ヤン・ハルベック JAN HARBECK QUARTET 「 CONVERSATION」
バラードを中心にテナーサックスの退廃美学をリアルな録音で・・・
<Jazz>
JAN HARBECK QUARTET 「CONVERSATION」
東京エムプラスstunt / CD / STUCD26022S / 2026
Jan Harbeck ヤン・ハルベック (tenor saxophone)
Henrik Gunde ヘンリク・グンデ (piano)
Eske Nørrelykke エスケ・ノアリケ (bass)
Anders Holm アナス・ホルム (drums)
2025年The Village(デンマークのコペンハーゲン)録音
私はあまり聴かないサックスものだが、バラード曲をしっとりと歌い上げるような退廃美学を地で行くような演奏で、それをあのブツブツ音をしっかりリアルに録音されたサウンドで聴かされると、オーディオ好きの私としては、ここに取り上げざるを得なくなったというところ。
このTS演者ヤン・ハルベック(デンマーク、1975年オーフス生まれ→, ↓左)は、デンマークでは確固たる支持を得ている円熟期を迎えたミュージシャン。かって同メンバーでのアルバム『The Sound the Rhythm』(STUCD19022/2019年)等で接してはきたが、今回は自己のオリジナル曲で埋め尽くされていてその実力がこうして形作られている。
それにこのオーソドックスなカルテット編成でのここでも過去に取り挙げてきたピアノを担当するヘンリク・グンデ(デンマーク1969年生まれ、↓左から二人目)の澄み切った輪郭明瞭な鍵盤の音が流れると、ぐっと品格も出てきて、そのハルベックとの両者のバランスもなかなかよく、これが一発録音なのかと思われるほどの構築でなかなか気持ちもいい。両者の共演は過去に評価もしてきたので、改めてその進化にも興味を持って聴いたという処だ。
リズム隊は、同国デンマークのエスケ・ノアリケ (bass、↓右から二人目)とアナス・ホルム (drums、↓右)で、このカルテツトは20年近く(?)も不動で続けられてきたらしく、そんなことを聞くと既に阿吽の呼吸でそれぞれの役割は出来上がっているのだろうと推測するのである。
(Tracklist)
1. Passing Clouds
2. Out Of The Blue
3. Odd One Out
4. Sparkle Sight
5. Airwaves
6. Interaction
7. Arena
*all compositions by Jan Harbeck
どうも、アルバム・タイトル「CONVERSATION」からも、このデンマーク・カルテット4人の「対話」を大切にし、ハルベックが自己のオリジナル曲でそれを突き詰めたアルバムとみて良いようだ。そして大きな魅力はTSファンにはたまらない彼の演ずるサブトーンと言われるハスキーにして温かみのある音色にも大きなポイントがあるのだろう。厚みのあるヘヴィーな鳴りを呈するTSが、プスプス掠れ息漏れする音の出るところもあって、物憂くけだるく哀愁的情緒を歌い上げるところを、見事に技術陣が録音再生した事は、ファンには溜まらないところのようだ。
M1. "Passing Clouds" なかなかしっとりとダークで静謐なナンバー。ハルベックのテナーが、サブトーンの境地ゆく低音とあの息漏れがしっかり録音されて響き渡る。まさに深夜のムードが広がる。グンデの繊細なピアノと、ホルムのブラシワークが見事に調和。
M2. "Out of the Blue" 一転して軽快なテンポでスウィングのある展開。ハルベックの瑞々しいフレージングが光る。
M3. "Odd One Out" ちょっとクラシック・ジャズの雰囲気、物憂げで哀愁漂うバラード。
M4. "Sparkle Sight" グンデのピアノが思いの他つっぱつて、ドラムスも同調してパワフルに、サックスをプッシュしての意外な展開。
M5. "Airwaves" サックスの低音がうねりをもって響きつつ、優しくピアノがそれをフォローし中盤に演ずるメロディーが美しい。そして再びサックスが受け取ってしっとりと納める。
M6. "Interaction" サックスの独演でなく、タイトルどおり4人の「干渉」が中心で展開のディープ・ブルース。しかしここでも中盤はサックスが小休止して、ピアノトリオの世界が進行、続いてベースとブラッシ音が響き結びのサックスの世界。
M7. "Arena" 最後を締めくくる、7分超えの長編。説得力の物語調のハルベックのサックスからグンデのエリントン調の遊び心も匂わせ、演者が楽しんでいる風情が伝わってくる。
究極、敢えて押さえてアヴァンギャルドな難しさのないところに収める演奏がなかなか味だ。これならジャズ初心者もしっかり入り込める。又サックスのただただの独壇場でなく、美メロディーのピアノがおおむね曲の中盤に入って気分転換できる作りがある。それはカルテットとしての世界をも形作りがうまく、お互いの呼吸が見えていて自然の流れでインタープレイが出現する手慣れたところにある。又お互いの音を聴き合い、空間を埋めるようにソロ演奏も旨く上品に納めることも自然体で気持ちが良い。
スモーキー・グルーミーな切実な哀歌を演ずる一方、テンポのあるスウィングは軽快さダイナミックさを旨くこなす。妙に技巧に走らないオーソドックスな世界は好印象だ。
(評価)
□ 作曲・演奏 : 90/100
□ 録音 : 90/100
(視聴)









































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