CLASSIC

2018年9月18日 (火)

ロジャー・ウォーターズRoger Watersストラヴィンスキーに挑戦「The Soldier's Tale 兵士の物語- Narrated By Roger Waters」

ピンク・フロイドの頭脳が遂にストラヴィンスキーの世界に

 驚きのニュース!!、目下2年にわたる「US+THEM」ツアー中のあの元ピンク・フロイドの"The Creative Genius of Pink Floyd~ピンク・フロイドの創造的鬼才"と言われるロジャー・ウォーターズが、ロシアの異色作曲家ストラヴィンスキーの作品『The Soldier's Tale 兵士の物語』(1918年発表)を題材に、器楽演奏のナレーションを独自の構想で行うというクラシック・アルバムの発売ニュースがアナウンスされている。

<Classic>
Roger Waters
「The Soldier's Tale 兵士の物語- Narrated By Roger Waters」

Sony Classical / 19075872732 / 2018

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<演奏>
ロジャー・ウォーターズ(語り)
ブリッジハンプトン室内楽音楽祭の音楽家
 スティーヴン・ウィリアムソン(クラリネット)
 ピーター・コルケイ(ファゴット)
 デイヴィッド・クラウス(トランペット/コルネット)
 デミアン・オースティン(トロンボーン)
 コリン・ジェイコブソン(ヴァイオリン)
 ドナルド・パルマ(コントラバス)
 イアン・デイヴィッド・ローゼンバウム(パーカッション)

<録音>
2014年12月11日 12日 Bridgehampton Presbyterian Church

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 ストラヴィンスキー(イーゴリ・フョードウィッチ・ストラヴィンスキー1882-1971)と言えば「火の鳥」「春の祭典」などは聴いたことがあるが、この「兵士の物語」は全く知らない。第一次世界大戦の社会的・人間的疲弊の中での作品と言われ、考えて見るとロジャー・ウォーターズの祖父は第一次世界大戦で戦死、また父親は第二次世界大戦でイタリアのアンツィオの激戦で戦死している。従って父親とのコンタクトなく少年時代を過ごした彼には、常にこのトラウマが人生を左右してきた。彼のピンク・フロイド時代の作品に於いても後期(特にアルバム「狂気」以降、「THE WALL」、「THE FINAL CUT」には切々と訴えてくる)にはこの事実のトラウマとの闘いでもあった。とすれば彼の才能からすれば、このクラシック作品に挑戦するというのは、極めて自然な話なのかも知れない。

 中身は”読まれ、演じられ、踊られる”作品と紹介されるこの「兵士の物語」は、3人のナレーション(語り手、兵士、悪魔)と7人の器楽奏者によって演奏される舞台作品だそうだ。原作はフランス語だが、その英語版をもとにウォーターズ自身が改作。本来3人で演じられるものを声色やアクセントの変化をつけることで、ロジャーひとりで語りを担当したニュー・ヴァージョンと言う事だ。
 ロジャーのこうした挑戦は、ピンク・フロイド作品から全くのブレもなく一貫している。彼の戦争という社会悪にあらゆる側面から訴え続ける道には一つも陰りが無い。
 彼のフランス革命を題材にしたクラシック・オペラ作品『サ・イラ』(2005年) 以来のソニークラシカルからの作品近々リリースだ。

 取り敢えず早く聴いてみたい一枚である。

(参考視聴)

① Stravinsky "The Soldier's Tale "

*
② Roger Waters "The Fletcher Memorial Home"(from 「the final cut」)

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2018年8月 4日 (土)

懐かしの海外スナップ集(3)=ハンガリー・ペーチュ(3) & 「教会音楽」

ペーチュPécs(ハンガリー)にて  (2000年5月撮影)

「もう夏の訪れ」   Király Streetにて

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「ちょっとしたひととき」  ~親子の語らい           

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Mamiya 645AFD   Zoom AF 55-110mm 1:4.5
posi-color film KODAK E200

(これは当時のKODAKのリバーサル(ポジ)・カラー・フィルムであるが、前回のハンガリー・ペーチュ(2)のFujiのネガー・カラー・フィルムと比較してみると、明らかに清々しいFujiのネガの色に軍配の上がるという状態でした。Fujiのネガは優秀なのに驚きです)


 ペーチュは、ハンガリーの南に位置した農業地帯にある都市だが、ハンガリーでは人口から五番目の規模の都市(17万人)であるようだ。発展が遅かっただけ観光的にはなかなか魅力の都市である。ここにある教会は立派なホールとパイプ・オルガンがあり、音楽的にも引きつけるモノがある。

 (このシリーズは、私の別室ブログ「瞬光残像」http://photofloyd.exblog.jp/と連携しています)

(ペーチュの教会で聴いた音楽)

<Classic>
SZABOLCS SZAMOSI 「A PÉCSI BAZILIKA ORGONĀJA」
Lszl Dobos / Hungary / DLCD110 /1997

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  Pécs Cathedral、この教会でハープオルガン演奏を聴いた。その荘厳たる響きに圧倒される。天井の高い空間に於ける響きは体の芯まで響く思いであった。こうした場所は残響も手頃で有りそこが又感動の世界である。
 このアルバムは、この時に、この教会で手に入れたものだ。

Listw

 Listは上記のとおりで、やはりバッハの”トッカータとフーガBWV565”が登場する。この教会での録音で有り、その荘厳たる音と響きが堪能できる。これも懐かしい思い出であった。

(参考視聴)

Bach「Toccata & fuga二短調 BVW565」

Pécs (Hungary)

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2018年6月10日 (日)

(美女狩りシリーズ)カティア・ブニアティシヴィリKhatia Buniatishvili 「Kaleidoscope」 

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若き飛んでる女流ピアニストのムソルグスキーの「展覧会の絵」

