ニッキ・パロット Nicki Parrott (3) : 新作「Like a Lover」は正当派の名盤
久々の私にとっての快感のジャズ・アルバム登場
「Nicki Parrott and Ken Peplowski / LIKE A LOVER ライク・ア・ラバー」 VENUS Records VHCD-1050 , 2011
このブログでも何回か取り上げたオーストラリア出身のニッキ・パロットのニュー・アルバム(4th)。(当ブログの2010.5.15 及び 2010.5.21 の記事参照)
nicki parrott : Vocal , bass
ken peplowski : tenor sax and clarinet
とにかくオーソドックスありながら表情豊かな歌唱法と、ウッド・ベースを奏しながらの彼女のジャズ・ヴォーカル・アルバムは好感を持って迎えていたが、ここに来て、彼女のベースとケン・ペプロスキー(Ken Peplowski)のテナー・サックスかクラリネットのみのデュオ演奏盤の登場だ。
とにかくベースとホーンのみであって、彼女のヴォーカルが、息づかいから低音から高音、囁き部分もしっかりと聴ける。これにはこのVenusレコードの好録音も貢献しているところであろう。
このアルバム・タイトルにもなっている曲は、前回取り上げたエミリー・クレア・バーロウと同じ、セルジオ・メンデスとブラジル66のヒット曲の”Like a Lover”(ブラジルのドリヴァル・カイミの作)である。そしてこのアルバムの選曲もかなりオーソドックスで、スタンダード・ナンバーからビートルズの曲まで登場する。
1. blue moon
2. everthing i love
3. hey there
4. sway/whatever lola wants
5. i've grown accustomed to his face
6. a sleepin' bee
7. in the wee small hours of the morning
8. when i grow too old to dream
9. like a lover
10. mad about the boy
11. here, there, and everywhere
12. what'll i do
13. how clould you do a thing like that to me
14. for no one
曲は冒頭からロマンティックな”blue moon”からスタートするが、ペプロスキーのテナー・サックスの醸し出すムードがなかなかこれもロマンティック。そして更にニッキのベースとのデュオ共演が、この両楽器の相性がこんなにもジャズのムードを作り上げるのかと驚かされる。このアルバムの出来がよいのは、単なるヴォーカルものでなく、両者の演奏部もたっぷり聴かせるところであろう。とにかく全編14曲をこれで通したあたり、かなりのこのデュオの世界構築への意気込みといものがなみなみならなかった事と推測される。
名演奏といえどもあまりフォーンが前面に出るといやみになるが、ペプロロスキーはさすがそんなところもなく、このアルバムを実に高尚に仕上げたところは実力者の証と言いたい。
看板の”like a lover”は、比較的ゆったりとソフトに仕上げている。セルジオ・メンデスと比較すると別の曲のように感ずるほどだ。中間部ではニッキのベースがソロで旋律を奏で、続いてそれをカヴァーするようにサックスが続く。なるほどこうした仕上げなのかと聴き入ってしまった。
”here, there, and everywhere”はビートルズの曲で、ベースとクラリネットの綾が楽しい。
このアルバムの全体のムードは、やはり夜の安堵を求めた時にマッチングする響きを十分感じさせてくれるものと言っていい。
いずれにしても、ニッキはベース奏者であって、ヴォーカリストでなかったところから出発しているが、このアルバムでもそうとは考えられない上品で味のある歌声を聴かせてくれる。そして演奏も癖のないベースが響き、一つの名盤となったと結論づけたい。ジャズのジャズらしいしゃれた一面をみた思いである。
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