松井秀太郎 SHUTARO MATSUI「FRAGMENTS」
トランペットの魅力にカルテット演奏の充実度も高い
<Contemporary Jazz>
SHUTARO MATSUI 「FRAGMENTS concert hall live 2025」
(CD)avexclassics / JPN / AVCL-84182 / 2025
松井秀太郎 Shutaro Matsui (1,2,3,6,7: Trumpet, 4,5: Flugelhorn, 8: Piccolo Trumpet and Trumpet)
壷阪健登 Kento Tsubosaka(Piano)
小川晋平 Shimpei Ogawa(Bass)
きたいくにと Kunito Kitai(Drums)
LIVE Recording
1,4: 30 March 2025 at Sumitomolife Izumi Hall
2,3,5,6,8: 5 April 2025 at Suntory Hall Blue Rose
7: 28 March at Denki Bunka Kaikan (Nagoya) and
5 April 2025 at Suntory Hall Blue Rose
このところにわかに話題をさらっている新進気鋭トランペット奏者の松井秀太郎(1999年生まれ、26歳 →)が、ライヴ・アルバム『FRAGMENTS - CONCERT HALL LIVE 2025』を10月22日に発表した。もともと管楽器奏者はあまり興味の無い私だが、あまりにも評判が良いので、とにかく聴いてみた次第である。
そして演ずるはTrumpet, Flugelhorn,Piccolo Trumpetだ。その演奏能力も高く評価されている。そして更に曲は自らのオリジナルが主体とくるから評価も高い。
このアルバムは今年の2月から4月にかけて開催されたツアー〈松井秀太郎 Concert Hall Live Tour 2025〉の模様を収めたもの。演奏メンバーも新カルテット(壷阪健登 (Piano 下左)、小川晋平 (Bass 下中央)、きたいくにと 下右)で、披露された曲は、松井の自作曲7曲と、サン=サーンス作曲"DANSE MACABRE"(2024年発表の前作『DANSE MACABRE』のアルバム・タイトル曲)の全8曲を収録している。
[注目の松井秀太郎]の紹介をネットで見ると・・・
国立音楽大学ジャズ専修を首席で卒業。矢田部賞受賞。高校ではクラシックを専攻、日本モーツァルト青少年管弦楽団トランペット奏者として活動。大学入学を機にジャズ専修へ転向し小曽根真、エリック・ミヤシロ、奥村晶らに師事。在学中より自身のジャズコンサートや BLUE NOTE TOKYO ALL STAR JAZZ ORCHESTRA への参加等、本格的にプロ活動。
自身のソロ公演の他、オーケストラやウインドオーケストラとのクラシックの協奏曲の共演やブラス・アンサンブルとのツアー、小曽根真No Name Horsesへの参加、米津玄師の楽曲やKing Gnuのツアー参加等、ジャンルを超えたマルチな才能で注目を集めている。
また、テレビ朝日「題名のない音楽会」や MBS/TBS「情熱大陸」などメディアでも取り上げられ話題となっている。
これまでに、一昨年からアルバム「STEPS OF THE BLUE」(2023年)、「DANSE MACABRE」(2024年)、「FRAGMENTS – CONCERT HALL LIVE 2025」(2025年10月)をリリース。
01 FRAGMENTS[LIVE 2025]
02 TIGER MARCH[LIVE 2025]
03 SIGN[LIVE 2025]
04 LITTLE CRADLE SONG[LIVE 2025]
05 BEIJINHO[LIVE 2025]
06 COLOR PALETTE[LIVE 2025]
07 DANSE MACABRE[LIVE 2025]*
08 CATS' BATTLE[LIVE 2025]
Composed by Shutaro Matsui except 7
Track 7(*印) composed by Camille Saint-Saëns
arranged by Shutaro Matsu
スタートのアルバム・タイトル曲M01." FRAGMENTS"の冒頭からトランペット・ソロで朗々と演奏して評判通りの良い響きでグッと引き寄せられるが、続いてカルテットの残る三者が突如バーンと出てきて圧巻。10分に及ぶ演奏で、ピアノとベースのユニゾンも頼もしいし、後半のトラム・ソロもパンチが効いていて、こんな調子に若さの感じられる演奏が展開する。
このカルテットは、小曽根真が後進の育成として展開しているメンバーで、「from OZONE till Dawn」というものらしいが、なるほど小曽根のセンスを引き継いで、ジャズにアプローチしてきた若いメンバーのパワーなんだと実感する。