<Classic>

Khatia Buniatishvili 「Kaleidoscope」
Sony Classical / EU / 88875170032 / 2016


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「Kaleidoscope」
Khatia Buniatishvili, piano 
Recorded: 23-26, 8, 2015  


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今や話題の女流ピアニストのカティア・ブニアティシヴィリKhatia Buniatishviliのピアノ・ソロ・アルバムとしては最新作である(2016年リリース)。彼女はまあはっきりいうと良きにつけ悪しきにつけ「飛んでるミュージシャン」ですね。
  所謂クラシック・ミュージシャンのイメージからみれば、型破りな存在である。1987年ジョージア(旧称グルジアで、女性ヴォーカルではケイティ・メルアとか、日本の相撲で言えば栃ノ心だ)生まれであるから、30歳になったところだ。6歳よりリサイタルやオーケストラとの共演を行っているというから並とは違う。又女性としての魅力を十二分に披露するところも積極的、美貌を売り物にスタイル、ファッションも堂々とアピール。そして詰まるところ彼女の演奏にも型破りなところは随所に見られ、それも今や批判組を圧倒して支持者が増えているのである。

List 
CDデビューは、2011年ソニー・クラシカル専属としてリスト作品『FRANZ LIST KAHTA BUNIATISHVILI(Sony Classical/88697766042)(→)であった。これは最近あらためて仕入れて聴いた盤。演奏は派手というかメリハリはかなりある。自由奔放さと激しい演奏を演ずるところは、アルゲリッチにも似ていると評されたところだが、その通りである。やはり少々荒々しさが勝っているかと言うところであった。

 さて話は戻って今回のこのアルバム「Kaleidoscope」の中身は・・・

〇Mussorgsky (1839 - 1881) / Pictures at an Exhibition (piano version)
  ムソルグスキー:組曲『展覧会の絵』
〇Ravel (1875 - 1937)/ La Valse  ラヴェル:ラ・ヴァルス
〇Stravinsky (1882 - 1971)/ Three Movements from Petrushka
  ストラヴィンスキー:『ペトルーシュカ』からの3楽章



 驚いたことに、今時はこうしたクラシック・アルバムに「Kaleidoscope(万華鏡)」というようなタイトルを付けるんですね。選曲がらみと演奏とで確かにそんな印象はあるのだが、又ジャケも既成観念からするとクラシックぽくない。

 さて、このアルバムの注目はやはりモデスト・ムソルグスキーの「展覧会の絵」だ。これにはもともとのピアノ版(1974年「ピアノ組曲」として発表)とオーケストラ版(モーリス・ラヴェルによる管弦楽に編曲されたもの)がある訳だが、私はCD時代になって親しんできたのは、アルフレッド・ブレンデルのピアノによる1985年録音盤「Alfred Brendel/PICTURES AT AN EXHIBITION」(PHILOPS420 156-2)(↓左)であった。(時には、オーケストラ版として、アンドレ・プレヴィン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の1985年録音盤「André Previn/PICTURES AT AN EXHIBITION」(PHIRIPS416 296-2)(↓中央)も聴いて来た)
 一方、クラシック版の話をしているのにロックの話はちょっとまずいかも知れないが、好きなのは、かってのE.L.P.のアルバム「Emerson, Lake & Parmer/展覧会の絵」(↓右)だ。

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 なんとここに来て、改めて若き女流ピアニストのこの「展覧会の絵」を聴くことになったのだった。
 勿論これはクラシック演奏なのだが・・・・私はこのカティア・ブニアティシヴィリの演奏を聴いてなんとジャズ的な世界も頭に描いていた。それは演奏にある彼女の特徴である型破り性にある。クラシック・ピアニストは、それを極めてゆくうちにジャズ・ピアニストとして自己を主張してゆくようになることが多い(アンドレ・プレヴィンはクラシックとジャズの双方をこなしている)。しかし彼女はクラシック畑に留まって古いしきたりを破りつつ独自の世界を切り開こうとしているところが、如何にも現代的な若者の世界である。

 つまりこのアルバムの「展覧会の絵」も、スタートの「ブロムナード」は極めてスローにしてソフトであって、まずここから何が起こるのかと不安と期待を抱かせる、この手法も悪くは無い。それも「グノーム」にてのインパクトを聴かせたいのだろう。彼女の得意の速弾きから考えると「古い城」も遅めのソフトにゆったりしている。それも「ブィドロ(牛車)」になっても打鍵は強くなるもるも、まだスローな流れは続く、そして「ザムエル・ゴールデンベルグとシュムイレ」では速緩と強弱の変化はかなり強め、 「リモージュの市場」になって早い展開をみせ、続く「カタコンプ」は再び極端にゆったりと変化。 「にわとりの足の上に建つバーバ・ヤーガの小屋」の強打音と早い流れに入って、成る程これを印象づける一つの手法であったのかと思う。 「キエフの大門」は壮大に展開するところは頂きだ。

Kb2 不安定なリズム感と躍動感、全体的な無計画さというところを指摘もされる彼女だが、見方によっては大胆でありながらも繊細さをも持ち合わせ、意表を突く演奏で結構楽しめる。独自の音楽を聴かせようとする試みはクラシック界でも今や貴重な存在だろう。
 もう一つ、なんと言って良いか、ライブ演奏での彼女は時として犯すミスタッチや曲の流れの独自解釈による破綻も美貌や演技で帳消ししてしまうという離れ業があるようだが、今やそれを容認しているクラシックを聴く方も時代の変化の中にいるのだなぁ~と思うのである。

