パティ・ロムーショ Patty Lomuscio 「 My Foolish Heart」
しっとりとした中に躍動感のある演唱が印象的なジャズ・スタンダード曲集
<Contemporary Jazz / Vocal Jazz>
Patty Lomuscio 「My Foolish Heart」
Alfa Music / Import / AFMCD329 / 2025
Patty Lomuscio (vocal)
Vincent Herring (alto saxophone except 7, 8)
Peter Washington (double bass except 7, 8)
Gianluca Renzi (double bass on 7, 8)
イタリアのベテラン女性ジャズ・ヴォーカルのパティ・ロムーショ(Patrizia “Patty” Lomuscio ←)の第4作アルバムの登場。彼女に関しては、2022年にここでKenny Barronのピアノでのアルバム『STAR CROSSED LOVERS』(CR43548/2022)を取り上げた経過があるが、なかなか味のあるヴォーカルで印象深かった。その彼女が「私の大好きな楽器の1つであるコントラバスとヴォーカルのためのレコードを作りたい」という思いを実現させたアルバムで、あの前作で共演した名ジャズ・ベーシスト、ピーター・ワシントン(↓左)に提案し企画し、同じくあのアルバムに3曲参加していたヴィンセント・ハーリング(↓右)を、素晴らしいサックスの音色が印象深かったため誘った。そして彼らがこの音楽的企画を受け入れ、珍しいヴォーカルと2楽器のトリオ編成のアルバムが誕生したという経過のようだ。
彼女の略歴は、イタリア出身のジャズ・ヴォーカリストで、1975年生まれ。 幼少期にヴォーカルのほか、チェロなどクラシック音楽の教育も受けており、ジャズ以外のバックグラウンドを持っていることが彼女の表現に深みを与えているという評価もある。 学問的にも音楽教育を受けており、ジャズを学んだ経験・マスタークラスやワークショップに参加した経験が豊富。現在はジャズの教育者としても活躍。
(Tracklist)
1. First Song
2. Can't We Be Friends
3. You've Changed
4. Choro Pro Zé
5. Love Theme From Spartacus
6. I'll Close My Eyes
7. Tight
8. Stars (aka “Endless Stars”)
9. My Foolish Heart
選曲されたものは、ジャズ・スタンダードやバラードが中心。歌唱、アレンジともにクラシック・ジャズの伝統を踏まえつつ、なかなか現代的な響きも持たせている。例えば M9.“My Foolish Heart” のような典型的なスタンダードをアルバムのタイトル曲に据え、その他にも M3.“You’ve Changed” や M6.“I’ll Close My Eyes” といった古典的・ミドルテンポのジャズ曲が並んでいて非常にとっつきやすい。
しかし、M1."First Song"でやや驚くのは、 ぐっと落ち着いたアルト・サックスとベースの音が聴かれるが、アカペラに近い彼女のヴォーカルから始まって、じっくりしっとり歌い上げていて、なかなかヴォーカル・アルバムとしての真髄を示しているような展開で、少々驚く。
そして一曲5分、6分という比較的長い仕上げの曲が多いのであって、如何に彼女が歌い込みに気合いが入っていたかが解るところだ。
曲は多様性があって、M4."Choro pro Zé"のようなブラジル風味やラテンジャズ的な要素をうまく取り入れて聴かせるところはにくいところ。こうしてアルバム全体の流れやムードに変化が取り入れられていて飽きさせずにいる。
M5."Love Theme From Spartacus"なども、従来の一般的に聴かれるモノとは一線を画し、彼女の独特の透明感や清涼さのあるしなやかで中々しっかりと伸びるトーン高めでなんとも厚みを呈したイタリア独特のややねちこさもある歌で、ダイナミックでもある躍動感ある演唱を演じている。
ぐっと落ち着いて構えているヘヴィーな肉太ベースや、ちょっと色気のあるアルト・サックスなど、このジャズ・グルーヴ感を盛り上げつつ、独特の世界観を生み出すための貢献も大きいと聴いた処だ。
女性ジャズ・ヴォーカル、特にスタンダードやバラードが好きで、なにはともあれ落ち着いた演奏、じっくりと歌声を味わいたいというにはうってつけである。
(評価)
□ 選曲・編曲・演奏・歌 88/100
□ 録音 88/100
(試聴)
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