オリジナル曲であるので、過去の演奏者との比較は出来ないが、どこかコンテンポラリーな因子が作用していて新鮮であり、と言って難しさを感じさせずに聴いて乗っていけるところが、味なところだ。
M03."SIGN"では早速ピアノ・プレイの前進的ハイテンポでのトランペットと対話的展開に現代性が感じられ、一方余韻の使い方も味があり、このカルテットの技量の高さを感じさせる。又M04." LITTLE CRADLE SONG"はぐっと落ち着いた世界を描き、トランペットの音が牧歌的な世界もあって聴かせるポイントを持っている。そしてピアノは、打音も美しくメロディー・ソロが又一層美麗な世界を与えてくれる。
味付けに、M07."DANSE MACABRE"としてサンサーンスの曲が登場するところが、いかにもクラシック畑で鍛えたパワーを見せつける。
松井のトランペットは、その評価の術を持ってない私だが、その軽やかさと、圧倒するパワーと、クラシック調の調べと、非常に受け入れやすいところが、やはり技術的なその高さを推測させる。
そして見事なのは壷阪健登のピアノだ。流麗さと共にパワーがあり、そして余韻の使い方も旨い。やっぱりクラシックでたたき上げてきた基礎がこうした世界に響くのだろう。
そしてリズム・セッションの小川晋平 のベース、きたいくにとのドラムスも彼らなりきの世界を構築しようという意志が伝わってくるところが、かなりの実力者で、この松井のトランペットをものの見事に支えている。
日本の音楽技能を持つ若者が、ジャズと言う世界を、自由に泳ぎ回ることが出来る技術とセンスを持って迫ろうとしていることに喝采を浴びせたくなった。
トランペットと言うとマイルス・デイヴィスとなるが、彼のスタート時の静謐で構築的なアンサンブルを志向。柔らかな音色、抑えた表現のク-ル・ジャズとは別物で、彼の末期のコンテンポラリーな世界から初期に近い頃のモード・ジャズと言われる即興の展開などをミックスした両タイプに通ずるような印象がこのカルテットにはあり、しかもそれにクラシックをも感じさせる世界が現れるのが頼もしい。これからどう発展してゆくのか、まだまだ先は十分あるので日本のジャズ界にとっても楽しみな存在だ。
(評価)
□ 演奏・曲 : 88/100
□ 録音 : 88/100
(試聴)
| 固定リンク
« ケイコ・リー(李 敬子) Keiko Lee 「Sings Super Standards 3」 | トップページ | トーマス・エンコ Thomas Enhco 「Mozart Paradox 」 »
「音楽」カテゴリの記事
- アレッサンドロ・ガラティ Alessandro Galati「Standard Deviation」(2025.12.04)
- アーロン・パークス AARON PARKS 「By All Means」(2025.11.28)
- フランチェスコ・マッチアンティ FRANCESCO MACCIANTI TRIO 「PLAYS STANDARDS」(2025.11.22)
- トーマス・エンコ Thomas Enhco 「Mozart Paradox 」(2025.11.16)
- ケイコ・リー(李 敬子) Keiko Lee 「Sings Super Standards 3」(2025.11.06)
「JAZZ」カテゴリの記事
- アレッサンドロ・ガラティ Alessandro Galati「Standard Deviation」(2025.12.04)
- アーロン・パークス AARON PARKS 「By All Means」(2025.11.28)
- フランチェスコ・マッチアンティ FRANCESCO MACCIANTI TRIO 「PLAYS STANDARDS」(2025.11.22)
- トーマス・エンコ Thomas Enhco 「Mozart Paradox 」(2025.11.16)
- ケイコ・リー(李 敬子) Keiko Lee 「Sings Super Standards 3」(2025.11.06)








コメント
松井秀太郎さん初めて知りましたが、国立音楽大学ジャズ専修を首席で卒業とは凄いですね!幼少期より独学でピアノ、9歳よりトランペット、天は2物も3物も与えるんですね~!
投稿: ローリングウエスト | 2025年11月13日 (木) 21時52分
ローリングウエスト様
こんばんは、コメント有り難うございます
松井秀太郎は、日本のジャズの一角を担っている小曽根真の教育も受けて居ての自己の才能を溌剌と発揮しているところがいいですね。
今や、ジャズ界も多様化していますので、益々頑張って欲しいと思います。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2025年11月13日 (木) 22時10分