(評価)
□ 演奏 ★★★★☆
□ 録音 ★★★★★☆

<Khatia BuniatishviliのDiscography & Biography>
2011年 Franz Liszt ピアノソロアルバム
2012年 Chopin 協奏曲(パリ交響楽団、パーヴォ・ヤルヴィ指揮)
2014年 Motherland ピアノソロアルバム
2016年 Kaleidoscope ピアノソロアルバム
2016年 DVD/BLUE-RAY リスト・ベートーヴェンピアノ協奏曲(イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団、ズービン・メータ指揮)
2017年 Rachmaninoff ラフマニノフピアノ協奏曲第2・3番(チェコ・フィルハーモニー管弦楽団、パーヴォ・ヤルヴィ指揮)

 1987年グルジアのトビリシ生まれ。トビリシ中央音楽学校を卒業後、トビリシ国立音楽院に入学。6歳よりリサイタルやオーケストラとの共演を行っている。12歳から本格的に演奏活動 を行っており、ルガーノ、ジュネーヴ、ヴェルビエ、サンクトペテルブルグ等の音楽祭にも招かれて、その他多くのヨーロッパの主要なホールで 演奏会を行っている。'03年ホロヴィッツ国際コンクールでは、特別賞受賞。同年エリザベート・レオンスカヤ奨学金を付与され、同じ年、パリのフランソ ワ=ルネ・デュシャーブルのマスター・クラスに招待された。'08年にはショパン、ピアノ協奏曲第2番でカーネギーホールにデビュー。同年アルチュール・ルービンシュタイン国際ピアノコンクール3位並びに最優秀ショパン演奏賞、オーディエンス・フェイバリット賞受賞。ヴァイオリンのキドン・クレーメルのほか、指揮者パーヴォ・ヤルヴィとの信頼関係も深いとか。2011年よりソニー・クラシカルの専属アーティストとなる。  
(このBiographyは、
ネット上の記事を参照にした)

(参考視聴)

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2017年1月 1日 (日)

謹賀新年 2017 =アラベラ・美歩・シュタインバッハー Arabella Miho Steinbacher 「Fantasies・・・・」

明けましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします

                     2017年 元旦

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 (今年の初聴きアルバム)
  惚れ惚れする緊張感と美しさ、そして懐かしの心をくすぐる

<Classic,  Violin Concerto >
Arabella Miho Steinbacher 「Fantasies, Rhapsodies and Daydreams」
PENTATONE / GERM / PTC 5816 536 / 2016

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Recorded at Salle Yakov Kreizberg of the Auditorium Rainnier III, Monte-Carlo in October 2014
(演奏)
アラベラ・美歩・シュタインバッハー(ヴァイオリン;1716 年ストラディヴァリウス「ブース」(日本音楽財団貸与))
ローレンス・フォスター(指揮)、モンテ・カルロ・フィルハーモニー管弦楽団

(曲目)
(1)ワックスマン:カルメン幻想曲(11'41")
(2)サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン Op.20(9'01")
(3)ヴォーン・ウィリアムズ:揚げひばり(14'40")
(4)サン=サーンス:ハバネラ Op.83(11'06")
(5)サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ Op.28(9'51")
(6)マスネ:タイスの瞑想曲(5'57")
(7)ラヴェル:ツィガーヌ(10'52")



 名曲のヴァイオリン・コンチェルト集である。ヴァイオリニストは女性で、今や世界的な評価を勝ち取るに至った日本人の血の入ったドイツ人アラベラ・シュタインバッハー、オーケストラはモナコ公国のモンテ・カルロ・フィルハーモニー管弦楽団である。

927_690x465 アラベラ・美歩・シュタインバッハーArabella Miho Steinbacher (1981年11月14日- )は、諸々の紹介を見ると以下のようなところ・・・・・
 ドイツ女流のヴァイオリニスト。ミュンヘンでドイツ人の父親と日本人の母親との間に生まれた。3歳でバイオリンを始め、9歳でミュンヘン音楽大学にてアナ・チュマチェンコに学んだ。ドロシー・ディレイやイヴリー・ギトリスにも師事した。2000年にハノーファーで開催されたヨーゼフ・ヨアヒム・ヴァイオリン・コンクールで入賞、翌年にはバイエルン州より奨学金を授与された。
 ゲルギエフ、マゼール、パッパーノ、シャイーといった数多くの巨匠指揮者たち、世界を代表するオーケストラとの共演を次々と成功させ、今やドイツ音楽界を担う地位を確立している。繊細さと力強さをあわせもつ演奏で、バッハから近現代作品までレパートリーは広い。
・・・と、知ることが出来る。

 このアルバムでの私の個人的な一つの注目点は、冒頭から登場するワックスマンFranz Waxman(1906-1967)のM1.「カルメン幻想曲」だ。この幻想曲」は、サラサーテのものが有名だが、この映画音楽で名を馳せたワックスマンのものもジョルジュ・ビゼー作曲のオペラ『カルメン』に登場するメロディを用いて、ヴァイオリンの名演技を示し聴かすべくを目的とする作品で、なかなか魅力的。私は幼少の頃から「カルメン」はなんとなく聴かされてきて非常に懐かしさが回顧される曲で有り、それがヴァイオリン協奏曲手法で、ときに懐かしのメロディーの登場にほろっとしてしまう。それが見事にシュタインバッハによってメロディーが歌いあげられるが如く演じきられている。
 その他、「ツィゴイネルワイゼン」、「揚げひばり」、「タイスの瞑想曲」等と名曲がズラーっと並んで登場。M6.「タイスの瞑想曲」にはうっとりとしてしまい楽しめるそのものの一枚だ。
 そして彼女のヴァイオリン演奏の技量と音質とを知りたいならM7.ラヴェルの「ツィガーヌTzigane」(10'52")ですね。この曲にはヴァイオリンのソロ演奏の要素も多く、又各種演奏技術を要するところが要求される。しかし繊細な技術が見事に演じられていて素晴らしい。

