた情感を静かに聴かせてくれるところだった。従ってどうしてもマルサリスのこのアルバムでも M2."Blossom"、M4.".Belonging"、M5."Solstice"が注目点であったが、その充実度はさすがにレベルが高い。M4.のピアノも美しいし、これら3曲でのマルサリスのサックス・ソロもカルテットという調和の中で生きていて見事。録音も充実感がありそれも加味して訴えるところは大きい。
 しかし彼のいう「調和」と言う命題の追及は、むしろM3."‘Long As You Know You’re Living Yours"のように、アレンジを加えたり、M5."The Windup"のように、サックスがソプラノでなくてテナーで頑張って見せたりという処をみると、思い入れはそちらにあったようにも聴ける。

 アルバムごとのカヴァーは珍しいが、それだけ彼らは感動したものであるだけに、真似事に終わらず自分たちの世界に描きたくなったことはミュージシャンとして一つの挑戦なんだろうなぁと聴き入った次第。

(評価)
□ 選曲・編曲・演奏 : 90/100
□   録音       : 88/100
(試聴)

 

 

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2025年3月18日 (火)

アドニス・ローズ、ガブリエル・カヴァッサ  Adonis Rose Trio「FOR ALL WE KNOW」

本格的ジャズ・ピアノ・トリオの演奏と、どこか迫力を感ずるヴォーカルに惹かれる

<Jazz>

Adonis Rose Trio & Gabrielle Cavassa「FOR ALL WE KNOW」
STORYVILLE RECORDS/ Import /EAN 0717101853526/1018535/2024

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Adonis Rose (drums)
Ryan Hanseler (piano)
Lex Warshawsky (bass)
Gabrielle Cavassa (vocal on 1~6)
Recording: Word of Mouth Studios, New Orleans, April 2022

Imagesw_20250318191501  ニューオリンズ・ジャズ・オーケストラの芸術監督であり、ドラマーとしても有名なアドニス・ローズ(⇢)の最新ピアノ・トリオ・アルバムだ。このアルバムは昨年あまり注目しなかったものだが、ヴォーカル・アルバムとして先日発売の雑誌「ジャズ批評」(244号)で評価が高かった(銅賞)ものであって、敢えてここに聴いてみた次第である。

 このアルバムでは、9曲中6曲にガブリエル・カヴァッサのヴォーカルが入る。ピアノ・トリオはローズが期待しての2人の若きミュージシャンを呼んでいる。それは今最も注目株の新人ベーシストの一人、レックス・ウォーショウスキー(↓中央)と、ピアニストのライアン・ハンセラー(↓左)が参加。ハンセラーは 2 曲のオリジナル曲を提供している(下記TracklistのM7,M9)。

 女性ヴォーカリストのカヴァッサGabrielle Cavassa(↓右)は、米国カルフォルニア州出身で、2021年のサラ・ヴォーン国際ジャズ・ヴォーカル・コンペティションの優勝者で、伝統を知る素晴らしく才能のある新世代のボーカリストとして評価が高い。

 さて当アルバムのテーマは” スタンダード曲" にあるようであり、又ジャズの歴史を形作ってきた不朽の名曲への魂のこもったオマージュであるようだ。自身のキャリアの中で、トリビュート・アルバムやスタンダードをメインにしたレコーディングをしたことが無かったローズは、このアルバムを通してミュージシャンとして、アーティストとしての自分の仕事について考えるようになり、この気持ちをアルバムに凝縮して見たようだ。 そして、もともと今作に参加予定で あったという2020 年にパンデミックによりこの世を去った伝説的なジャズ・ピアニストのエリス・マルサリス(1934年11月14日生まれ、米・ルイジアナ州ニューオーリンズ出身)へ捧げている。

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(Tracklist)
1.I’ve Grown Accustomed to His Face *
2.So Many Stars *
3.You Taught My Heart to Sing *
4.You Go to My Head *
5.For All We Know *
6.What Are You Doing the Rest of Your Life *
7.I Still Think She’s Pretty
8.Second Thoughts
9.Blues for Lex

(*印 Gabrielle Cavassaのヴォーカル入り)

   ドラマーとしてのアドニス・ローズに関しては、過去に意識して聴いてこなかったので、ここではちょっと興味津々に聴いたところである。このトリオの演奏は、ここではスタンダード・ナンバーをジャズ心を大切にしたちょっと新鮮なアレンジでスタンダード曲の心を裏切らないように敬意を表しつつ演じた世界のようである。彼のミュージシャンとしての経過で、"スタンダードレコードを作りたい"という憧れという満たされない欲望が残っていたのだと言う。彼は自分の音楽的遺産について考えていることに気づき、不朽の名曲に捧げられたレコードを仕上げてみたいという処で出来たアルバムということだ。

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 オープニングのM1."I’ve Grown Accustomed to His Face "は、これは戦後の有名なミュージカル「マイ・フェア・レディ」の曲で、米国に関係あるヴォーカリストは殆どが歌っているというスタンダード曲。私が印象深いのはダイアナ・クラールがアルバム「QUIET NIGHTS」の中にしっとりと歌っているのだが、ここではカヴァッサの心情豊かにややハスキーが入った可憐と言うのでなくむしろ迫力が感ぜられ訴える感じの歌が印象深い。トリオもピアノがバツクにメロディーを静かに流し、ベースがそれを受け継ぐパターンでしっとりしているバラード。
 M2."So Many Stars "は、意外にもセルジオ・メンデスの曲を取り上げています。ここではブラジル風でなく、しっとりとジャズ曲として歌い上げている。
  又M5."For All We Know"はカーペンターズで有名になった曲。こんな調子に幅広い選曲。しかし、カヴァッサ節というか、一貫して丁寧なゆったりとした中で感情たっぷりの歌だ。
  こんな感じで、トリオもM1.-M6.の6曲はカヴァッサ の歌をフューチャーしていて、主としてどちらかと言うとしっとり系のバラード演奏である。しかし、M7.-M9.の3曲はウォーカル抜きのトリオでの仕上げでは、ちょっと印象が変わってM7."I Still Think She’s Pretty"は、トリオのエネルギーが伝わってくる演奏。特にピアノのメロディー主導の中でドラムスはステック音とシンバル音が印象的でサポート、ベースもアンサンブルにエネルギーを注ぐ。
 M9."Blues for Lex"のトリオ演奏ではかなりアグレッシブな演奏でヴォーカルものの演奏と異なった面を見せている。このあたりがもしかしたらトリオの彼らの最もメインな流れなのかもしれない。

