アルマ・ミチッチ、エリック・アレキサンダー ALMA MICIC with E.Alexander「LILAC WINE」
既に完成したヴォーカルで編曲にも力が入って自己の世界に導く
<Jazz>
ALMA MICIC with E.Alexander「LILAC WINE」
【HYBRID CD】 Venus Records / JPN / VHGD-10023 / 2025
アルマ・ミチッチ Alma Micic (vocals)
エリック・アレキサンダー Eric Alexander (tenor & alto saxophones)
ラレ・ミチッチ Rale Micic (guitar)
ブランダン・マッキューン Brandon McCune (piano)
アレキサンダー・クラフィ Alexander Claffy (bass)
ジェイソン・ティーマン Jason Tiemann (drums)
Recorded at Van Gelder Studio in New Jersey on April 19, 2025.
Engineered by Maureen Sickler
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara
Venus Hyper Magnum Sound Direct Mix
アルマ・ミチッチの"ヘレン・メリル&クリフォード・ブラウンに捧ぐ!"と言うことでのヴォーカル・アルバムがVenus Recordから登場。彼女はセルビア出身でここ数年NYで活躍中で、昨年ここで取り上げたアルバム『You're My Thrill』(VHGD-10013,2024)で話題になった。知らなかったが、なんとヘレン・メリルってクロアチア出身なんですね、ということは元々は同じ国同士(旧ユーゴ)という関係だったという事だ。そんなことからおそらくミチッチにとっては、メリルは憧れのジャズ・ヴォーカリストという事なんだと思う。
彼女に関しては、前記事(2024年11月10日)を見て欲しいが、今回はエリック・アレキサンダーとの共演が更に色濃くなってのTSとのクインテットとの共演( ジャズ界で有名なVan Gelder Studioにて録音)ということが話題という処か。その点は私はちょっと腰が引けるところだが、収録曲はヘレンも得意であったバラード系の曲が中心になっていて、その点は救いである。
(Tracklist)
1.ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ You’d Be So Nice to Come Home To (Cole Porter) 5:11
2.ライラック・ワイン Lilac Wine (James Shelton) 4:35
3.オール・オブ・ミー All of Me (Marks/Simons) 4:34
4.カムズ・ラブ Comes Love (Stept/Brown/Tobias) 4:21
5.アイ・ハブント・ガット・エニシング・ベター・トゥー・ドゥ I Haven’t Got Anything Better To Do (Vance/Pockriss) 6:47
6.野生の息吹 Wild is the wind (Tiomkin/Washington) 5:25
7.ラバー・マン Lover man (Jimmy Davis) 4:18
8.夜も昼も Night and Day (Cole Porter) 4:06
9.ス・ワンダフル ’S Wonderful (George Gershwin / Ira Gershwin) 2:46
10.マスカレード・イズ・オーバー Masquerade is Over ( Wrubel / Magdison ) 4:27
メリルの十八番であるCole Porterの有名曲M1."You’d Be So Nice to Come Home To"からスタート。この曲彼女の伴侶であるラレ・ミチッチのギターから始まって、時代の違いがそのまま現れ、そして歌はスキャットを使ったメリルとは異なった世界の曲を構築している。そしてエリック・アレキサンダーのサックスはおもむろに後半に登場して更にジャズ色を深め最後にアルマ・ミチッチの歌い上げるところで終わる。
M2."Lilac Wine"は、アルバム・タイトル曲で、私の注目曲。多くが歌う曲だが、私はエリザベス女王のお気に入りのジョージア出身のKatie Meluaやアイルランド出身のImelda Mayなどのどちらかというとポピュラー系、ロック系の歌手の歌が印象深い。失恋曲であるだけに、しっとりと歌い上げるところが注目。彼女もギター・ムードとサックスの支えでなかなか旨く哀感たっぷりに仕上げている。
M3."All of Me "のジャジーなリズムカル展開は解るが、やはりM1.M2.では、おとなしかったTSがかなり前面に出てきて、ヴォーカル・アルバムといえども、演奏陣も対等に曲を演ずるのは悪いことでは無いが、ちょっとうるさい感じだ。
M4."Comes Love "は、ギター、ベース、ドラムスがリズムをユニゾンで刻む楽しさでジャジーにヴォーカルと競う。
M6."Wild is the wind" 静かなギターの導入で、しっとりと歌い上げて聴き入ってしまう。ピアノの響きも情感たっぷり。そして次第に情熱的な歌に変化、私はこのアルバムでは一押しだ。TSがあまり力まないのが良かったのかも。
M9."’S Wonderful "フェイクを効かせて、かなり変化した曲仕上げ、そしてアップテンポでジャズの楽しみと言えばそうとも言えるが。
M10."Masquerade is Over "前曲とガラッと変わってピアノのみの伴奏で静かに説得力ある歌。このあたりが私は楽しめる。
まあ、ジャズに何を求めるかであるが、彼女ぐらいになるとしっとり歌い込む実力があって、澄んだ声と声量とでなんでもこなしそうだ。アップテンポの曲もあるが、それを生かしたバラード曲の対比が効果があり、その点が私にとっては良かった思うところだ。もともとTSはうるさいと感ずることが多い私であるので、今回もエリック・アレキサンダーとの共演自体、私は疑問であったのだが、まあ彼女にとっては恩人だからそれはそれとして聴いておこうと思うところ。そのあたりは好みとしてそれぞれが楽しめば良いことである。
(評価)
□ 編曲・歌・演奏 : 88/100
□ 録音 : 87/100
(試聴)
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コメント
アルマ・ミチッチさん、静かなギターに語り掛ける様な魅力的な声・・、秋の風情にピッタリ。ニューヨークのクラブで活躍中のセルビア出身のジャズ・ボーカリストなんですね
投稿: ローリングウエスト | 2025年11月 6日 (木) 09時27分
ローリングウエスト様
こんにちは、コメント有り難うございます
ロックの味と又一つ違ったジャズ・ヴォーカルのバラードの味は、今の秋には向いているかもしれません。こんな世界も時にはよろしいかとも・・・・^^
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2025年11月 6日 (木) 10時59分