  このアルバムは、なかなか力が入っていて、SACDハイブリット盤であり、サラウンド録音も同時に聴ける。このタイプは歓迎ですね。
 今年のオープニングは名曲クラシックで・・・・そして今年一年もジャズやロックに、感動がありますよう願ってのスタートであります。

       ------------------------------------

<今年の予感>
     昨年から、CD全盛期を迎える前のLPの再生の比率が高くなってきたのが気になります。
     今年はLPの購入に・・・と言うことになって行くのだろうか・・・・・

  (懐かしの機器 DENON Turntable DP-80 及び MICRO Dynamic Balance Tonearm MA-505L
      
そしてDENON Pre-Amplifiyer PRA2000 が健在なのです)

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            *               *
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(視聴) Arabella Steinbacher ”Méditation from "Thais"”

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2016年9月11日 (日)

繊細にして好音質盤が聴きたくなる「秋」の到来

ヘンデル「ハープ協奏曲」

 昼間はまだ暑いとは言え、夜になると秋の到来も感ずる今日この頃。なんとなくそんな夜には繊細にして好録音の音が聴きたくなる。私はそんな時には、もう何十年繰り返して聴いているアルバムがある。

<classic>
G.F.Händel 「KONZERT FÜR HARFE UND ORCHESTER ハープ協奏曲」
Deutsche SchallPlattan / 徳間ジャパン / 32TC-38 / 1985

Photo
ユッタ・ツォフJutta Zoff :ハープ
ハインツ・レーグナーHeinz Rögner : 指揮
シュターツカペレ・ドレスデンSächsische Staatskapelle Dresden」

 1973年7月11-14日 ドレスデン・ルカ教会 録音

 LPからCD時代になって、その当時かってのLP好録音盤がぞくぞくCDで発売されたことがあった。このCD盤もそんなときの一枚である。

Haendel ヘンデルのハープ協奏曲は、音楽史上最初のハープ協奏曲といわれている。もともとはオルガン協奏曲第6番変ロ長調から生まれてたものだが、現在はハープ協奏曲として知られているもの。
 ハープの調べは非常にエレガントと言って良いだろうか、典雅な響きが魅力的で気持ちを安らげてくれるので私は好きだ。気持ち的には真夏向きでは無いが、ふと静かな秋を感じた時には、まことにおあつらえ向きなのである。

 このアルバムはなんと1973年録音であるがとにかく音が良い。ハープの響きは繊細さのある切れの良い音で広がる。ストリングスも繊細な高音、低音の響きで美しい。特徴はホール感の充実であり、非常に品がある。

 このレーベル「Deutsche SchallPlattan ドイツ・シャルプラッテン」は、旧東ドイツ時代に、唯一の国営レコード公団として1946年に設立されて以来、実に数多くのクラシックの名演を残してきた。このレーベルの振るっているのは、クラシックばかりでなくロック、ポップス、現代音楽と多岐に渡っている。
Dresden_lukaskirche_2 又名演、名録音で名高いのが、このアルバムの録音場であったドレスデンの「ルカ教会」ものである。この教会は住宅街の中に古びた外観のものであるが、1945年2月に連合国軍がおこなった無差別空爆(ドレスデン爆撃)で被爆、教会内部までも破壊されたが、戦後になって修復され、東ドイツで唯一の国営レコード会社であったドイツ・シャルプラッテンによって、レコーディング専用の施設として使われることになったというもの(現在も空爆による破壊で尖塔が無い)。
 ここは「名盤の聖地」と呼ばれ、最近オリジナル・アナログマスターの持つ音質を楽しむために、かっての録音ものをキングでハイレゾ配信も行った。
 とにかく天井も高く、技術陣によって響きも改良され、ここの地元の名門楽団シュターツカペレ・ドレスデン(ドレスデン国立歌劇場管弦楽団)をはじめ、オペラから室内楽、歌曲まで数々の名録音を残している。

Juttazoff2_2 このハープ協奏曲も、この名門楽団もので有り、ハープ奏者は女性ユッタ・ツォフJutta Zoff で(←)、この楽団シュターツカペレ・ドレスデンの首席ハープ奏者である(1967年以降)。
 彼女は東ドイツを代表する存在で、ヨーロッパ各国に知られていた。
 幼いときはピアニスト、その後はサキソフォン奏者の経験もある。とにかく演奏はノーブルという表現がぴったりの品のあるものであった。

Hrogner 指揮はハインツ・レーグナーHeinz Rögner (1929-2001)で(→)、既に十数年前に亡くなっているが、彼はどちらかというと地味な指揮者であったが、ブルックナー、ワーグナー等の名演がある。1958年、ライプツィヒ放送交響楽団の首席指揮者、1962年、ベルリン国立歌劇場の常任指揮者、1973年、ベルリン放送交響楽団の首席指揮者。1983年4月から1992年3月には読売日本交響楽団の第5代常任指揮者。

 この「ヘンデルのハープ協奏曲」は、3楽章構成。
 第1楽章は、4分の4拍子。テンポは「アンダンテ アレグロ(歩くように快速で)」でリズムカルで快調。オーケストラは静かな時が多く、ハープの響きを堪能できる。
 第2楽章は、4分の3拍子。ラルゴの短調の緩徐楽章、哀愁感が見事。ハープの高音も美しい。
 第3楽章は、8分の3拍子。テンポはアレグロ・モデラート。かなりハープの弾きが最高潮に響く章。

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 なお、参考までに、現在
『ハープ協奏曲 ツォフ・レーグナー&シュターツカペレ・ドレスデン』(KING / KICC3599)
というCD盤(→)が手に入るが、多分これはここで紹介した1985年リリースものと録音日も同一であり、確認はしてないが同一で、これが現在売られている盤だと思われる。なかなか長生きのもの。

