ガブリエル・ラッチン Gabriel Latchin Trio 「The Man I Love」
ストレート・アヘッド・ジャズを踏まえた英国流バップ・ピアノの粋な王道
<Jazz>
Gabriel Latchin Trio 「The Man I Love」
DISCUNION(Alys Jazz) / JPN / AJ1505JP / 2025
Gabriel Latchin (piano)
Jeremy Brown (bass)
Joe Farnsworth (drums)
前作から2年、英国ロンドン生まれで、そのままロンドンのシーンで活動し、Alys Jazzよりの過去の作品がそれなりに好評であった正統派ピアニストであるガブリエル・ラッチンGabriel Latchin(→)の、トリオ編成では5作目がリリースされた。ここでは2年前に前作『View Point』(2023)を取り上げたが、あれはオリジナル曲集であったが、今作はガーシュウィン曲集ということでスタンダード集で、トリオ・メンバーは前作と変わらずの米国からのジョー・ファンズワース(ds ↓右)と英国出身で米国でも活躍中のジェレミー・ブラウン(bass ↓左)だ。
そもそもガーシュウィンが生み出した曲というのは、総じてはメロディー自身に魅力があるので、ミュージシャン自身の個性や表現を演じても、曲そのものが聴く者に受け入れやすいという利点がある。それを意識してのことか、かなりオーソドックスでありながらフリー感覚を演ずることにも余裕感があっての演奏スタイルの感じられる演奏集でアルバム造りがされている。
(Tracklist)
01. Summertime (4:25)
02. How Long Has This Been Going On? (5:30)
03. It Ain't Necessarily So (4:32)
04. 'S Wonderful (5:03)
05. Embraceable You (3:42)
06. They All Laughed (4:51)
07. The Man I Love (5:08)
08. Someone To Watch Over Me (6:02)
09. Love Walked In (4:00)
10. I Got Rhythm (3:58)
ガーシュウィンの曲は、もともと管弦楽曲というスタイルで聴くことになるモノが多いが、ピアニストにとっても大いに愛されてきている。そしてこのラッチンにとっても彼はユーロ系ミュージシャンとは言ってもどちらかというと、米国に生まれ発展したジャズの流れに基づいてのバップ&ブルースの伝統的流れに根幹を持っていて、洗練された垢抜けした小粋な雰囲気でのスウィンギン・グルーヴィーの世界とちょっとエレガントなプレイを演じている。かなり打鍵もクラシックで鍛えられた力のある確かさといってよいところにある。まあどちらかというとスッキリとした爽やかな世界で、やはりストレート・アヘッド・ジャズの世界を基礎に彼なりの英国流バップ・ピアノ発展が十分加味された感がある。
M01."Summertime"は、ピアノの冒頭からの流れが美しいですね、そして中盤の変調と続く編曲、インプロは洒落ているそのもの。究極のジャズの持つ一つの世界だ。
そしてM02."How Long Has This Been Going On?"になって、ぐっと深く沈み込む、それも暗さよりは安堵の世界。M01.からの流れも見事。
M04." 'S Wonderful "のなじみの深い曲でも、かなり粋な編曲であるが、そこにはユーロ系の情感と言うよりは、やっぱりエレガントに仕上げている上に、明快なかなり力強さもあって彼の意欲が感じられた曲作りになっている。
アルバム・タイトル曲M07." The Man I Love"トリオ3者のゆったりとしたスウィングしての展開で、ピアノの抑揚が溢れた流れに、ベース重厚な音のリズムに加えドラムスはスリリングさが溢れていて、ラッチンのピアノへの色づけも良くグルーヴ感を盛り上げているのもさすがだ。
私はM08."Someone To Watch Over Me "のようなピアノ・ソロ・バラード展開が好きですね。
ユーロ系ジャズは、北欧のクラシックからの流れを加味した深遠な世界、イタリアの歌心ジャズなどと私の好みを満足させてくれるが、こんなアメリカン・ルーツ・ジャズも、ふとジャズの原点の良さを感じ取れて時には良いものである。そしてラッチンはその上にガーシュウィンの曲の味を一層盛り上げていると言っても過言では無い。
(評価)
□ 選曲・編曲 88/100
□ 録音 88/100
(試聴)
*
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- サラ・アルデーン SARA ALDÉN 「FORCE OF NATURE」(2026.04.15)
- ウラジミール・シャフラノフ・トリオ VLADIMIR SHAFRANOV TRIO 「 SOUL EYES」(2026.04.10)
- フリー Flea 「HONORA」(2026.04.03)
- ティアニー・サットン Tierney Sutton 「Talking To The Sun」(2026.03.28)
- カーステン・ダール、リューベン・ロジャーズ、グレゴリー・ハッチンソン Carsten Dahl, Reuben Rogers, Gregory Hutchinson 「 Into the Storm - Live」(2026.03.17)
「JAZZ」カテゴリの記事
- サラ・アルデーン SARA ALDÉN 「FORCE OF NATURE」(2026.04.15)
- ウラジミール・シャフラノフ・トリオ VLADIMIR SHAFRANOV TRIO 「 SOUL EYES」(2026.04.10)
- フリー Flea 「HONORA」(2026.04.03)
- ティアニー・サットン Tierney Sutton 「Talking To The Sun」(2026.03.28)
- カーステン・ダール、リューベン・ロジャーズ、グレゴリー・ハッチンソン Carsten Dahl, Reuben Rogers, Gregory Hutchinson 「 Into the Storm - Live」(2026.03.17)
「ピアノ・トリオ」カテゴリの記事
- ウラジミール・シャフラノフ・トリオ VLADIMIR SHAFRANOV TRIO 「 SOUL EYES」(2026.04.10)
- カーステン・ダール、リューベン・ロジャーズ、グレゴリー・ハッチンソン Carsten Dahl, Reuben Rogers, Gregory Hutchinson 「 Into the Storm - Live」(2026.03.17)
- カーステン・ダール GinmanBlachmanDahl「Play Ballads」(2026.02.18)
- ロベルト・タレンツィ Roberto Tarenzi 「My Inspiration」(2026.02.12)
- 小曽根真TRiNFiNiTY「For Someone」(2026.02.01)
「アメリカン・ジャズ」カテゴリの記事
- ウラジミール・シャフラノフ・トリオ VLADIMIR SHAFRANOV TRIO 「 SOUL EYES」(2026.04.10)
- フリー Flea 「HONORA」(2026.04.03)
- カーステン・ダール、リューベン・ロジャーズ、グレゴリー・ハッチンソン Carsten Dahl, Reuben Rogers, Gregory Hutchinson 「 Into the Storm - Live」(2026.03.17)
- 謹賀新年2026 ビル・エヴァンス Bill Evans 「Portraits at the Penthouse: Live in Seattle 」(2026.01.01)
- アーロン・パークス AARON PARKS 「By All Means」(2025.11.28)





コメント