 「ハンセラーのピアノの芸術性、ウォーショウスキーのダイナミックなベースライン、カヴァッサの感情的なボーカルそしてリーダーのローズの味わい深いドラミング」と評価されているアルバムとして聴いてみた次第である。これはなかなかのもので、「ジャズ批評」のヴォーカル部門では録音の質も良くトップより上に持って行ってもよさそうなアルバムだった。

(評価)
□ 演奏・歌 :   90/100
□   録音   :   88/100

(試聴)

 

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2025年2月17日 (月)

ホリー・コール Holly Cole 「DARK MOON」

懐かしき歌に、優しさに溢れた世界が展開する

<Jazz>

Holly Cole 「DARK MOON」
Universal music / Import / 0246557815 / 2025

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Holly Cole:Vocals, Producer
Aaron Davis :Piano
George Koller :Bass
David DiRenzo :Drums
Howard Levy: Harmonica
Johnny Johnson : Saxophone
Kevin Rreit : Guitar 
Michael Davidson : Vibraphone,Marimba

Engineer: Jeff Wolpert

1715869709273w  カナダ出身の歌姫、ホリー・コール(Holly Cole、1963年11月25日 - )の日本では久々の7年ぶりとなるニュー・アルバム の登場である。改めてみると、これは彼女の13枚目のスタジオ・アルバムで、年齢も60歳を越えているわけで、もうベテランそのものだと感慨深い処でもある。従って長年彼女のライヴ・パフォーマンスを支えてきたパートナー達も多い中でそれに加えて、新たなミュージシャン勢の力も取り入れての、相変わらず彼女独自のスタイルをもってして作り上げた作品だ。

 この新作について、ホリーは次のように語っている「このアルバムには、即興の精神を取り入れたいという強い思いがありました。また、それと同時に、私の音楽のサウンドの本質は、アレンジにあると考えています。今回は事前のリハーサルを殆ど行わずにスタジオに入ったため、スタジオにいる間、どの曲も私達にとっては途轍もなく新鮮に感じられました。私が一緒に演奏するミュージシャン達は皆、曲のアレンジに大いに貢献してくれています。それぞれ一人一人に光が当たる瞬間の音を聞きたいと私は思い、皆で演奏しながらアレンジの大部分がまとまっていきました。このアルバムが完成した時に聞こえてくるのは、その曲のどこが好きなのかを私達が発見する瞬間であり、それこそが私にとって本質的な部分なのです」と、確かに彼女自身にとっても久々のアルバム造りで、それだけ思い入れもありそうだ。まあ我々も還暦祝いのつもりで聴くのも良いかもしれない。

A1crmldfnel_ac_slw  なお日本盤は、2021年のライヴ・アルバム『モントリオール(Live)』(→)(2019年モントリオール国際ジャズ・フェスティバル40周年記念で、デヴィッド・ピッチ(B)とアーロン・デイヴィス(P)と共に、オリジナル・メンバーでホリー・コール・トリオを再結成しモントリオールにあるキャバレー〈ライオン・ドール〉で行なった特別なコンサートを収録)に、2011年のグレン・グールド・スタジオで収録されたジョニー・ナッシュのヒット曲"I can see crearly now"と、1995年のモントリオール公演で録音されたお馴染み"Calling you"の2曲のライヴ音源を追加したスペシャル・ボーナス・ライヴ・ディスクをカップリングしたCD2枚組のデラックス・エディションとして発売されている。

(Tracklist)

1 Steppin' Out with My Baby
2 Where Flamingoes Fly
3 Moon River
4 No Moon at All
5 Message to Michael
6 The Exciting Life
7 Dark Moon
8 Comin' Back to Me
9 Kiss Me Quick
10 Walk Away Renee
11 Johnny Guitar

 ホリー・コールは、カナダの名誉あるジュノー賞(カナダ版のグラミー賞に相当)を2度受賞し、同じく2度受賞したジェミニ賞(カナダ映画テレビ・アカデミーが主催する賞)、また、日本ゴールド・ディスク大賞も2度受賞した他、モントリオール・ジャズ・フェスティバルからは名誉あるエラ・フィッツジェラルド賞も授与され、また2014年には、クイーンズ大学から名誉博士号を授与されている。そんな経歴を感じつつ、このアルバムを半分お祝い気分で聴くのも楽しいところだ。

 このアルバムはセルフプロデュースアルバムで、制作と演奏を支援するために集めたバンドには、長年の仲間のアーロン・デイヴィス(ピアノ 下左)、ジョージ・コラー(ベース 下中央)、ダビデ・ディレンゾ(ドラム 下右)や、ジョン・ジョンソン(サックス)が加わっている。それに加えて、ギターのケヴィン・ブライト、グラミー賞を2度受賞しているハーモニカのハワード・レヴィ、そしてグッド・ラブリーズの素晴らしいハーモニーなど、これがなかなか味のあるところが聴き取れる。彼らは、彼女の期待する「アンサンブル演奏」を見事に演じている。

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 オープニングM1." Steppin' Out with My Baby"は、トニー・ベネットが歌っていた曲、低音の貫禄のヴォイスで、リズミカルにお洒落にスタート、おお来たなっという処だ。
M2." Where Flamingoes Fly"ギル・エヴァンスの曲。ピアノと歌がなんとなくアメリカのよき時代ムードが気持ちいい。
M3." Moon River" どう捻るかと思ったら、優しいピアノと歌にアレンジの工夫が入るが、意外に素直に力まず正面から取り込んでいて、かえって不思議。
M4." No Moon at All"ハーモニカと彼女の歌の競演が新鮮。
M5." Message to Michael" ギター・サウンドと優しさのヴォーカルで歌い上げたところが光る。
M6." The Exciting Life" サックスと彼女の歌が、ぐっと夜のムードに聴こえてくる。ホリーの味だ。
M7." Dark Moon" 注目のタイトル曲だが、女性コーラスがバックに入って、ギターと共に、これも優しさあふれた歌。
M8. "Comin' Back to Me" '60年代のジェファーソン・エアプレインによるフォークソング。
M9. "Kiss Me Quick" プレスリーの時代を思い出す。
M10. "Walk Away Renee"古いロックで、哀しく優しく・・・。
M11." Johnny Guitar" ビクター・ヤングでしたね、優しさと情感溢れた歌のジャニー・ギターに満足。中盤のギター・ソロもイメージを生かしたアレンジとインプロ・メロディーがいい。

