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2025年5月12日 (月)

ビル・エヴァンス BILL EVANS 「FURTHER AHEAD - Live in Fland 1964-1969」

またしてもゼヴ・フェルドマンの発掘モノの公式リリース

<Jazz>

BILL EVANS 「FURTHER AHEAD - Live in Fland 1964-1969」
Universal Music /JPN / UCCJ-3054/5 / 2025

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◇Bill Evans(p), Chuck Israels(b), Larry Bunker (ds) 1964
◇Bill Evans(p), Niels-Henning Ørsted Pedersen(b), Alan Dawson(ds)
 Lee Konitz(as on B3) 1965
◇Bill Evans(p), Eddie Gomez(b), Marty Morell (ds) 1969

1200x680_nsbill_evansw  ジャズピアニストの巨匠ビル・エヴァンス(William John Evans、1929年8月16日 - 1980年9月15日 →)による未発表の演奏を集めた新作『Live in Finland (1964-1969)』が、2021年にResonanceから発掘事業が引き継がれたElemental Musicから180gの限定2枚組LP、そして2CD(直輸入盤仕様)として発売された。このところ毎年の行事のように未発表音源の公式リリースでファンを喜ばせているわけだが、歴史的な貴重なレコーディングを集めたりしてCDとして発売するレーベル Resonance のプロデューサー のゼヴ・フェルドマンがビル・エヴァンス・エステートの協力を得てプロデュースしたものである。

 この『Further Ahead』は、60年代のエバンスの"スカンジナビア・ツアー"中に録音された曲群だ。「1964年のヘルシンキ公演」(ベーシストのチャック・イスラエルスとドラマーのラリー・バンカーを含むトリオと共演)、「1965年のヘルシンキ公演」(ベーシストのニールス・ヘニング・オーステッド・ペダーセンとドラマーのアラン・ドーソンがサポート、スペシャル・ゲストのリー・コニッツ(as)をゲストに迎えた)、そして「1969年のタンペレ公演」(ベーシストのエディ・ゴメスとドラマーのマーティ・モレルとの最も長く活動しているトリオ)で、フィンランドで行われた3種のライヴ音源をコンパイルされていて彼の力の絶頂期を聴くことがことができる。
 そしてアルバム・ブックレットには、エヴァンス研究家として評価の高いマーク・マイヤーズによるライナーノーツと、長年のトリオ・メイトであったベーシストのエディ・ゴメス(下左)、ドラマーのマーティ・モレル(下右)らによるインタビューやコメントをも収録して充実。

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(Track List)

Track List
Disc 1
01. HOW MY HEART SINGS   04:29
02. COME RAIN OR COME SHINE  04:55
03. NARDIS     05:31
04. AUTUMN LEAVES    05:13    
05. FIVE                      02:43
06. DE TOUR AHEAD     05:53
07. COME RAIN OR COME SHINE 05:32
08. MY MELANCHOLY BABY          08:20

Disc 2
01. VERY EARLY                 05:26
02. WHO CAN I TURN TO?  05:52
03. 'ROUND MIDNIGHT       07:08
04. GLORIA'S STEP             05:20
05. TURN OUT THE STARS   05:09
06. AUTUMN LEAVES           05:40
07. QUIET NOW                  05:56
08. EMILY                           05:54
09. NARDIS                       10:34

(CD1:1-5)
BILL EVANS piano, CHUCK ISRAELS bass, LARRY BUNKER drums.
Recorded live in Helsinki, Finland, August 13, 1964.
(CD1: 6-8)
BILL EVANS piano, NIELS-HENNING ØRSTED PEDERSEN bass, ALAN DAWSON drums, LEE KONITZ alto sax (on B3 only).
Helsinki Jazz Festival, Helsinki, Finland, November 1, 1965.
(CD2)
BILL EVANS piano, EDDIE GOMEZ bass, MARTY MORELL drums.
University of Tampere, Tampere, Finland, October 28, 1969.

Produced for Release by ZEV FELDMAN.
Executive Producers: JORDI SOLEY and CARLOS AGUSTIN CALEMBERT.
Associate Producers: MARTIN ARIAS GOLDESTEIN and ZAK SHELBY-SZYSZKO.
Originally produced and recorded by the Finnish Broadcasting Company YLE.

