イリアーヌ・イリアス Eliane Elias 「quietude」
マイルドな低音で、ぐっと大人のボサノバ・ヴォーカル
<Jazz>
Eliane Elias 「quietude」
CANDID / IMPORT / CCD30512 / 2022
Band
Eliane Elias – piano, vocals
Marcus Teixeira – guitar
Lula Galvão – guitar
Oscar Castro-Neves – guitar
Celso de Almeida – percussions
Marc Johnson – bass
Steve Rodby – bass
とにかく時代は変わって、実はこのアルバムもサブスクによるミュージック提供サイトからオーディオのネットワーク機器により、ストリーミングによって、このところ何回と聴いているアルバムである。
イリアーヌ・イリアス(1960年ブラジル生まれ)は、ジャズ・ピアニストとしての故チック・コリアとキューバのピアニスト兼作曲家のチュチョ・バルデスとのデュエット・インスト・アルバム『Mirror Mirror』(2021)(→)によって2022年グラミー賞最優秀ラテンジャズアルバム賞受賞に輝いた。
彼女の30枚近くのアルバム・リリースというキャリアの中で、独特な音楽スタイルを持ち、ジャズで最もユニークなインストゥルメンタルジャズ、クラシック、作曲のスキルと融合させ、芸術的能力を一貫して示した作品として評価されている。しかし私には少々難解なアルバムであった。
そして今回は、彼女の武器であるピアノ演奏が主力でなく、一方の人気のあるヴォーカル・アルバムとして「母国ブラジル音楽ボサノバ曲集」をリリースしたのだ。
内容は、アルバム『Made in Brazil』(2015)以来一緒に仕事をしているマーカス・テイシェイラのギターをはじめ、ブラジル生まれの親しいギター仲間たち、特に、ブラジルのアコースティックギターの伝統を代表する巨匠の1人であるルーラ ガルバオも加わっている。また、パーカッショニストのセルソ・デ・アルメイダと彼女の夫でベーシストのマーク・ジョンソンによるリズム・セクションの競演も大きい。
そして彼女の故郷のお気に入りの曲を演奏した親密さが魅力の作品となっている。収録曲11曲でLP時代の40分台であり、CD時代としては若干短い感もあるが、それなりに主体はボサノバのバラード曲というスタイルが中心で、もっぱら大人のヴォーカルを聴かせる。
1. "Você E Eu (You And I)" Carlos Lyra-Moraes 4:54
2. "Marina" Dorival Caymmi 3:37
3. "Bahia Com H (Bahia With H)" Denis Brean 4:16
4. "Só Tinha De Ser Com Você (This Love That I've Found)" Antonio Carlos Jobim 3:02
5. "Olha (Look)" Erasmo Carlos, Roberto Carlos 4:20
6. "Bahia Medley: Saudade Da Bahia / Você Já Foi À Bahia ?" Dorival Caymmi 5:53
7. "Eu Sambo Mesmo (I Really Samba)" Janet DeAlmeida 3:30
8. "Bolinha De Papel (Little Paper Ball)" Geraldo Pereira 2:31
9. "Tim-Tim Por Tim-Tim" Haroldo Barbosa, Geraldo Jacques 2:30
10. "Brigas Nunca Mais (No More Fighting)" Antonio Carlos Jobim 3:26
11. "Saveiros" Nelson Motta, Dori Caymmi 3:30
Total length: 41:29
このアルバムは完全に彼女のブラジル・ポルトガル語のマイルドな低音ヴォイスで、一貫して力みなく豊かさに包まれるアルバムとして仕上げられている。そして彼女と親しい3人のギターリストと共に、故郷からのお気に入りの曲を聴かせる。彼女のヴォーカル・アルバムはバックにストリングスなど入るのが多かったが、今回は自己のピアノそしてギター、パーカッション、ベースの小編成で温かみと豊かさのある演奏に終始している。
彼女には過去にボッサ・アルバムと言えば、2004年リリースの代表作『Dreamer』や『Bossa Nova Stories』(2008)、『Made In Brazil』(2015)など、数々の傑作ボッサアルバムをリリースしているが、このアルバムが最も人間的にも完成された大人の味が感じられる。
そしてアントニオ・カルロス・ジョビンのM4."So Tinha Que Ser Com Voce"は、叙情的に小編成の豊かなサウンドで描いている。
また、ハロルド・バルボサとジェラルド・ジャックのボサノヴァM9."Tim-Tim Por Tim-Tim"は、ブラジルの伝説的ギタリスト、オスカー・カストロ・ネヴェスが2013年に他界する前に彼女が録音し、今までリリースされていなかった曲だという。
M10."Brigas Nunca Mais"では、彼女の流麗なピアノ・プレイも聴くことが出来る。
更にアルバムの最後には、79歳のシンガー、ドリ・ケイミとのデュエットで、しっとりと彼の父、ネルソン・モッタスの詩的な航海のバラードM11."Saveiros"を収録してこのアルバムを閉めている。
結論的には、還暦を過ぎた彼女の余裕をうかがわせる力みのないソフト・タッチのヴォーカルには円熟味もあって完成度が高い。
(評価)
□ 選曲・演奏・歌 : 88/100
□ 録音 : 88/100
(試聴)
*
(参考) chick corea との競演
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コメント
彼女の声はとても美しく深いです
ピアノ、すごいですね
とてもいい演奏
天は二物を与えてしまいました
投稿: minton | 2024年7月24日 (水) 16時51分
mintonさん
コメント有難うございます
そうなんですよね、ダイアナ・クラールと双頭だと思ってます(笑)。
これらをご評価いただけるいい音で聴いているんでしょうね。オーディオ話でもしたいですね。LPも復活ムードが高いのですが・・・なかなか、CDの世界に追い付くには難題が多いです。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2024年7月25日 (木) 17時26分