 いっやーーなかなかゃ60年代頃のミュージカルやロック、そしてカントリー分野のアメリカン・ミュージックの味のある処を、スモーキーな歌声で優しく美しく歌い上げていてくれて、今回は彼女の特異性はどう迫ってくるかと、恐る恐る聴いたのだが、まったく違った予想外のアルバムでむしろ驚いた。アルバム・タイトルが「Dark Moon」だが、決して暗くなく優しさに溢れた世界が築かれていて、彼女のアルバムとしては、これはある意味最右翼に置かれそうだ。

(評価)
□ 編曲・演奏・歌 :   90/100
□ 録音      :   87/100

(試聴)



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2025年1月18日 (土)

アリ・ホーニグ Ari Hoenig Trio 「 Tea For Three」

異色の革新的メロディック・ドラマーのリーダー・ピアノ・トリオ作品

<Contemporary Jazz>

Ari Hoenig Trio 「 Tea For Three」
Fresh Sound New Talent / Import / FSNT691 / 2024

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Ari Hoenig (drums,vocals only on #11)
Gadi Lehavi (piano)
Ben Tiberio (bass)

Recorded at Big Orange Sheep Studios, Brooklyn, New York, on July 28, 2023

1900x1900000000w_20250113191201   まさに現代ジャズの最前線で活躍を続けるNYの人気ドラマー、アリ・ホーニグ(→)のリダー・アルバム。2021年録音『Golden Treasures』(FSNT 637)に引き続きイスラエルの新鋭ピアニストGadi Lehavi(P.  下左)とBen Tiberio(B.下右)と組んだトリオによる2023年録音作品だ。
 アリ・ホーニグによるコメントでは、「同じメンバーで2枚続けて録音するのは初めてだ。 その理由は聴いていただければわかると思う。 このグループは成長し続け、一緒に演奏するたびに新しい音楽の道を提供してくれる。 ガディ・レハヴィとベン・ティベリオの創造性、音楽性、友情に感謝したい」と、彼の現代的なコンテンポラリー世界の心をくすぐるのだろう。

 アリ・ホーニグは、1973年生まれのアメリカ・フィラデルフィア出身のジャズドラマー。音楽一家に育ち、父親は指揮者でクラシック歌手、母親はバイオリニスト兼ピアニストという環境で、幼少期から音楽に親しんできたた。6歳でバイオリンとピアノを始め、12歳でドラムに転向し、14歳の頃には地元のクラブで演奏経験を積む。大学では音楽を専攻し、ノース・テキサス大学やウィリアム・パターソン大学で学ぶ。その後、ニューヨークに拠点を移し、マイク・スターン、リチャード・ボナ、パット・マルティーノなどの著名なミュージシャンと共演を重ね、ニューヨークのジャズシーンで頭角を現した。初リ-ダ-作は、1999年の『Time Travels』で14枚のCDを録音、作曲、制作。
  彼のドラムスの演奏スタイルは、異色の革新的メロディックな表現が特徴的で、ドラムスティック、マレット、さらには手や肘などを使用してドラムのピッチを変更するユニークな能力での独自の技術が魅力的て、メロディーまでも演じてしまう。また、複雑なリズムで、高度なコンビネーションを展開して、なんと言っても感情を描くプレイで聴衆を魅了する。ニューヨーク大学とニューヨークのニュースクールで現在も教鞭をもとっている。

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(Tracklist)

1. Condemnation (Hoenig-Schwartz-Bart) 6:28
2. Hold Up A Minute (Ari Hoenig) 6:56
3. Nominor (Ari Hoenig) 6:17
4. Alone (Ari Hoenig) 4:26
5. You Stepped Out of A Dream (Brown-Kahn) 5:45
6. Theo’s Groove (Ari Hoenig) 7:08
7. Irish Golem (Ari Hoenig) 6:09
8. Tea for Two (Youmans-Caesar) 5:56
9. Fatti Mi Me (Ari Hoenig) 4:13
10. Work Song (Adderley-Brown) 4:32
11. For Tracy (Ari Hoenig) 2:58

 M1."Condemnation " ベースとドラムスで重厚にスタートして、前半から速攻でスピーディなピアノと三者がスリリングなバトルを演じて興味を誘導。
 M2."Hold Up A Minute "リズムカルなドラムスから展開のコンテンポラリーな世界。
 M3."Nominor "ぐっと落ち着いたベースが印象的にスータートし、次第にドラムスが曲を弾ませ、ピアノは美しく流れる。そしてM4."Alone "に至って、ゆったりと深く落ち着いた物思いの世界が印象的。
 M5."You Stepped Out of A Dream"M6."Theo’s Groove" は、彼らの超越したセンスと技能力の凝集した曲
 M7." Irish Golem " 美しくしっとり聴かせる。ピアノの美しい旋律と繊細なシンバルやブラシングの音、支えるベースが心に響く。
 M8."Tea for Two" アルバム・タイトルへ結びつく曲の登場、ここまでドラムスが激しくリズム変化すると彼らのオリジナル曲に聴こえるが、しっかりメロディは織り込んでいる。
 M10."Work Song " ドラムスのリズム取りが自在に変化し訴えてくる。
 M11."For Tracy " 驚きのホーニグのヴォーカルで、むしろ感謝を表したような曲。

 中身は、ホーニグのオジナル曲中心だが、スタンダードのM5."You Stepped Out of A Dream"、M8."Tea for Two"、M10."Work Song"などをカバーする。しかしこのカバーは、原曲の世界をはるかに超えてドラムスが躍動的な世界や情景をも描き、ピアノ、ベースと共に独特な世界に導いている。
 とにかくトリオ3人が互いに感ずる中に刺激し合いながらの強靭なリズム、スピード感溢れたスリリングな展開、緩急自在の流れの中で、自然発生型のインプロヴィゼイションが入り乱れるNY流コンテンポラリー・ピアノ・トリオ作品、まさに次世代を感じさせるところがお見事。

(評価)
□ 曲・編曲・演奏  90/100
□ 録音       87/100
(試聴) "condemnation"

 

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2024年12月 5日 (木)

