ソレン・ベベ (サン・ビービー) Søren Bebe Trio 「First Song」
哀愁・美旋律・叙情的アルバム -- 過去のシングル・デジタル・リリースを集めて一枚に
<Contemporary Jazz>
Søren Bebe Trio「First Song」
FROM OUT HERE MUSIC / IMPORT(EU) / CD / FOHMCD024 / 2023

Søren Bebe : piano
Kasper Tagel : bass
Anders Mogensen : drums(Track1,2,3,5,8,9)
Knut Finsrud : drums(Track 4,6,7,10)
ソレン・ベベ(サン・ビービーSøren Bebe →)はデンマーク出身(1975年生まれ)の注目ピアニストだ。彼については過去にここで数枚のアルバムを取り上げているが、日本初お目見えは2010年の2ndアルバム『From Out Here』で、それ以来私はファンと言って良い。
今回のこの8枚目のアルバムは、 2023年リリースのトリオ初のコンピレーション・アルバム で、過去約9年間に作られたデジタル・シングル10曲をまとめたもの。CDやアナログ盤で聴けるのはこれが初だ。ここにきてCDを入手したので取り上げる事とした。
彼はヨーロッパのジャズおよび現代音楽シーンを代表するピアニストと言われていて、スカンジナビアでは人気のトルド・グスタフセンや故エスビョルン・スヴェンソンとよく比較もされる。8歳で初めてピアノのレッスン受け、2004年、著名なスウェーデンのジャズピアニスト、ラース・ヤンソンらに7年間師事した後、オーフス(デンマーク)の王立音楽アカデミーを卒業し、卓越したソリストのための音楽の上級大学院ディプロマを取得したという経歴だ。そして2007年にトリオを結成し、その後9枚のアルバムをリリースして、世界中で多くのコンサートをしてきている。(この後9作目のアルバム『Gratitude』(FOHMCD026, 2025)が昨年リリースされ(↓)、ここに日本にて一般輸入販売・・・次回紹介予定)
いずれにしてもソレン・ベベの音楽的視野は、大御所アメリカや近年盛んなヨーロッパのジャズのジャンルの境界にとどまらず、クラシック、ロック、ポップ、フォークにまでに及んでいて、彼に影響を与えた人物を尋ねると、名前はオスカー・ピーターソン、キース・ジャレット、そして最近ではアーロン・パークスが挙がるようだ。彼のトリオのミュージシャン、クヌート・フィンスルード(d ↓左)とカスパー・タゲル(b ↓右)は、どちらもスカンジナビアでは実力と人気のミュージシャンで、ベベのピアノ演奏にぴったりの世界を構築してくれる。本作前の最新作は7作目『Here Now』(2023)であった。
とにかく「ベベは、エロール・ガーナーやビル・エヴァンスからキース・ジャレットに至る叙情的ピアニストの伝統に属している」との評価はその通りだと、それは私好みの世界に入るのである。
(Tracklist)
1 First Song (Charlie Haden)
2 Echoes II (Kasper Tagel)
3 Be Still (Søren Bebe / Kasper Tagel / Anders Mogensen)
4 Breathe (Søren Bebe)
5 Pavane for a Dead Princess (Maurice Ravel)
6 Evening Song (Søren Bebe)
7 Deer Spirit (Søren Bebe)
8 Song for Alberte (Søren Bebe)
9 Ennio (Søren Bebe)
10 Elegy for an Angel (Søren Bebe) ()内 作曲者
◇トラック1,8 = 2015年11月にデンマーク・コペンハーゲンのMillFactory(担当:Boe Larsen) で録音、ミキシングとマスタリングはヤン・エリック・コングスハウグ(Rainbow Studioにて)。
◇トラック2,3,5,9 = 2019年1月、デンマーク・コペンハーゲンのThe V-Recording(担当:Thomas Vang)で録音、 ミックス&マスタリングはジョン・フォムスゴー(Karmacrewにて)。
◇トラック4,6,7,10 = 2023年4月 コペンハーゲンのThe V-Recording(担当トーマス・ヴァンデンマーク)で録音、ミックス:オーガスト・ワンングレン(Virkelighedenにて)、マスタリング:ジョン・フォムスゴー(Karmacrewにて)
北欧ジャズらしい 叙情的・メロディアスな現代ジャズ が特徴で、暖かく繊細なサウンドが中心です。過去のシングル曲を中心に構成されており、ソロやトリオならではの即興とアンサンブルが楽しめます。
M1. "First Song" (Charlie Haden) チャーリー・ヘイデンの名曲で、トリオはアルバム冒頭で敬意を込めた演奏を広げる。穏やかに静かに心休まる世界。
M2. "Echoes II" (Kasper Tagel) トリオのそれぞれの楽器の存在が適当に現れ対話してリズミックな展開。
M3. "Be Still" (Bebe/Tagel/Mogensen) いっやー、静かさの表現が、トリオとしてお互いに響き合い素晴らしい空気感。
M4. "Breathe" (Søren Bebe) ピアノの流れがクラシック的、繊細なピアノが美しい。
M5. "Pavane for a Dead Princess" (Maurice Ravel) ラヴェル(クラシック)の名曲をジャズ・トリオで再構築。ベースとドラムスがかなりお上品にピアノを支える。
M6. "Evening Song" (Søren Bebe) 一日の終わりのシーンを、ピアノの優しいフレーズが描く。
M7. "Deer Spirit" (Søren Bebe) べべらしい情感の深まりを演ずる。
M8. "Song for Alberte" (Søren Bebe) ピアノがバラードで歌う、ベースの支えが有効に。
M9. "Ennio" (Søren Bebe) 静かな中にドラマチックな物語が。
M10. "Elegy for an Angel" (Søren Bebe) 哀愁の曲。ラストトラックで、心情を描く。
期待通りの美しい叙情的世界、全てを聴いて心が落ち着く。北欧ジャズらしくメロディが美しく、「静けさ」「空間感」に包まれ、ジャズとしては聴くに実に抵抗のないアルバム。過去の曲選りすぐんでのことと思うが、よくここまで一枚のアルバムとして纏めたものだと感心した。
(評価)
□ 曲・演奏 : 90/100
□ 録音 : 90/100
(試聴)
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コメント
風呂井戸さん,おはようございます。
この人の抒情的なピアノははまる人がきっと多いだろうと思います。昨今は自分のレーベルを持って,プロモーションにも熱心ですしね。私もそうした経緯で知った人でした。
先日,メールで日本でアルバム("A Song for You")を出した時,日本にツアーしたかったにもかかわらず,お声が掛からなかったってぼやいていましたが,まぁまだ当時の知名度からすれば仕方なかったかもしれませんね。
このアルバムは拾遺集の位置づけと思いますが,十分楽しめました。ということで,当方記事にもコメントを頂いていましたが,改めてリンクを貼り付けさせて頂きます。
https://music-music.cocolog-wbs.com/blog/2024/02/post-7c94eb.html
投稿: 中年音楽狂 | 2026年1月25日 (日) 07時47分
中年音楽狂様
ご丁寧なコメント有難うございます
もうユーロ・ジャズ系に傾き、北欧に痺れて長くなりましたが、やはり私はこの世界には無条件に受け入れてしまうところです。
ジャズと言ってもピアノ・トリオ世界は、なんとなく品があって好きなんです。それはやはりヨーロによく見るクラシックの影響もあねのかもしれません。
これからも日本でも、もっともっと支持されてゆくと信じてますが・・・
リンクも有難うございました。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2026年1月26日 (月) 17時57分