収録曲
■ヘンデル/ハープ協奏曲変ロ長調作品4-6
  第Ⅰ楽章 アンダンテ・アレグロ
  第Ⅱ楽章 ラルゲット

  第Ⅲ楽章 アレグロ・モデラート
■ディッタースドルフ/ハープ協奏曲イ長調

  第Ⅰ楽章 第Ⅱ楽章 第Ⅲ楽章
■シャン・フランセー/ハープとオーケストラのための六楽章の詩的な遊戯
  第Ⅰ楽章 第Ⅱ楽章 
第Ⅲ楽章 第Ⅳ楽章 第Ⅴ楽章 第Ⅵ楽章

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2016年1月21日 (木)

ピーター・ビーツPeter Beetsが演ずるショパン:「CHOPIN MEETS THE BLUES」

驚きのショパン~ニュー・ヨーク・ジャズに変身・・・・・

 <Jazz>
    PETER BEETS 「CHOPIN MEETS THE BLUES」
     Criss Cross Jazz / Holland / Criss 1329 cd / 2010
Chopin2
 
Peter Beets(p), Joe Cohn(g), Reuben Rogers(b), Greg Hutchinson(ds)
Recorded at Systems Two Recording Studios, Brooklyn, N.Y. on November 9, 2009

 先日ここでオランダのジャズ・ヴォーカリストのフェイ・クラーセンFay Claassen を取り上げた。それは彼女のリタ・ライスをトリビュートした最近作アルバム『LIVE AT THE AMSTRDAM CONCERTGEBOUW』だったが、ここで、バックのピアノ演奏を務めたのが、やはりオランダ出身のピーター・ビーツPeter Beetsだ(ドラムレスのピアノ、ギター、ベースのトリオで)。なかなか流麗なピアノの演奏で興味が持てたが、彼は2010年にショパンを取り上げたアルバムをリリースしており、私は最近聴いたのでここで考察しておく。

Pb1 ショパン生誕200年に当たる2009年に、ピーター・ビーツは、このレコーディングの機会を得たというその録音モノ。
 とにかくショパンとなれば、多分ピアニストの殆どは尊敬の念を持ち合わせているだろう。そしてジャズ・ピアニストと言えども、殆どはクラシック・ピアノを学んでのジャズ世界での活躍であるがため、多くのピアニストの気持ち中には何処かにショパンが居るのではないかと思うのである。
 ピーター・ビーツは、オランダの本格的ジャズ・ピアニストで、1971年生まれで両親・兄弟全ての音楽一家として育っている。デン ・ ハーグ王立音楽院20 代前半学んでおりその後はニュー・ヨークを始め本格的ジャズ畑で修行している。

(tracklist)
1.Nocturne in Eb Major, Opus 9 #2
2.Nocture in F Minor, Opus 55 #1
3.Mazurka in A Minor, Opus 17 #4
4.Prelude in B Minor, Opus 28 #6
5.Prelude in E Minor, Opus 28 #4
6.Nocturne in B Major, Opus 9 #3
7.Waltz in C# Minor, Opus 64 #2
8.Nocturne in F Minor, Opus 55 #1 

 さて、このアルバムはカルテット、そしてその前半を聴いてまずは驚くのは、むしろクラシック・ニューヨーク・ジャズと言って良いのか?、即興演奏を交えてのショパンのメロディは何処に?と思うくらいまさにジャズなのだ。基本的にはスウィング・ジャズで、所謂ビバップ・スタイル。とにかく解っていて良く聴かないとショパンのメロディーが見えてこないままに終わってしまうが、そのメロディーを思い出して聴くと、これが面白いように音の流れを操るピーター・ビーツの世界が見えてくる。
 そしてピアノのメロディーだけでなく、ギターが更に即興を奏でてくるので彼らのオリジナル曲を聴いている気分にもなる。又ベース・ソロもオリジナル・ショパン・メロディーでなく、むしろピーター・ビーツの即興部分を更に発展するように聴かせてくれていて、とにかく面白い世界に連れて行ってくれる。
 それでも”Nocturne in B Major, Opus 9 #3 ”、あたりでは、誰にでも解るようにショパン・メロディーを聴かせていて、やっぱりショパンなんだと思わせるところも憎いところ。

 まあ、ショパンを聴こうと思ってはいけない。このメンバーのジャズ・カルテットを聴くと言った姿勢で納得が得られるというところ。

(視聴)”Waltz in C# Minor, Opus 64 #2 ”アルバム・バージョンとは異なる演奏

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2016年1月14日 (木)

新春には・・・ヴィヴァルディVivaldi 「協奏曲集・”和声と創意への試み”Op.8~”四季”」

新春はポピュラーなクラシックで・・・・・・

 新春向けの音楽と言えば、クラシックと言ってももうポピュラーに近い誰もが知っているヴィヴァルディ(Antonio Vivaldi 1678-1741)の協奏曲集 《和声と創意への競演(試み)》 (Concerti a 4 e 5 "Il cimento dell'armonia e dell'inventione"Op.8) 作品8だ。その内、ヴァイオリン協奏曲集「四季」が最も親しまれているのだが、それは協奏曲第1番から第4番までの「春」「夏」「秋」「冬」に付けられた総称である。 そして最も新春向けは第一番の「春」ですね。

Imusici そしてヴィヴァルディの「四季」と言えば、日本では圧倒的に知られているのはイタリアのイ・ムジチ合奏団ものですね。(現在人気のアルバム ↓)

  I MUSICI 「ANTONIO VIVALDI < LE QUATRO STAGOONI 四季」 >
 Violin : Pina Carmirelli
  Recorded  Switzerland / 1982
  PHILIPS / West Germany / 410 001-2

 
 しかしこのヴィヴァルディの活躍したバロック・ミュージックの創始期においては、多分このイ・ムジチのヴァイオリン協奏曲の音(調べ)ではなく、楽器も現代楽器と異なり、古楽器と言われているものが使われていて、この時代の研究者にしてみると、もっと色々な意味でその時代に迫りたくなるもののようだ。