ジョン・バティステ Jon Batiste 「BEETHOVEN BLUES」

異色のベートーヴェンとアメリカン・ブルースの融合

<Jazz, Classic>

Jon Batiste 「BEETHOVEN BLUES」
Verve / International Version / UCCV-1209 /2024

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Jon Batiste : piano

Ab67616d0000b2737873w 「ベートーヴェンが唯一無二の存在だからだ。僕にとって、長年子供の頃から演奏してきた音楽と学んできた音楽との間につながりを築くことが、音楽の旅そのものだった。音楽は修練の道だ。ベートーヴェンの作品には、様々な音楽的方向性や含蓄が詰まってる。リズム的には驚くほどアフリカ的なアプローチが見られる部分もあって、そこから導き出せるものには、他のどんな偉大な作曲家にもない独特なものがあるんだ」
・・・と言うのは、今や泣く子も黙る勢いのある魔法の指先を持つと言われるジョン・バティステ(1986年11月11日 ニューオルリンズ生まれ →)だが、グラミー賞5冠に輝く才能発揮してのクラシックの名曲、ベートーヴェンをジャジーに演じ上げたピアノ・ソロ・アルバムの登場だ。

 ジャズ・ピアニストがベートーヴェンを取り上げたのは、あの「プレイ・バッハ」のジャク・ルーシェが2003年に交響曲第7番をテーマにトリオ演奏収録したのを思い出すが、バッハを演じ始めた若き時と異なって、人生達観した男の描くところであり、聴く方もちょっとそれなりの味を感じ取れた。
 そしてこのアルバムではバティステは若き勢いの上昇中において取り上げたベートーヴェンとの対話であり、それが又別の意味で興味が湧くところだ。内容は、11曲が収録されているがベートーヴェンの代表作のアレンジが主で、バティステ自身の新曲は3曲という構成である。
 
 ジョン・バティステ(Jonathan Michael "Jon" Batiste)は、幼少時から音楽に囲まれ育つ。8歳の時よりパーカッション、11歳でピアノと接し、10代からインターネット上で音楽をリリースし、弱冠17歳でインディーズから“Times in New Orlean”を発表。その後、ジュリアード音楽院でピアノの学士号・修士号を取得し、メジャー・デビュー作『ハリウッド・アフリカンズ』を発表、収録曲の"セント・ ジェームス病院"が2019年のグラミー賞最優秀アメリカン・ルーツ・パフォーマンス賞にノミネートされ、トップ・アーティストとして評価を得る。現在は彼がリーダーのバンド「ステイ・ヒューマン」で活躍、また、ジャズの本場NYにあるナショナル・ジャズ・ミュージアム・ハーレムではクリエイティヴ・ディレクターを務め、音楽ディレクターとしても高い評価を得ている。2020年の映画『ソウルフル・ワールド』でアカデミー賞、ゴールデングローブ賞で作曲賞を受賞し、2022年第64回グラミー賞では、史上3位となる11部門にノミネートされ、アルバム『ウィー・アー』、『ソウルフル・ワールド』で「アルバム・オブ・ザ・イヤー」を含む最多5部門を受賞した。

(Tracklist)
01.エリーゼのために - バティステ Fur Elise - Batiste
02.交響曲第5番-ストンプ Symphony No. 5 Stomp
03.月光ソナタ-ブルース Moonlight Sonata Blues
04.ダスクライト・ムーヴメント Dusklight Movement※
05.交響曲第7番-エレジー 7th Symphony Elegy
06.アメリカン・シンフォニーのテーマ American Symphony Theme※
07.歓喜の歌 Ode to Joyful
08.交響曲第5番-イン・コンゴ・スクウェア 5th Symphony in Congo Square
09.ヴァルトシュタイン-ウォブル Waldstein Wobble
10.ライフ・オブ・ルートヴィヒ Life of Ludwig※
11.エリーゼのために - レヴェリー Fur Elise-Reverie

 
Mv5bzjm4y2jkotmtowe5w   バティステが次のように言っている「コンセプトは……言ってみれば、ベートーヴェンの音楽に、この僕の発想から生まれる音楽的および文化的レファレンス、時には新たなテーマやセクションすら加えて、より拡張された音楽にするということだね」。
 やはり単なるクラシック音楽の名曲カバー集ではない。ジョン・バティステらしい意図があって作られたものだということが解る。タイトルに『Beethoven Blues』と名付けているようにM01.M11.「エリーゼのために」M02."Symphony No.5"「運命」からなんとアメリカのブラック・ミュージックの要素が聴こえてくるという極めて異様なアルバムだ。しかし原曲のメロディーはちゃんと生かしていてそこが聴かせどころだと思われる。

 彼が言うには、「アフリカから離散した者達が生み出したアメリカン・ブルースのリズムは、二つの異なる拍子を同時に用いるという考えに基づいている。例えば、1-2、1-2の2拍子と、1-2-3-4-5-6、1-2-3-4-5-6の6拍子が同時に存在し、演奏される。この世界で最初のリズムとも呼べる、西アフリカの離散者から生まれたドラムサークルの音こそ、ベートーヴェンの音楽に色濃く表れ、彼が欧州クラシック音楽に新しいリズムの考え方を取り入れた一例だ。ベートーヴェンが革新的だったのはハーモニーやメロディだけじゃない。リズムに関してもそうなんだ。同時に複数の拍子が用いられるというのは、アフリカのディアスポラの概念の継承と言えるものなんだよ」
 こんな彼の話を頭に置いて聴くと、M03."月光ソナタ"M09"Waldstein"など、美しさの中に彼の編曲がちょっと異様なのも、なんとなくそんなアフリカの音楽との関係がそれぞれのテーマに出ているのだ。そしてそこで成程と理解まではゆかなくとも、そうゆうところなのかと面白く聴ける。
 とにかく彼は"エリーゼのために"への思い入れが凄い。なんとM11."Fur Elise-Reverie"は15分を超える演奏になっている。この一曲だけでも聴く価値がある。いずれにしても、そんなところに注目して、これから何回かと聴いてみてのお楽しみといった奥深さがあるところなのだ。そして彼は更にベートーヴェンの第2弾とかショパンを考えているとの話もある。

□ 選曲・編曲・演奏  88/100
□ 録音        88/100
(試聴) "Fur Elise (エリーゼのために)"

 

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2024年11月10日 (日)

