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2025年7月12日 (土)

シーネ・エイ Sinne Eeg ・Jacob Christoffersen「SHIKIORI 想帰庵」

150年の歴史を持つ日本の家をコンサート会場にしてのライブ録音

<Jazz>

Sinne Eeg ・Jacob Christoffersen「SHIKIORI 想帰庵」
Stunt Records / Import / JSTUCD-25032 / 2025

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Sinne Eeg (vocals)
Jacob Christoffersen (piano, Fender Rhodes, additional vocals)

Leylxgsht3zma_600w  日本でも人気者のデンマークの歌姫・シーネ・エイSinne Eeg(シン・イーグ, 1977年生まれ)と20年にわたる音楽的パートナーシップを経たピアニスト・ヤコブ・クリストファーセンJacob Christoffersenとのデュオ・アルバムの登場だ。 しかもこの新録音は、日本の古民家「SHIKIORI 想帰庵」でのライヴ録音、そして日本をテーマにした楽曲を含むオリジナルとスタンダード・ナンバー、デンマークと日本の詩の融合という曲も含めての親密感のあるアルバムとして話題である。

 この会場である「SHIKIORI」は、コントラバス奏者松永誠剛が築150年ほどになるという祖母の家を改築して作った音楽空間で、福岡県の山と田んぼに囲まれた農村に佇む民家に世界各国の一流ミュージシャンたちが訪れて様々なイベントを行われているようだ。そしてそこでシーネ・エイとクリストファーセンが極東の歴史的・民族的異空間での演奏は、二人にとってはかなり特別感覚の元での体験であったと想像も難くない。特に日本に親近感を持っているシーネは、この作品にはそれなりの思い入れもあったと思うので、聴く我々もそんな処にも思いを馳せて鑑賞したいアルバムである。

20250603_3ef948w (Tracklist)

01. Losing You (Sinne Eeg / Søren Sko)
02. Hebi (Sinne Eeg)
03. Soba Flower (Japanese Ver.) (Jacob Christoffersen / REMI)
04. Lush Life (Billy Strayhorn)
05. Better Than Anything (David Wheat / Bill Loughorough)
06. Maria (Leonard Bernstein / Stephen Sondheim)
07. Cold (Annie Lennox)
08. A Second Chance At Love (Jacob Christoffersen / Lisa Freeman)
09. But Not For Me (George & Ira Gershwin)
10. Don't Be So Blue (Sinne Eeg)
11. Seems Like Yesterday (Jacob Christoffersen / Helle Hansen)*
12. Soba (Jacob Christoffersen)*
(*=CD版のみ収録)

  オリジナル曲(シーネ3曲、クリストファーセン3曲)とビリー・ストレイホーン(M04.)、レナード・バーンスタイン(M06.)、アニー・レノックス(M07.)の人気曲の不思議な融合を試みたこのアルバムは、「人間の存在、不完全さ、そして深い人間同士の繋がり」などを称えているのだという。特別な下準備も不要で、2人のアーティストがしっとりとしたこの和風の部屋にいて、お互いに気持ちを一つにして、周囲の親密感ある空間の精神に反応するだけで見事に仕上がって行ったようだ。

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 M01." Losing You"(あなたを失う)のしっとりしたピアノとややハスキーなヴォーカル、しっかり寂しさの情感の溢れた様が伝わってくるスタートだ。なかなか魅力的な導入曲。
 2013年にSHIKIORIを訪れた際の体験がタイトルになっているM2."Hebi "(蛇)が登場し、又同様にその時の曲M03."Soba Flower" (そばの花)は日本語で歌っている安らぎの自然の情景が親密感を増しますね、来日経験も多いので日本語も美しく。そしてこの曲は最後の締めとしてスキャットとインストで登場。
 M04."Lush Life"(緑豊かな生活)充実感の自然の世界から、M05."Better Than Anything "の曲調の変化の見事な歌回しは彼女の実力の姿だろう。
 M06."Maria"のピアノの静と彼女のしっとりの歌い込みは見事。 
 M09."But Not For Me" の導入部の説得力はハイレベルで聴かせ、そしてM10."Don't Be So Blue "のバラードの展開で、ピアノの導入から歌い込みの流れはジャズ・ヴォーカルの極みに迫る。
 そしてM11."Seems Like Yesterday"の展望の世界の登場がこのアルバムを感動のモノに押し上げ、CDのみ収録のこのM12."Soba"のインスト版が実はアルバムを実に貴重な世界に押し上げていて、この曲は大きな意味があると聴き込んだ。

 シーネ・エイのジャズ・ヴォーカルが今や芸術性の高みにも迫りつつあるところに納得するアルバムだ。もともとのややハスキーであるが、ハートウォーミングな人情味のヴォーカルは情感に満ちたジャズを構築する。そしてクリストファーセンの安定感のあるピアノはバックを築き上げる世界と同時に二人の対話は誠実真摯なところがにじみ出ていて、好感の持てるジャズであった。このような環境でのスタイルはデュオが又効果を上げている。

(評価)
□ 曲、編曲、演奏、歌   90/100
□ 録音          88/100
(試聴)

 *

 

 

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