  そんな意味で、この新春にここに取り上げるのは、私がイ・ムジチと平行して良く聴いてきたもので、オリジナル楽器による自身のオーケストラであるエンシェント室内管弦楽団を結成して正統的な演奏を目指したホグウッドのアルバムがある。それは私自身もその世界に魅力を感じて、十数年前に好録音で定評のあるオワゾリールL'OISEU-LYREものとして購入し聴いてきたものだ。

<Classic>
   ヴィヴァルディ 協奏曲集「”和声と創意への競演」
Vivardi: IL CIMENTO DELL' ARMONIA E DELL'INVENTIONE, Op,8
  ボグウッド指揮/エンシェント室内管弦楽団
    L'OISEAU-LYRE / POCL-4168/9  /  1997

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 <Recording > Location: KINGSWAY HALL, London
                      Dates: Novmber & December 1982


Hogwod_image   このアルバムの指揮者でありこの管弦楽団の創始者のホグウッドChristopher Jarvis Haley Hogwood(1941-2014)(→)は、イギリスの古楽関係の学者であり、又チェンバロ奏者でもあった。彼は1967年、「ロンドン古学コンソート」を設立して、中世・ルネサンスそしてバロック音楽の研究・紹介に頑張った。
 このアルバムは、そんなホグウッドの古楽演奏の一環として録音されたものだ。そんな意味でも興味のあるだった。

 さてこれは2枚組にして、この協奏曲集「”和声と創意への競演」の協奏曲第一番から第十二番まで全曲収録されている。このあたりもホグウッドものらしく、人気の第一番「春」ホ長調、第二番「夏」ト短調、第三番「秋」ヘ長調、第四番「冬」ヘ短調の四つの協奏曲のみに止まっていない。そんなところが研究者らしく、又彼のバロック音楽への入れ込みが感じられるところである。

 
このアルバムのレーベル「L'OISEAU-LYRE オワゾリール」というのは、イギリスにおける古楽復興に非常に重要な役割を果たしたレーベルだ。オーストラリア出身の女性が1932年にパリで興した出版社のレコード部門として1939年にスタートしたものという。(レーベルの名前に使われたオワゾリールとは、オーストラリアの琴鳥のフランス語表記)
 1953年からはイギリス・デッカの協力でアルバム制作を実施、1973年からはデッカ傘下の古楽専門のレーベルとなった。そしてその録音が秀逸で、バロックものであればこのレーベルなら間違いないと私はず~と信じてきている。

Hogwood3 内容は左のとおりだが、ヴァイオリン独奏者Soloistは六人仕立てだ。そして通奏低音はホグウッド自身が、ハープシコード、チェンバー・オルガンを奏し、その他にバロック・ギター、アーチリュート、テオルボが奏でる。
 もともとヴィヴァルディの「四季」という協奏曲は、当時とすれば彼のメロディの作り方や転調の仕方など、やや変則的な手法で作られた曲集の一環になるようだが、音楽学者で無くただ聴いて納得するだけの我々にとっては共感できればそれで良い。彼の協奏曲集の中では、それでもこの「四季」辺りは音楽的常識的な拘束された中での作品であったようだ。
 そんな歴史的雰囲気が如何に現代人の我々に響いてくるかを研究し尽くしてのホグウッドの演奏と言うことになる。

 私の好みはこの中でも第四番「冬」が好きですね。これには理屈が無く自己で共感を持って聴ければ良いわけで、そんな世界を感ずる協奏曲集ですね。第一楽章の厳しき冬の情景、ヴァイオリン独奏の恐ろしさの表現が凄い。第二楽章は、打って変わって寒中の暖かさの家の中の安らぎ、この独奏のメロデイーは美しい(私が最も安堵を感ずるのは、外は雪が燦々と降る中に、暖かい家の中で静かに好きな音楽が聴ける時である)。
  又、この「四季」以外もこのアルバムは楽しめるのだが、第七・八番の第二楽章の美しさは特筆モノである。

 さて余談であるが、私のパソコン歴はNEC製PC-8001以来の長きに及ぶが、感動の1985年のPC8801mkII SRでは、グラフィック機能強化とサウンド機能では、ヤマハの音源チップYM2203が搭載され、FM音源3音+SSG3音のサウンド機能を新たに標準装備した。画像とサウンドの進歩が格段にあったわけだが、その時のデモにヴィヴァルディの「四季」が使われ、特にやはり雪の燦々と降る”冬”が進歩したグラフィックとサウンドが印象的だったことを思い出す。今や「Windows10」の時代になっての懐かしきパソコンにも想いを馳せるのである。
 

           *          *         *         *

(PC8801mkII SR=1985年)懐かしの愛機の回顧(デモ)

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2015年11月25日 (水)

<時にはクラシック?> ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ「クロイツェル」「スプリング」

 ヴァイオリン・ソナタ の味わい
  ~そしてロック話も=デヴィッド・クロス、ダリル・ウェイ

 やっぱり初冬の臭いのする晩秋のせいでしょうかね、私は時にクラシックが聴きたくなるんですが、このところそんなムードなんです。
 そして好きなものの一つは”ヴァイオリン・ソナタ”なんですが、とにかくなんだかんだ言っても、このベェートーヴェンの2曲”クロイツェル”そして”スプリング(春)”には敵わないですね。これも先日の ジャズ・アルバムAdam Bałdych & Helge Lien Trio 「Bridges」 を聴いての流れなんです・・・・・    

   <Classic>
          MAEHASHI/ESCHENBACH 「Kreutzer & Spring」
          CBS/Sony / JPN / 32DC679 / 1986

Kreutzerspring2
  LUDWING VAN BEETHOVEN
   Sonata No.9 in A Major for Piano and Violin. Op.47
    Sonata No.5 in F Major for Piano and Violin. Op.24