Aw

 上のリストにあるように、なかなか演じている曲は魅力的で、良き掘り出し物感がある。
 ライブ記録ものであり、まず「1964年ヘルシンキ」は、スタートと同時に拍手音を聞くが、それが雑音ぽい響きで、いやはやこの音だと今回のアルバムはサウンド的にはかなり難があろうことを予測させる。案の定1964年のM01"HOW MY HEART SINGS"  如何にもダイナミック・レンジの狭い音でちょっとがっかり、今までにリリースされてきた発掘シリーズの中では音は貧弱な方だ。まあこの曲3者の音の分離は良くて歴史的音源を知るという意味での価値は十分、ただ愛聴盤という音でない。高音を伸ばし音質改善にはそれなりに苦労があったのだろうと推測はするがあくまでもその程度だ。
 私的にはM04."AUTUMN LEAVES "M05."FIVE "は、かなりの速攻型であるが、バンカーの手さばきの良さと共に、エヴァンスのピアノは意外に叙情型でうなずきながら聴いた次第である。続いて「1965年もの」に入るが、M06." DE TOUR AHEAD"の若きペデルセンの意外にぐっと落ち着いたベース音に、ピアノの流れもバラード調になっての演奏がお気に入りだが、 M08."MY MELANCHOLY BABY "のサックス音、ドラムス・ソロを聴いてみても、やや録音の質は、音にこちらの1965年の方が幅が出ている
 又" AUTUMN LEAVES "も2つ聴けるが、1964年より1969年の方は、トリオ結成1年経過があってのもの、どこか更に手慣れた演奏を感ずる。
 いずれにしても3つのコンサート、3つのトリオが聴けて、この5年間の進化がエヴァンス流のトリオの考え方にそってにじみ出て聴けるところが意味あるところだ。
 「1969年のタンペレでのコンサート」は、エディ・ゴメスとマーティ・モレルの最も長く続いたエヴァンスのトリオらしく、エヴァンスの創造性が生きている。ゴメスは、直感的にエヴァンスの鼓動に共鳴する様は手慣れているし、M02."WHO CAN I TURN TO?"のように、本人の演奏の楽しみが伝わってくるのが良い。モレルのドラミングは歯切れがよくスリリングで、特にアップテンポの推進力は見事。ここでは聴き応えのあるのはM09."Nardis"で、エヴァンスの叙情的なイントロから始まり、それを引き継いでのゴメスの流れも実に呼応していて本来のメロディーに入っていくところが感動だ。モレルのドラミングはダイレクトにアクティブなソロで迫りながら、エヴァンスが演じやすい世界に橋渡しを提供している感があってそんな良好な繋がりが聴き取れる。とにかく落ち着いた安定感の中の秘めた創造的な意欲性が良いですね、さすがです。

 60年代のエヴァンスものは、公式リリースでないブートでもいろいろと過去に沢山出てくるのだが、録音などいまいちであって、いろいろと難があるのが残念である。そうした中でもフェルドマンの発掘努力と音質などの改善努力をしてのこうしたリリースは過去においても評価のあるところだが、今回も音質にはいまいちの処もあるものの当時のものとしてはやむを得ないところとして、楽しませてもらった意味で歓迎すべき代物であった。

(評価)
□ 演奏   88/100
□ 録音   75/100

(試聴)

"Nardis" 1969

 

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コメント

ジャズに疎い自分でもさすがにビル・エヴァンスの名前は知っており20代の頃に少し聞いてようとトライしたことがあります。当時はやはり自分には無理だったので遠ざかってしまいしたが、今なら伝統的かつアコースティックなジャズピアノ演奏も聴けるのかも・・!こんな巨匠の未発表の新作ってジャズ・ファンには堪らないのでしょうね!

投稿: ローリングウエスト | 2025年5月15日 (木) 21時06分

ローリングウエスト様
コメント有難うございます。
私もビル・エヴァンスってそれほどのめり込まなかったです。キース・ジャレットには昔から聴き込んでいますし、日本のライブにも参戦したりしました。
 しかしビル・エヴァンスは、ジャズ・ピアニストには相当の影響をもたらしたということに私は大いに意義を認めています。現在のユーロ系の私の好むピアノ・ジャズは、殆どその流れですね。おかげで現在も楽しませて頂いているんです。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2025年5月16日 (金) 23時42分

小生もキース・ジャレットは社会人になり立ての頃、透明感のあるピアノ「ケルン・コンサート」を毎日の様に結構聴き込みました。、来日LIVEも行きましたよ!もうあれから40数年が経っていたのかと感慨深いものがあります。
(PS)グラミー賞7回受賞、アルバム総売上1億枚以上を誇る英国のロックバンド「コールド・プレイ」の名盤「X&Y」(2005)特集!哀愁を帯びた美しいメロディー、繊細で壮麗なサウンド、叙情的で優しい歌声、メッセージ性に富む哲学的な歌詞、本アルバムは捨て曲が一つもなくも愛聴してきた名盤の全曲を聴いてみて下さい。

投稿: ローリングウエスト | 2025年5月19日 (月) 12時12分

ローリングウエスト様
コメント有り難うございます
ロック派とは言ってもキース・ジャレットには惚れ込んでいたんですね(^_^)
私はそうですねその後はハービー・ハンコックのエレクトリック・ジャズも聴き惚れましたね・・・と、懐かし話もいいものですね。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2025年5月21日 (水) 14時07分

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