デヴィッド・ダーリングの名作 :コンテンポラリー作品 「Cello」
ECM世界感とデヴィッド・ダーリングの世界が作り出したもの
<Contemperary Music Jazz>
David Darling 「Cello」
ECM Records POCJ-1137 , 1992

David Darling : Acoustic Cello, 8-string electric Cello
デヴィッド・ダーリングDavid Darlingのチェロの話となって、物事にはついでにというところもありで、彼の過去のアルバムをもう少し探ってみたくなり、つい先日仕入れた1992年のアルバム「Cello」。まあこうしたジャズ系のコンテンポラリーな世界はいろいろの展開があろうが、やはりクラシック系の趣も時には良いものですが・・・・・・。
ダーリングは、このアルバムのライナー・ノーツによると、子供の頃からチェロを弾き、大学で作曲等の音楽を学んで後、チェロの教師になるも、ナシュビルに移ってチェロによるジャズ・インプロヴィゼイションの探求を推し進めたという。1979年ECMにおけるラルフ・ターナーのアルバム録音に彼は呼ばれ、それによってマンフレット・アイヒアーに目を付けられ、ECMとの契約がなされた。こうして1979年以降1983年までECMにて彼のリーダー・アルバムを含めても活動を展開した。そしてその後なんと9年のブランクがあってこの彼のソロ・チェロ・アルバム「Cello」がリリースされたという経過だ。今から20年も前の話になるのだが、どうもそのブランクの間は彼は作曲活動に邁進していたようである。
さてその久々に彼の演奏作品は、タイトルも”Cello”というそのもので、これもアイヒアーの構想によるモノであったようだ。恐るべしECM!。
Tracklistは左のようで、全てダーリングの作曲によるものだが、2.6.の2曲にECMのアイヒアーがしっかりと絡んでいるところは、やっぱりアイヒアーはかなりその気でこのアルバム作りをしたのだろうと推測できる。確かにチェロ演奏のみでのアルバムと言うことになると、やっぱりECMだからこそ成し得る事であろうと思うからである。
見ての通り、”Darkwood”という重厚なチェロ・サウンドの曲が3曲(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)ある。実はこのアルバムから一年後にやはりダーリングのチェロで「Darkwood」(これは続編仕立てでⅣから始まる)というアルバムがリリースされたのだった。
このアルバムではダーリングはAcoustic Celloと 8-string electric Celloを演奏し、オーバー・ダビングにより曲作りをしている。重厚なAcoustic Cello のアルコの音に、Electric Cello のピッツィカート奏法というかピッキングというか、そんな音により色づけをして多彩な変化を持たせているのが印象深いが、やはりスローな流れに自然の豊かな風景が頭に浮かび、そして又一編の映画を見ているがごとくの物語の世界をこのアルバムを通して聴くと心に描かせてくれる。クラシック曲のイメージも感じられつつ、コンテンポラリー・ジャズ系のニュアンスもあって、不思議と言えば不思議な世界である。
いずれにしてもこのジャズ系チェロ奏者が、チェロオンリーで作り出したアンビエントで、思索的、抒情的世界は歴史に残る名作と言っていいだろう。なかなかここまでやれるものではない。
しかし、全体の印象はブルーというか、暗いというか、そうした世界であるから、もし興味の持たれる方がおられたら、要注意としておきたい。
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