アルマ・ミチッチ Alma Micic 「You're My Thrill」

ニュー・ヨーク・ジャズに故郷のバルカン半島の心を籠める

<Jazz>

Alma Micic 「You're My Thrill」
Vinus Records / JPN / VHGD-10013 / 2024

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Alma Micic アルマ・ミチッチ (vocal)
Rale Micic ラレ・ミチッチ (electric guitar on 2, 3, 4, 5, 8, 9)
Brandon McCune ブランダン・マッキューン (piano except 3, 8)
Alexander Claffy アレクサンダー・クラフィ (bass except 6)
Jason Tiemann ジェイソン・ティーマン (drums except 6)
Eric Alexander エリック・アレクサンダー (tenor saxophone on 1, 2, 7, 9)

2023年6月16日米ニュージャージー州イングルウッド・クリフスのVan Gelder Studio録音
(engineered by Maureen Sickler)

 私にとっては初物の現在ニューヨークのクラブで活躍中のジャズ・ボーカリストであるアルマ・ミチッチの登場。彼女独特の魅力的なソフトで中低音の充実しヴォイスで高音にも伸びる本格的ジヤズを歌い上げ、その表現力の素晴らしさはなかなかのもの。今回のアルバムは日本のヴィーナスレコードからで、テナー・サックスのエリック・アレキサンダーが4曲参加している。

Imagesw_20241107184201   アルマ・ミチッチは、セルビア・モンテネグロ共和国=旧ユーゴのベルグラードで生まれ育った。16歳の時、地元のカルテットで演奏を始め、すぐに彼女はラジオ・ベオグラード・ビッグ・バンドのゲスト・ボーカリストとなった。ツアーを始め、多くの地元のジャズ・フェスティバルやテレビ、ラジオ放送に出演した。1995年、マサチューセッツ州ボストンの名門バークリー音楽大学に入学するための奨学金を授与され、1999年に卒業、以降ニューヨーク市に住む。その後2000年から彼女は多岐に活躍し、2004年に1stアルバム『Introducing Alma』をリリース、広くわたって好評を得る。その後『Hours』(2008)、『Tonight』(2013)をリリースとキャリアは十分。アルマの歌は、「自信に満ち、ソウルフルで、傷つきやすく、リズミカルに精通しており、最も官能的なビブラートが聴ける」と評されている。クレオ・レイン賞(優秀音楽家賞)やニューヨーク・アーツ・カウンシル(NY Arts Council)のBRIO賞など、数々の賞を受賞している。

(Tracklist)

1 バイ・バイ・ブラック・バード Bye Bye Blackbird (Mort Dixon - Ray Henderson) 4:44
2 アイル・ビ・シーイング・ユー I'll Be Seeing You( Irwin Kahal - Sammy Fain) 3:25
3 イン・ア・センチメンタル・ムード In A Sentimental Mood ( Duke Ellington) 4:04
4 マッド・アバウト・ユー Mad About You (Aaron Earl Livingston) 4:20
5 あの子は最高 Moja Mala Nema Mane ( Traditional, arr. Alma Micic) 3:01
6 マイ・ワン・アンド・オンリー・ラブ My One And Only Love (Robert Mellin - Guy Wood) 3:01
7 いそしぎ The Shadow Of Your Smile (Paul Francis Webster - Johnny Mandel) 4:48
8 ユア・マイ・スリル You're My Thrill (Sidney Clare - Jay Gorney) 3:20
9 黄色いマルメロ Zute Dunje (Traditional, arr. Alma Micic) 5:54

 まずの印象は、あまり癖のない極めて標準的な歌を展開する。あるところでは「メロウ・テンダー&クール・ソフトな優しいしっとり感と敏活でダイナミックなスイング&ブルース・センスを併せ持った基本はあくまで柔和で節度とゆとりある抒情派ヴォーカル」という評をしているが、これは案外的(まと)を得ていると思う。つまりスローでもアップ・テンポでも自在に歌い上げる表現力の素晴らしさを持っている。
 主力はやはり自己の主張による彼女のオリジナル曲を展開するSSWの機能発揮でなく、いわゆるクラブなどでスタンダードなど彼女自身の好むところを歌い上げて、会場に心地よさを提供するといった世界とみる。

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 M6."My One And Only Love"のようにバラード調は見事に歌い上げ、M7."The Shadow Of Your Smile"のようなポピュラーなスタンダードは、手慣れた歌だ。
 アルバム・タイトル曲はM8."You're My Thrill"で、これは古い1933年の人気曲で、ジャズ界の多くに愛されてきた曲(ジェイ・ゴーニー作曲、シドニー・クレア作詞)で、映画『ジミーとサリー』(1933年)で披露。これをメインにおいてのアルバム造りから、ニュー・ヨークのジャス界に根ざしている彼女の姿が見て取れる。
 しかし注目は、続く最後のM9."Zute Dunj(ズテ・ドゥンジェ)"で、これはこのアルバムでも異色で、特にバルカン半島の伝統的な民謡に属する曲で、彼女の故郷のボスニア・ヘルツェゴビナやセルビアなどの地域で歌い継がれて来たものだと。そして曲のテーマは、愛や悲しみ、自然への愛(季節の移ろいなど)を歌った内容が多く、地元の人々にとって感情深い歌詞と旋律が特徴的で、愛されているようだ。
 更に、M5."Moja Mala Nema Mane"も、セルビアやクロアチアの伝統的なフォークソングのようで、「私の小さな(恋人/妻)には欠点がない」という意味で、主に愛や魅力について歌った内容であって明るい曲だ。バルカンの伝統音楽には、このように情熱的で感情表現豊かなスタイルが多く、リズミカルなビートや複雑なメロディーラインが特徴的のようだ。この2曲がちょっと異質ではあるが、彼女にとっては生まれ故郷を想い一つのよりどころとしているのだろう、こんなところからは、彼女の心の歌としてここに登場させているところが、ちょっと哀感の感ずるところである。

463064503_11266842623w バックは、ちょっと粋な味を見せるピアノ(Brandon McCune )やソウル感溢れるブルージーなギター(Rale Micic)、テナー(Eric Alexander)はそれらしい力をみせて、アメリカ・ジャズっぽいグルーヴ感を演じつつ彼女の抒情派ヴォーカルを旨く乗せているという感じだ。まあそれで良いのだろうと思うところ。

(評価)
□  編曲・歌  87/100
□ 録音    87/100

 

