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2026年3月 6日 (金)

アンドレア・モティス Andrea Motis 「 INTIMATE」

表現力あふれるヴォーカルが前面に出た親近感あるアルバム造り

<Jazz>

Andrea Motis 「 INTIMATE」
Elemental / Import / CD / EM5990436 / 2026

Andreamotisintimatecdw

ANDREA MOTIS(vo, tp.)
JURANDIR DÃ SILVA(g. on tracks 1,2,6,9,11,12,14,15,16)
JOSEP TRAVER(g. on tracks 1,3,4,5,7,8,9,10,13,14,17)

Special Guest:
JAQUES MORELENBAUM(cello on tracks 5,8)

Andreamotissanw  前回から女流管奏者が続くが、トランペッター&ジャズ・シンガーとして世界から注目されるバロセロナ出身のアンドレア・モティス(⇢)の2026年新作アルバム登場。
 前作は2024年『Febrero』(JJAMCD00302)で、ここでも取り上げたが、チリのクラシック・アンサンブルであるカメラータ・パパゲーノと共演もので、ちょっと私が以前の流れから彼女に期待するモノから別方向のもので、今作も恐る恐るという事であったが、今回は彼女のヴォーカルをしっとりと美しく優しくソフトに披露して、まさにファン向きの親密なる世界で訴えてくるもので、ほっとしている。あのトランペットは時折入るも、いかにも今回は添え物の趣である。

 バルセロナ、リオデジャネイロ、モントリュー・デ・セガラで録音され、ロンドンのアビー・ロード・スタジオでアレックス・ウォートンによってマスタリングされたものと紹介され、主としてボーカルとギターのデュオ・スタイル。そして一部で自己のトランペットを加え、更にブラジルの重鎮ジャック・モレレンバウムJAQUES MORELENBAUM(↓右)の叙情的なチェロがぐっと優雅さを加えてくれる。

 そして何と17曲を盛り込んで、彼女の世界に引っ張り込む。中身はジャズのスタンダード、フォークソング、ボサノバ、シャンソンを演じ、それぞれの言語も使い分けムードを盛り上げている。曲はイミー・ワインハウス、シコ・ブアルケ、ビル・ウィザース、ジョルジュ・ブラッサンスらの作品を彼女なりきの世界に描いて、更に自身のオリジナル曲も収録されている。ようやく彼女の良さが大いに盛り込んだ作の登場となった感がある。
 共演は、ギターは、実力のJURANDIR DÃ SILVA(↓左)とJOSEP TRAVER(↓中央)で、モティスを盛り上げてくれる。

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(Tracklist)

1 You Sent Me Flying
2 Beatriz
3 Freight Train
4 Mi Lecho Está Tendido*
5 O Meu Amor
6 Preconceito
7 Je Me Suis Fait Tout Petit
8 De Mica En Mica* 
9 Flor De Lis
10 Little Blue
11 Tan Tranquil·la
12 Retrato Em Branco E Preto
13 Senhorinha
14 Ain’t No Sunshine
15 Tudo É Ilusão
16 Complicidad
17 To Know Him Is To Love Him

*印 Bonus Track

 まさにアルバム・タイトル通りの 親密でゆったり落ち着いた美的な世界で、ジャズらしさというよりは、彼女自身の魅力の紹介を目指した作品といっていいのではないか。温かく繊細な感情的な誠実さによって形作られたちょっとイノセントな彼女の歌声 と、とにもかくにも控えめで叙情的な トランペット が印象的で、アコースティックな演奏を基調にした弦楽器(ギター、チェロ)がなんとも良い世界を描く。

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 M1."You Sent Me Flying" ギターとデュオでスタート、Motis の歌は手に取るように物語の始まりを歌い、後半に顔を出すTp.が優しくくどさがなく対話的な表現が良い。
 M2."Beatriz" ラテンのムードの穏やかな曲。丁寧に歌い上げ、深い余韻。
 M3."Freight Train" アコギでぐっと明るく軽快、ちょっとフォークっぽく。
   M4."Mi Lecho Está Tendido" スペイン語の短い曲をしっとりした世界(このボーナストラックがナカナカ良い)。
 M5."O Meu Amor" ポルトガル語の愛の歌らしい。チェロも入って美しく。
 M6."Preconceito" ボサノバっぽい。リズムと歌が小気味よい。
 M7."Je Me Suis Fait Tout Petit" シャンソンのカバー。モティスの微細な優しさのある軽快表現が魅力。
 M8."De Mica En Mica" (Bonus Track)  ギターの対話が美しい上に、チェロがバックに絡んでお見事な優しさの美曲。 
   M9."Flor De Lis" ブラジル音楽らしいボサノヴァ・メロディライン。中盤にTp.が顔を出す。
 M10."Little Blue" ソフトなバラード、ちょっと哀感が感じられる表現。
 M11."Tan Tranquil·la" 穏やかに描く。落ち着いた 静けさの美。
   M12."Retrato Em Branco E Preto" ギターと美しく優しく歌うポルトガル語曲。
   M13."Senhorinha" ポルトガル・ブラジル音楽が伝わってくる。
   M14."Ain’t No Sunshine" 名バラード曲カバー。ぐっと抑制して唄とTp.が競演、2ギターが盛り上げて新解釈。
   M15."Tudo É Ilusão" ポルトカル語のリズムカルな哀愁の訴え。
   M16."Complicidad" 優しくギターと声の絡みの密接な世界。
   M17."To Know Him Is To Love Him" ポップ/ソウル曲のカバー、Motisの実力歌唱とギターでの印象を深める締め。

  今回のアルバムは、刺激的というか派手に訴えてくると言うものでなく、静かに耳を傾け、人生に有意義に価値を持たせようとする親密感と暖かさが際だったアルバム と言えるのではないだろうか、前作と相対して対比されるようなアルバムだ。Tp.の出番が少なかったのは彼女としてもどのように評価しているかが気になるところだが、むしろ本人の希望があってのバラードへのアプローチであったということからも、このパターンは彼女自身の一つの世界であり、ヴォーカルに重点を置いたと見たい。そしてそれを支える二人のギターが充実していて名サポート。そんな意味では、私にとって今まで聴いてきた価値がここに出たという感じでもある。
 結論として、 自身の歌声とトランペットをバランスよく美しく表現する手段とし、 アコースティックなギターと共に親近感あるジャズ作品として結実させたという彼女自身にとっても一つの記念的な一つの進歩のアルバムだと評価できそうだ。おそらく今後の活動にも何らかの意味を持って大切にされそうな予感がする。

(評価)
□ 選曲・編曲・演奏・歌  90/100
□ 録音          88/100

(試聴)

 

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