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2026年4月29日 (水)

ラ-シュ・ダニエルソン Lars Danielsson Liberetto 「 Echomyr」

美しいメロディ・アンサンブル音楽に心の内面を描く深層の音楽が・・・

<Jazz>

Lars Danielsson Liberetto 「Echomyr」
ACT MUSIC / Import / CD /ACT80412 / 2026

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Lars Danielsson : double bass, cello, gimbri (#10), piano (#10), electric guitar (#6),
Gregory Privat : piano,
John Parricelli : guitar,
Magnus Öström : drums & percussion,

Guests:
Arve Henriksen : trumpet on #3, 7,
Magnus Lindgren : flute & alto flute on #6,
Carolina Grinne : english horn on #8

音楽作曲:ラース・ダニエルソン
録音:2025年4月6日〜9日および10月28日〜31日

Larsdanielssonkontraw   スウェーデン出身のもはや重鎮ベーシスト、ラーシュ・ダニエルソンLars Danielsson(1958年生まれ、スエェーデン)による音楽ジャンルを広く見渡してのクラシック室内楽、ルーツの北欧と世界各地の民族音楽とを融合し、自らの音楽世界を構築するプロジェクト「Liberetto」の第5作(オーケストラ共演盤を抜いて)となる新作の登場。

 メンバーにはピアノにGregory Privat(↓左、 1,2作はティグラン、その後の3作から)、John Perricelli(g、↓左から二人目)、Magnus Öström(ds、↓左から三人目)を主体に、更にゲストを迎えての 曲によってトランペットやフルート、イングリッシュホルンのメンバーの集結。
 この「Liberetto」というバンド・プロジェクトは、2011年からで互いの信頼と友情に基づき構成されていて、その名は「libretto」(クラシック的構造)と「Liber」(自由=即興)のかけあわせた造語で、メロディー中心主義で室内楽的アンサンブルの尊重、国際色豊か(アルメニア、中東、アフリカと勿論北欧などの要素がある。民族楽器も登場)ということで、繊細で透明なサウンドやリズムの尊重、抒情を大切にといった世界感を持って演奏する。
 そんなことから「美」「知性」のバランス感覚がよいことや、ユーロの抒情性に評価がある。ダニエルソンのベーシストが主導する作曲の美しさはなによりも人気があり、ドラムスもリズム隊としての支えばかりでなく、曲の色・味にも貢献していて頼もしい。

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 さてこのアルバムもそんな中での久しぶりに2023年のオーケストラ版は別にすると5年ぶりとなり、期待して聴くことになるのだが、ある意味「Liberettoの到達点」的な存在ではないかと思いつつアプローチすることとなった。収録曲全曲ダニエルソンのオリジナルである。

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01 Pre 00:37
02 Allan 06:09
03 Supreme 06:51
04 Glòr 05:49
05 Sensitiva 04:38
06 Ascending 05:05
07 Himlen Över Dig 02:38
08 Echomyr 05:48
09 Presto 04:22
10 Something She Said 03:19

 先行シングルとして、M4,M8が抒情性を植え込んでいたが、それぞれの曲が、かなり特徴があるので詳しくみることとする。
 M1. "Pre"  チェロ、ベースによる短い導入曲。今作のイメージを植え付ける(?)。
 M2. "Allan" "孫への心"の明るい展開、ベース主導、中盤からピアノ、後半合奏でこのプロジェクトのお披露目。
 M3. "Supreme" ぐっと落ち着いて響くベース、至高の世界感、中盤からTpが入ってジャズ色が高まる。
 M4. "Glòr" ギターの民族的フォーク、トラッド様響き。光り輝き親しみやすいメロティー。
 M5. "Sensitiva" ダニエルソンのベースが前面 に出てのメロディーを演じての内省的世界。曲は私好みではある。ギターのサポートで進行し、ピアノの音が後半に美しさを放つが、ちょっと不完全燃焼(ギターとピアノ編成の難点か)。
 M6. "Ascending" フルートの参加で、ちょっと田舎のお祭り的、ここでのピアノは魅力無し。
 M7. "Himlen Över Dig" ギターの調べとミュートを効かせたトランペット再登場で、短く詩的な小品だが広く展開する広さが好感。
 M8. "Echomyr"(タイトル曲)メロディを主役に内省的でありながらプラス思考の動きが展開する不思議な曲。決して悲観的で無いところに好感が持てる。
 M9. "Presto" リズムカルにして多彩な技法のベース演奏が聴き処か、ピアノの軽快さも印象的。
 M10. "Something She Said" 最後に深く内省的になる。ダニエルソンがピアノ演奏してのギターとのデュオ。社会的背景(戦争の広がりなど)に反応しての思索的終曲、アルバムの締めくくりとして重要。