(試聴)

 

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2024年10月27日 (日)

アーロン・パークス Aaron Parks 「Little Big Ⅲ」

パークスの別の面を見るプロジェクトだが、今作は意外に大人しかった

<Jazz>
Aaron Parks 「Little Big Ⅲ」
Blue Note Records / International Version / 6578465 / 2024

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Aaron Parks(p,key)
Greg Tuohey(g)
David Ginyard Jr.(b)
Jongkuk Kim(ds,per)

Imagesw_20241023162301  いっやーーアーロン・パークスのアルバムは久しぶりだ。彼は、かって2008 年に名盤『Invisible Cinema』で名門ブルーノートからデビューし、"メロディの繊細さとサウンド・メイキングの素晴らしさ"ということで、知るに至るのだが、その後のECMの活動を経て14年振りにブルーノートへ移籍し、ここに新作をリリースした。それは2018年からの「リトル・ビッグ」プロジェクトの第三弾にあたる。これはブルーノートの社長ドン・ウォズとパークス自身の共同プロデュースとなるもので、紹介されているように「即興音楽をエレクトロニカやヒップホップ、サイケデリアなどあらゆるジャンルと融合させること」と言うことをコンセプトとしているものだ。

 私自身は、彼に関しては『Invisible Cinema』の充実度の高さに驚き、ECMからリリースの2013年のピアノ・ソロ・アルバム『ARBORESCENCE』、2017年のピアノ・トリオ・アルバム『Find The Way』あたりでお気に入りであったが、この「リトル・ビック」プロジェクトに関しては・・・このアルバムを聴いていて前作を思い出したのであるが、「ECMもの」のような期待度とは少々異なる。彼らは実験的な世界を構築し、次への進歩の道を探っているような研究と実践効果を狙っている。そんなところから、むしろ私が聴くところでは遊び感覚の方が前に出そうだ。まあそれはそれで楽しいと言えば楽しいのでやっぱりじっくり聴きこみたいのである。

(Tracklist)

1. Flyways
2. Locked Down
3. Heart Stories
4. Sports
5. Little Beginnings
6. The Machine Says No
7. Willamina
8. Delusions
9. Ashé

 曲の構成は、M1, 2, 3とM8, 9の5曲がパークスの曲でメインの役割を果たしている。M4、M7はギターリストのテューイ、そしてM5はベーシストのギンヤードの曲である。
   結論的には想像していた世界からスリリングな味が後退していた。しかしここにみる未来感覚というのはミュージシャンの持っている創造性の重要な感覚であろうか、パークスもなんとなくリーダー作の演奏と異なって、トリオのお互いが同等に演ずるのびのびした演奏の雰囲気を出している。

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 M1."Flyways"は、ピアノからギターへと旋律を橋渡しして、思ったより大人しい出だし。M2."Locked Down"がやはりこのアルバムを特徴づけるピアノとベースの低音のリズムとりの響きが異様で面白い。M3."Heart Stories"はパークスらしい美世界。
 そしてこのプロジェクトのスリリングな味を特徴とする世界を作っているのはドラムスのように思う、特にM6."The Machine Says No"のようにたたみ込んでくる様がこのプロジェクトの特徴になっているように思うのだ。
 又M7."Willamina"のように、テューイの曲らしくギターのリードが主役をなして展開し、やはりピアノ・トリオの味と異なったピアノ・トリオ+ギターのカルテットとしての形が印象的。
 M8."Delusions"は、ピアノとギターの旋律のユニゾンが見事で、次第にミニマムな演奏にて流れてゆく。M9."Ashé"は、パークス作らしく、ピアノ、ベース、ギターの特徴的ユニゾンを聴かせ、しっとりと美世界を築く。

 今作になって、良いのか悪いのかこのプロジェクトとしては、パークスならではの美しいメロディと絶妙なバランスのアコースティック、エレクトリック・サウンドが聴けるも、前作よりは大人しくなっていた。それぞれ円熟してきたということも言えるのかもしれない。しかしいつも通り、パークスはここにて新たな創造への道を探っているのだろう、そんな実験が次作の彼のリーダー作に反映する基礎として作り上げているアルバムの印象である。私は好みからは、このプロジェクトよりは彼の場合はECM盤に軍配を上げるのだが、しかしそれにはこの世界もプラス効果として影響して貴重なのかもしれない。

(評価)
□ 曲・演奏    88/100
□ 録音          87/100
(試聴) 
"Heart Stories"

*
"The Machine Says No"

 

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2024年10月22日 (火)

サマラ・ジョイ Samara Joy 「Portrait」

高い音楽性と斬新な創造性で圧倒的歌唱力をみせるが、私にとっては期待外れ

<Jazz>

Samara Joy 「Portrait」
Verve / International Version / 6801315 / 2024

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Samara Joy(vo)
Jason Charos(tp, flh)
David Mason(as, fl)
Kendric McCallister(ts)
Donavan Austin(tb)
Connor Rohrer(p)
Felix Moseholm(b)
Evan Sherman(ds)

Samarajoy_overview  24歳の若さで、サラ・ヴォーンを思わせる圧倒的な歌唱力で絶賛を集めるニューヨーク出身の女性ジャズ・ヴォーカリスト、サマラ・ジョイ (Samara Joy→)の2ndアルバムの登場である。前作『Linger Awhile』(2022)が好評で当然期待度の高いところだが、前作と異なるのは、メジャー・デビュー前から後見してきたマット・ピアソンではなく、トランペット奏者のブライアン・リンチBrian Lynchとサマラ自身が共同プロデュースしている事のようだ。更にツアー・バンドのメンバー等と録音したのも新展開の試みであったと。
 彼女は第65回グラミー賞ではメジャー・デビュー・アルバム『Linger Awhile』にて「最優秀新人賞」と「最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバム賞」の2部門を受賞、翌年の第66回グラミー賞ではシングル『Tight』で「最優秀ジャズ・パフォーマンス賞」を受賞と、まさに久々の注目株。「カスタードのようなリッチな歌声」、「静謐で悠然な音楽」などの表現で絶賛の中にいる。

(Tracklist)

1.You Stepped Out Of A Dream
2.Reincarnation Of A Lovebird
3.Autumn Nocturne
4.Peace Of Mind/Dreams Come True
5.A Fool In Love (Is Called A Clown)
6.No More Blues
7.Now And Then (In Remembrance Of…)
8.Day By Day