    Teiko Maehashi : Violin
      Christoph Eschenbach : Piano

Beethoven  ヴァイオリン・ソナタというのは、ヴァイオリンとピアノによる二重奏の演奏形態でソナタ形式(3部分からなる楽曲形式、つまり提示部,展開部,再現部から成る)の楽曲のことを一般には言うので、ヴァイオリンと言えどもピアノも対等なかなり重要な位置を占める。むしろ古典的にはヴァイオリンの助奏付きピアノ・ソナタであって、ピアノのウェイトが高いのだが、特にベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタは、彼自身がピアノ奏者だけあって、そのピアノの役割の重要さが大きい。ところがしかしこの「クロイツェル」はヴァイオリン奏者に捧げる意味もあったためか、ヴァイオリンがピアノと対等に協奏させたところに魅力がある(この曲はいろいろと曰くがあるが、フランスのヴァイオリニストのルドルフ・クロイツェルに捧げられたもので「クロイツェル」と呼ばれているもの)。

 こんな講釈はそれまでとして、やっぱり私の好みからはベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタの1から10番までの中で、この第9番イ長調作品47「Kreutzerクロイツェル」は最高なんです。それはやっぱりヴァイオリンが助奏役で無く、ピアノとバトルを展開するところが面白い。もともとヴァイオリンというのは美しい旋律を聴かせてくれるところが魅力の楽器だと思うのだが、弾きようによっては、それ以上のものがないと言うくらいにスリリングな展開と迫力のある楽器だと思う。そのあたりがこの曲では見え隠れするんですね。


Starless_s (ちょっとロック話)

KING CRIMSON
 実はそのヴァイオリンの迫力に気がついたのは、恥ずかしながら昔から聴いてきたクラシックと言うよりは、1960年代からのロックに魅せられた当初、あのプログレッシブ・ロックの雄:キング・クリムゾンKing Crimsonを聴くと、70年代にデヴィッド・クロスDevid Crossのヴァイオリンが入ると、ものすごくスリリングな音と展開になるんです。
  最近リリースされた彼とロバート・フリップによるアルバム「STARLESS STARLIGHT」 (VIVID SOUND / VSCD-4294 / 2015 ~これは当時と違ってかなりアンヴィエントな世界ですが)がまさしくそれを思い出させます。

CURVED AIR
Curvedaircondition 又ロックのついで話となれば、やっぱり1970年デビューのカーヴド・エアCurved Airを思い出しますね。ソーニャ・クリスティーナの魅力のヴォイスは勿論ですが、ダリル・ウェイDarryl Wayのヴァイオリンが忘れられない。彼らの1st「Airconditioning」の”Vivaldi”には度肝を抜かれ圧倒された。
 そうそうダリル・ウェイズウルフWolf「CANIS-LUPUS」もスリリングでした。
 そしてそして更に再結成されたカーヴド・エアの1974年の「Curved Air Live」の迫力。と、ロック話になってしまいそうであるので、なんとか元に話は戻すが・・・・・・。

Photo・・・・・・話は戻って
 ここに取り上げた前橋汀子とクリストフ・エッシェンバッハのベートーヴェン「クロイツェル」は、このアルバムのリリースされた1980年代の当時、CDとしては、なかでも録音が良かったために良く聴いた懐かしのアルバムなのである。今Amazonで探してみると、まだこのアルバム販売していますね、クラシックものはなかなか長生きです。

 これを聴いてみると解りますが、クラシック・ヴァイオリン・ソナタと言えどもなかなか熱い演奏に惹かれます。非常にダイナミックであると同時に、ヴァイオリンの美しさ、ピアノの美しさもきちっと備えていて良いと言うところですが、特にクラシックですから多くの演奏家のものに接することが出来ますが、特にこの前橋ものは熱いですね。

 前橋汀子は1943年生まれですから、現在は既に七十歳を超えてデビュー50周年も既に経過しているバイオリニスト。17歳にして当時のソ連サンクトペテルブルグ音楽院に留学している。2004年日本芸術院賞受賞、2007年エクソンモービル音楽賞受賞、2011年紫綬褒章受章。

 しかしいずれにしてもこれはクラシックのヴァイオリン・ソナタであって、この晩秋に突入している今にして、なかなかシーズンを感ずるには良い気分で聴いているのである。
 なお、このアルバムは更に日本では一番愛されている第5番へ長調作品24「スプリング(春)」も収録されていて、まさに典型的なベートーヴェンものと言って良い物です。

(参考)

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2015年1月21日 (水)

ヴァシリス・ツァブロプーロスVassilis Tsabropoulos のピアノ・ソロ・アルバム「The Promise」

    <My Photo Album 瞬光残像 = 南イタリア編>

Dsc01094monow2

南イタリア・シチリア島のアグリジェントAgrigentoにて=ユーノーの神殿Tempio di Giunone(紀元前470年建造のギリシャ遺跡)と現在の市街地の遠望
                                                          (Photo  2014.12)

            *    *    *    *

<Jazz,  Classic>

Vassilis Tsabropoulos 「The Promise」
UNIVERSAL MUSIC / JPN / UCCE-9266 / 2014  (ECM Records 2009)
Recorded January 2008 , at Athens

 

Thepromise
 前回にギリシャのヴァシリス・ツァブロプーロスを取り上げたので、ついでと言う訳でもないが、彼のクラシックからジャズに波及するピアノ・プレイの見事さを知る意味でも、このアルバムは是非と言うところで彼のピアノ・ソロ・アルバムを取り上げた。