  私の好みであるところのTigran時代のようなピアノの美旋律による世界が後退しているのは、ちょっと寂しかった。時にフルート、トランペットなども加わり各種楽器が多くなって、アルバム自体の色が多彩と言うより統一感が無くなってしまっている。ただそのあたりはダニエルソンの音楽的狙いがありそうだが、まだ私には十分伝わってこなかったということなのかも知れない。ヨーロッパ古典音楽の構築性、北欧フォークの素朴な旋律、ジャズの即興性とグルーヴ感へのアプローチなとなど聴くポイントは多い。

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 さて「異質のM10の締めの曲」の意味づけに関心が引き寄せられる。つまり結論から言うと、アルバムとして築いてきた"美しい旋律の北欧的なローカル美"、そして"音楽のアンサンブルの調和"など、そうしたモノからある意味別の感覚の“心からの声”という印象なのである。しかしこれで締めるところにも大きな意味があろうと推測する。そこを見逃してはならない。
 ダニエルソンは、この曲について、明言はしていないようだが、近年の不安定な世界情勢(ウクライナ、中東情勢、ヨーロッパの現実、米国の姿勢)で感じた「無力感・不安・祈り・隔離」が作らせ演奏したものかと解釈するのだ。直接的な抗議や政治的メッセージではないというところが注目点で、曲のタイトルが「“Something She Said”(彼女が言った何か)」が又意味深なのだ。とても具体的な彼女とは思えない、つまり彼に伝わる事柄の脳裏に印象的な一つの象徴的存在なのだろうか?、とにかく聴く者に感じて欲しい世界感覚と自己の深い心を訴えたとしか思えない。

(評価)
□ 曲、演奏、コンセプト : 90/100
□ 録音           :   90/100


(試聴)
"Sensitiva"

*
"Something She said"

 

 

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コメント

久しぶりのご来訪ありがとうございました。長らくお越しもないのでもうご縁も切れたかと泣き暮らして訪問も差し控えておりました。(笑)ご縁復活嬉しく思い、またあらためて引き続きお付き合いよろしくお願いいたします。貴殿の音楽性の幅広さに比べると小生のロック志向とは対照的ですがまた興味ありそうなケースは公開告知を是非よろしくお願いいたします。先日、デビッド・ギルモアのソロのアルバム(1978年デビュー盤、2006年オン・アイランド)を購入して聴き込んでいるところです。

投稿: ローリングウエスト | 2026年4月29日 (水) 14時55分

ローリングウエスト様
 こちらにお越し頂いてコメント有り難うございます。取り敢えず私はミュージック関係を中心にコメントさせていただこうと思ってます。貴ブロクは習慣的に訪問はしておりましたが、大変失礼いたしました。
 いずれにしても、ローリングウエスト様のブログの広い範囲の中身の濃さに圧倒されております。又これからも楽しませてください。
 ギルモアのギター・サウンドはやはり注目すべき処は多いと思いますので、是非とも又ご感想など聞かせてください。
 

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2026年4月29日 (水) 15時11分

風呂井戸さん,こんにちは。リンクありがとうございました。

私はLars DanielssonのアルバムはPaolo Fresuとのデュオ作以来となりましたが,このアンサンブルの妙味には痺れました。熱くならないのが北欧的ですが,そこで演じられる素晴らしい旋律は素晴らしいと思いました。

ということで,当方記事のリンクを貼り付けさせて頂きます。
https://music-music.cocolog-wbs.com/blog/2026/04/post-85d426.html

投稿: 中年音楽狂 | 2026年4月29日 (水) 17時53分

中年音楽狂様
わざわざ コメント、リンク有り難うございました。
中年音楽狂さんやSuzuckさんも感想書いておられましたので、私も彼のアルバムは全て買ってきましたので、書かせて頂きました。
 とにかく聴きやすいことが最高ですね、又北欧だけで無く、中東やその他の民族的な世界も感じられて、スウェーデンの彼は、ちょっと世界感が広いですね。
 最後の曲は、タイトルからしても意味深でしたね。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2026年4月30日 (木) 08時56分

風呂井戸さま、リンクをありがとうございました。m(_ _)m

好きなアーティスト、好きな時代、、人それぞれですよね。
統一感がないとは思ってないのですが、個人的には、デュオかトリオくらいが良いと思っています。

傷つけられ続けている地球…母なる大地の思いかもしれませんね。

https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2026/04/post-90099a.html

投稿: Suzuck | 2026年5月 8日 (金) 07時34分

Suzuck様
こちらまで有り難うございます
おっしゃるように、私はトリオが良いですね
諸々の関係で、時に何かが加わることがあっても、やっぱりピアノトリオで言って欲しいです。
>傷つけられ続けている地球…母なる大地の思い
嘆いていることは事実でしょうね
リンクも有り難うございます

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2026年5月10日 (日) 08時49分

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