 オーセンティックなジャズ・ヴォーカルと言われるぐらいに評価があり、2024年2月、多くの名盤がレコーディングされてきたヴァン・ゲルダー・スタジオにて3日間に渡って録音されたもので、「サマラの脇を固めるのはツアーを共にした新進気鋭の若手ジャズ・ミュージシャン7人。スタンダードとオリジナルが織り交ぜられた内容で、彼女の類まれなる歌唱力と表現力を全面に押し出した力作」と早くも好評。

Images1w  しかし、私自身は古典的ジャズ(例えばデキシーランド・ジャズ)などは好まないし、トランペット、トロンボーン、サックス等が合奏するスタイルはどうも好きでないというタイプのせいか、今回のこのゴージャスなスタイルがどうも敬遠したくなるのである。まあ今回のプロデューサーのブライアン・リンチ(→)はアフロ・キューバン系のトランペッターですから、そんな世界になって行くのでしょうが。彼女の歌唱力と迫力は納得のところにあるのだが、ジャズのジャンルは好みの問題で致し方のないところ。前作の方が圧倒的に好きである。

 例えばM7."Now And Then"のように、美しめのピアノのバックでラッパものは静かに後ろでゆったりと支えていてくれ、彼女のヴォーカルがバラード調に流れると、ほっとしつつ、聴き込むのである。このアルバムでは最も親近感を持った。M5."A Fool In Love"はやはりバラード調で、バックも小コンポ様の演奏でゆったりと聴ける。この程度なら私も対応可能だ。
 又M2."Reincarnation Of A Lovebird"などの歌い上げる様はやはり抜きんでてますね。入りはアカペラで実力をみせつけ、前半は説得力あるヴォーカルは魅力なのですが、後半のバックのなんとも古めかしく合奏で盛り上げるところは、私には願い下げなんです。
 M3."Autumn Nocturne"の新解釈の歌いこみは凄いし、そしてM4."Peace Of Mind"の前半の説得力ある歌も聴きこむと魅力はある。
 M6."No More Blues"は期待したのだが、ブルースの味は感じ取れなかった。

Samara_joy_inntne_12  アルバム全体としてどうも私の好むところではない。高い音楽性と斬新な創造性には敬意を払うし評価もする。そして彼女の全域を歌い上げる技量には感服するし、豪華・迫力という線は見事だが、哀愁・情緒・味わいといった線からは、もともと編曲の目的が異なるものなのであろう。いずれにしても進化の途中として、こんな方向にどんどん進んでゆくのだろうか、とすると、それも致し方ないが、私は寂しいところだ。
 まあ、好みのジャズ・スタイルの問題であって、このアルバムを絶賛する世界もあると思うし、高評価のポイントは多いと思うが、いずれ彼女の方向がどのように向かってゆくのかと言うことには、私の関心も高い。いずれにしても私はこの線だとお気に入りの世界に収めるのは無理なのである。

(評価)
□ 曲・編曲・歌   87/100
□ 録音       85/100

(試聴)
"You Stepped Out Of A Dream"

*
"Now and Then"



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2024年10月12日 (土)

グレン・サレスキ Glenn Zaleski Trio 「Star Dreams」

人間的な感情の機微を描くところに味わいがある

Glenn Zaleski Trio 「Star Dreams」
SUNNYSIDE RECORDS / Import / SSC 1744 / 2024

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Glenn Zaleski(piano)
Dezron Douglas(bass)
Willie Jones III(drums)
Recorded October 9th 2023 at Acoustic Studios Brooklyn NY


Glenn2023w   トリオでスタンダードを中心とした第一作、オリジナルを中心とした第二作、そしてクインテット編成の第三作とSunnysideレーベルより自身の音楽を発展させてきて今注目の米国若手ジャズ・ピアニストのグレン・ザレスキ(→)、この2023 年録音の最新盤『Star Dreams』は再びピアノ・トリオでのリリースだ。ベーシストのデズロン・ダグラス(米、下左)、ドラマーのウィリー・ジョーンズ 3 世(米、1968年生まれ、下右)が、スウィングしながらもピアノ・トリオでジャズの幅を広げるコンテンポラリーなジャズを展開する。

 ザレスキは1987年マサチューセッツ州ボイルストン生まれ。ブルーベック・インスティテュートと、名門ニュースクールに学び、「コール・ポーター・フェロウシップ・イン・ジャズ」でファイナリスト、2011 年の「セロニアス・モンク・インターナショナル・ジャズピアノ・コンペティション」でセミファイナリストに選出され、頭角を現した。2009年から2011年まで、ニューヨーク大学の大学院で学び学位を取得し、ニューヨーク大学の教員としても活躍している。

 2016年に自身のトリオで全国 7ヶ所の来日ツアーを成功させ注目株。  彼の最近のコラボレーションには、セシル・マクロラン・サルヴァント、ケン・ペプロウスキー、ラヴィ・コルトレーンなどの素晴らしいミュージシャンが挙げられる。

 このトリオの結成経過は、ザレスキがダグラスと出会ったのはコルトレーンとのコラボの時で、又ジョーンズとは、ペプロウスキーのアンサンブルでの事であったと。そしてパンデミック禍の間、トリオ組んで2年間にわたって演奏してきたと言うことだ。
 ザレスキは、この二人がサポートとインタラクションの完璧なバランスを演じてくれることに納得して、そのリズミカルなエネルギーを持つ強力なスウィングが気に入っていた。そんな彼らが素晴らしく感じられ、このトリオにて録音するのが理想的と判断。同時代人や友人を称えるという彼の特徴を継続しての曲の選定を行い、このアルバムは、下記のようにザレスキのオリジナル3曲、スタンダード5曲で構成される事になったという経過。

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(Tracklist)

1. I WISH I KNEW* 4:31
2. TWO DAYS 6:27
3. MONDAY 4:23
4. OPUS DE FUNK 6:04
5. WAYNE 5:19
6. STAR DREAMS 5:47
7. PASSPORT 4:17
8. I'M IN THE MOOD FOR LOVE 5:35
*Arranged by Adam Kolker

Compositions: Two Days, Wayne, Star Dreams (Glenn Zaleski)
I Wish I Knew (Harry Warren); Monday (Cécile McLorin Salvant)
Opus De Funk (Horace Silver); Passport (Charlie Parker)
I'm In The Mood For Love (Jimmy McHug)