Thepromiselist Tracklist は、左のような11曲。一曲のみ(7曲目)トラッドを彼の編曲で聴かせ、他の10曲はオリジナル。
 クラシックの世界で実績を積み上げた後に、ECMにジャズ・デビューしたツァブロプーロスは、ジャズの道において彼の過去のクラシックの経験の中から自己の表現したいものを納めるべく、ピアノ・ソロにて一枚のアルバムを作成したのだ。もちろんプロデュースは Manfred Eicher で、内容的にはかなり満足したものになったことは想像に難くない。

 この静かさと優しさとメロディーの美しさと、なんとなく郷愁を呼ぶ彼のピアノ演奏に浸れることの出来る素晴らしいアルバムだ。とにかくこの真摯な世界は気持ちが洗われる思いである。 現実の雑踏から離れた空間体験が出来るだけでも貴重そのもの。

Vassilis1_2 彼は1966年生まれだから今年50歳という円熟期に入るところだ。前回紹介のアルバム「Achirana」作成で、ベーシストのアリルド・アンデルセンによってECM盤作成にジャズ・トリオとして関わったのが、彼のピアノがジャズ畑を通じて世間に知られた大きなきっかけであったようだ。過去のクラシックや聖歌、賛歌への造詣がジャズにクラシックとの壁を乗り越えて一つの世界を構築しているところに頭が下がる。
 さてこの「Promise」がECMでは最も近作となるが、2013年に「You」というアルバムをリリースしているが、その内容は未確認。いずれにしても今後どんな形で我々に迫ってくれるか、そんなことを楽しみにしているところである。

(試聴)
 

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2014年9月29日 (月)

マリス・ヤンソンスによるショスタコーヴィチ「交響曲第10番」

マリス・ヤンソンスの執念的ショスタコ10番の録音

<Classic>

          MARISS JANSONS (Chief Conductor)
         ROYAL CONCERTGEBOUW ORCHESTRA AMSTERDAM

       
SHOSTAKOVICH  SYMPHONY No. 10 in minor,OP.93
                                     
  RCO RCO13001 ,2013
                  Recorded Live at Concertgbouw Amsterdam
                  on 29 january 1 and 4 February 2009
        SACD(Hybrid)  DSD multichannel surround 5.0

No10

  久々にクラシックの話題である。マーラー、ブルックナーなど比較的難解にして長大な交響曲に対してきているマリス・ヤンソンス(Mariss Ivars Georgs Jansons 1943-)であるが、彼にとってはマーラーと共にこのショスタコーヴィチは更に一層生涯をかけてのテーマであることは想像に難くない。既に過去にショスタコーヴィチ交響曲の全曲録音は成し遂げているが、更にこうして新録音にも意欲たっぷりである。

 
 (参照) ①http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/11-8bab.html
       ②http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-b798.html
      ③http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-b181.html

Dmitrishostakovich1
 私が惹かれるショスタコーヴィチの第10番こそ彼の真の姿の交響曲とも言えるのかも知れない。
 しかしこの交響曲の悲劇的発想により、共産国家に対しての反体制的発想とのジダーノフ批判を再び呼び起こした「第十論争」という物議をかもした問題作であった。
 しかしこの前作「第9番」が共産国建設礼賛を期待した国家的期待を裏切った作品であったことによる彼の立場の急落後、8年というブランクを開けての作品であったが、批判とは裏腹に、初めて彼の心を描いた作品としての評価も勝ち取ったものでもある。それはスターリンの死を見届けて一気に書き上げた作品として、スターリンと自己の対比を描ききったものとの解釈と、その悲観的な世界が何を意味しているかが、今でも批判と感動の交錯するショスタコーヴィチの重要な交響曲なのである。

 チェロとコントラバスによる序奏から始まる第一楽章、真寡の問われた「証言」によるとスターリンを描いていると言われる猛烈な勢いの弦楽合奏を展開する第二楽章、そして彼の名前を旋律にした暗示的な第三楽章、悲痛な序奏から彼の音名の連呼で終わる第四楽章。こうした内容に、個人の表現の自由を訴えた切実な声と理解されている。

 さてこの交響曲は、あのカラヤンも多くのショスタコーヴィチの交響曲の中で、この第10番のみを二度録音している(Dg Originals  4775909 , 1981年ベルリン・フィル)。その意味はどこにあるのかは想像によるしか無いが・・・・

Jansons1
 ここに紹介した盤の指揮者マリス・ヤンソンはショスタコーヴィチを演ずるにエネルギーを注いでいるラトビアの指揮者だ。彼は前にも触れたように、この盤の録音前にも「ショスタコーヴィチ全集」を出している。この全集の最初の録音は第7番で1988年、最後に録音されたのが第13番で2005年のもので、18年の作業であった(この全集の第10番は、1994年にフィラデルフィア管とセッション録音)。
 彼は、ショスタコーヴィチの理解者であったムラヴィンスキーで有名なレニングラード・フィルファーモニーの指揮者でもあったアルヴィド・ヤンソンスの子で、リガで生まれた。母親はユダヤ系で父親や兄弟をリガ・ゲットーで殺害された人だ。ショスタコーヴィチがソ連の反ユダヤ主義に批判的であったこと(交響曲第13番)からもマリス・ヤンソンのショスタコーヴィチへの理解を試みるところは当然想像できるところだ。そしてムラヴィンスキーの下で共同作業も経験してきている。
 現在は、レニングラード・フィル(現サンクトペテルブルグ・フィル)の指揮者から始まって国際的に広く招請を受け指揮をとっている。

Sym10 さてこのヤンソン指揮盤は、SACD盤でDSDマルチチャンネルによっての録音も素晴らしい。ハイレゾ・オーディオの時代になって、CDへの要求も厳しい昨今であるが、繊細な音の表現も良く臨場感に於いても最右翼である。
 私は旧来ムラヴィンスキー盤(←Victor VICC-40256、1976年録音)を愛聴してきたが、最近聴いたこのヤンソンには、演奏の緻密さとダイナミックスさが充実していて喝采を浴びせるのである。

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