デヴィッド・ダーリングDavid Darlingの深淵な世界: 「Cello Blue」
瞑想にふけるチェロの響き
<Contemporary music, Jazz>
DAVID DARLING 「Cello Blue」
HEARTS of SPACE H406-2, 2001
Cello, NS 5-string Electric Cello, Piano, Midi programming and synthesized performance, and vocals by DAVID DARLING
初秋に選んだノルウェーのケティル・ビヨルンスタのピアノの美しさの世界、そしてそのアルバムに共演していたこのデヴィッド・ダーリングDavid Darlingのチェロの深淵さ。そしてここに話がダーリングのアルバムへと進んでゆくのである。
実は私は昔からチェロの音には魅力を感じてきた一人であるが、それは取り敢えずはクラシックの世界に於いての話であり、このような現代音楽的でジャズの世界にクラシック的ニュアンスのあるところのチェロが主体のアルバムというのはこのダーリングのアルバムが最初であった。
彼は1941年アメリカ・インディアナに生まれで、早くにチェロを学び、インディアナ州立大学では作曲も学んでの音楽家。そして演奏、作曲の活動は1970年代から続いているベテランであり、2009年のアルバム「Player for Compassion」で、グラミー賞ベスト・ニュー・エイジ・アルバム賞を受賞している。なんとその記念的アルバムは私は実はまだ聴いてない。近年彼の世界とは別のところで右往左往していて、今回のケティル・ビヨルンスタの話で私が唯一所持しているこのアルバムを思い出したと言うところなのである。
(tracklist)
1. Children
2. prayer and word
3. cello blue
4. thy will "not mine" be done
5. serenity
6. colorado blue
7. awakening
8. morning
9. presence
10. solitude
11. prayer
このアルバムは11曲。しかも全てダーリングの作曲と演奏。つまり彼はチェロの他にピアノ、シンセサイザーさらにはわずかではあるがヴォーカルまで入れて一人で仕上げている。つまりオーバー・ダビンクを駆使したと言うことになる。チェロもアコースティックチェロと5弦エレクトリックチェロを演し、そこには重厚にして深淵、瞑想を誘う世界が襲ってくる。この作品は2001年リリースであり、彼の1990年代のケティル・ビヨルンスタのピアノとの共演を生かしてか、ここでは彼自身のピアノの演奏も被せて味付けされた音を展開してみせる。
チェロも時に激しい演奏をしてみせるものもあるが、彼の場合はそのような展開はこのアルバムではない。そうした面はかってのビヨルンスタの「The Sea」に見ることが出来たが、彼自身のこの個人アルバムでは、スリリングな世界と言うよりは、瞑想の世界を選んだのであるかも知れない。とにかくジャズの世界にいて、チェロを主として生かすというのはやはり一般には考えられないところであり、それならばむしろこの楽器の特有な厚い深遠な音に重点をおいたと判断するのである。
中盤(3.”cello bleu”あたりから)には鳥のさえずりなどのSEがはいって、何故か幸せな美しい世界が迫ってくる場面もある。アルバム・スタートの暗さに終わらず、地球上の美しさにも迫った感がある。まあブルーというだけでないこのアルバムではあるが、絶対お勧めとは言わない。特にチェロの音と思索と奥深い美と、意外性の世界に興味のある人には一聴の価値があるのかも。
ここでデヴィッド・ダーリングの世界に回顧が及んだというところで、彼のECMからリリースしたところのこのアルバムより以前の1992年に話題となったアルバム「Cello」も聴いてみようと今思っているところだ。
(試聴) "solitude" http://www.youtube.com/watch?v=YedAS2ia-5Q&list=PLDKMMgebarWkpzsOXayGcAstAsKV8t9ka
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