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 スタートは、ハリー・ウォーレンのM1."I Wish I Knew"のピアノの弾むようなテイクで始まる
 M2."Two Days"はザレスキが初めて書いた曲(16歳)とか、このトリオの多彩な因子が織り込まれている。
 ザレスキのお気に入りとか、セシルのM3."Monday"、ぐっと落ち着いた世界。
 ザレスキは、ブルースを演奏することがピアニストのスタイルの最高のバロメーターであると。このホレス・シルヴァーのM4."Opus de Funk"を選曲し、ベース、ドラムスを生かして楽しく演奏している。
 ザレスキのバラード曲M5."Wayne"は、クラシックなシャズの落ち着き感があって、このアルバムの私のお気に入りの曲。
 タイトル曲M6."Star Dreams"は、ザレスキの息子が眠っている間に何を想像するかと思うそんな親の情景を描く。遊び心のある高揚と同時に、ちょっと不思議な満足感を描く。
 チャーリー・パーカーのM7."Passport"では、成程このトリオのコードへの挑戦姿勢が演じられる。
 そして締めは、ジュリー・ロンドンも歌って私の好きなザレスキもお気に入りというバラードM8."I'm In The Mood for Love"。ぐっと静かに優しく心にピアノの音が染みてくる。こんなムードがほっとするところである。

 このトリオは人間的な感情を見事に表現しているところが、魅力の一つだろう。演ずるところジャズの伝統を重んじつつ、やはり若さで描く対象に未来への展望の感じられるコンテンポラリーなところも評価されるところなのかもしれない。

(評価)
□ 曲・演奏 :   88/100
□   録音   :   87/100 

(試聴) "I wish I Knew"

*
  "I'm In the Mood for Love"

 

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2024年10月 7日 (月)

マイケル・ウルフ Michael Wolff 「MEMOIR」

リズミカルにダイナミックな曲展開と、一方思慮深い演奏と

<Jazz>

Michael Wolff 「MEMOIR」
SUNNYSIDE RECORDS / Import / SSC 1726 / 2024

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Michael Wolff (Piano),
Ben Allison (Bass)
Allan Mednard (Drums)

448467976_8164917830186161w  革新的なスタイルと言われるアメリカのジャズ・ピアニスト/作曲家のマイケル・ウルフ(1952年メンフィス生まれ)の新アルバム『Memoir』がリリースされた。実情は詳しくは解らないが、珍しいタイプの癌により死の淵に立たされ、4年間の闘病生活から奇跡的に回復して録音したピアノ・トリオ新作ということで注目度も高い。
 長年のコラボレーターであるベーシストのベン・アリソン(1966年生まれ、米国 下左)とドラマーのアラン・メドナード(1986年生まれ、米国 下右)とのトリオだ。そして11曲入りのコレクションは、新曲と、彼のお気に入りの未発表オリジナル曲の新解釈によるものが主で、アルバム・タイトル「Memoir」は"回顧録"という意味に捉えてよいのか、 彼が言うには「すべての音符や曲がリスナーの心に響き、自分の経験の旅を反映したかったのです。このアルバムは、非常に個人的で思慮深い感情を伝えていますが、それでも素晴らしいエネルギーを持っています」ということで、闘病・再起の経験から自己見つめてきた事による状況が伺いとれ、それを何としても訴えるとともに人生の重大な物語を表現するそんな重い内容のアルバムとして聴くことになった。

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(Tracklist)

1 Left Out
2 Afternoon
3 Zawinul
4 Leland
5 On My Mind
6 Jamaican Turnaround
7 Could Be
8 No Lo Contendre
9 Wheel of Life
10 Sad Clown
11 You've Changed

 曲は闘病生活後のかなり「個人的な感情」の表現であるようだが、やはりスタートM1."Left Out"はベースとピアノの重い音でスタートするが、次第に人生を語る物語調の世界で明るさも感ずる。そして続くは、妻(女優/作家/監督のポリー・ドレイパー)がニューヨークの晴れた日の午後にキッチンで忙しくしている間にピアノに向かって即興で書かれたというバラード曲M2."Afternoon"がまずは注目されるところで、この曲はメランコリックな感情の一つの表現であろうが、沈み切るのでなく説得力の感じられるところが凄い。

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 なにせ名人芸と革新的なスタイルで知られるヴォルフであり、ここでも新たな音のアイデアの探求は続いているようで、ジャズ・フュージョンのオーストリアのキーボーディスト:ジョー・ザヴィヌル(1932-2007)を礼賛し捧げる歌とみられるM3."Zawinul"では、軽快な展開とヴォルフの驚きのパーカッシブなピアノ演奏法や変幻自在なリズムの変調などで彼の探求が健在だ。続くM4."Leland"は、John Leland(英、美術家)を描いているのか、ぐっと落ち着いた世界に。
   斬新なアプローチは、M6."Jamaican Turnaround"とかM8."No Lo Contendré"で身に染みてくる。特にM8.では、ラテンの影響を受けた燃えるような自由奔放な三者のジャム、ピアノのリフがドラマテックに展開し、ジャズの楽しさの即興演奏が開花している、まさに人生賛歌に聴ける。
 M9."Wheel of Life"ぐっと落ち着いた世界に、彼の今の心情が伝わってくる。
 そんな中で、襲ってくる憂鬱な気持ちからは逃れられず、締めくくりにおいては内省的な曲M11."You've Changed"(唯一のカバー曲)で表現されている。

 彼のダイナミックな曲展開の中に、同時にソウルフルな人生の探求を描き、ウルフの演奏の多彩で複雑な世界にトリオ・メンバーのアーティスト魂が注ぎ込まれた演奏が展開する。
 「個人的な感情」は、ウルフのより思慮深い演奏と作曲によるいくつかのバラード曲で表現され、彼の経験がミュージシャンとしての彼の進化にどのように影響を与えたかを音楽的に表現したものと言えるらしいが、印象では、まだまだそれは前進の過程にあるようだ。人種隔離された南部で育った彼のルーツ、トゥレット症候群との生涯にわたる闘い、ジャズ界での名声の獲得、そして最終的には癌の征服まで、多彩な彼の人生と音楽キャリアを記録しているものとして聴くと味わい深い。

(評価)
□ 曲・演奏 : 88/100
□ 録音   : 88/100

(試聴)
  "Afternoon"

 

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