イルゴール・ゲエノー Igor Gehenot Trio 「 Shining Face」
欧州抒情とジャズのグルーブ感を忘れない成熟演奏
<Jazz>
Igor Gehenot Trio 「Shining Face」
Igloo Records / Import / CD / IGL390 / 2026
Igor Gehenot (piano)
Sal La Rocca (bass)
Umberto Odone (drums)
Recorded by Jonas Verrijdt at Rockstar Recording in May 2025
ベルギーのジャズシーンで15年のキャリアを持つ円熟期に入ったピアニストのイゴール・ゲエノー(1989年ベルギーのリエージュ生まれ →)の新作である。過去に1stアルバム『Road Story』(IGL232, 2012)などに接してきたが、今回は自身の息子に捧げた非常に個人的な作品と言う事だが、やはり欧州的抒情的なメロディと一方なんと原点であるアメリカン・ジャズのダイナミックさもちゃんと聴かせ、ハード・バップ色も加味されていて、「洗練された現代的なジャズの感性が融合した内容」として評価されている。
ピアノ・トリオ・スタイルによる新メンバーとの演奏であるが、以前からの共演者サル・ラ・ロッカSal La Rocca (bass、↓左) と気鋭のウンベルト・オドーネUmberto Odone (drums、↓右)との息の合ったところを披露していて、近年の流行のLPを意識してのことか、自作曲5曲を中心としたCDとしては若干少なめの7曲によるアルバムである。
卓越したメンバーとの演奏によって、円熟期を迎えたアーティストが親密なる家族への愛を込めていて、成熟した深みのあるところを聴かせてくれる。
(Tracklist)
1. Shining Face (6:33)*
2. All Of You (4:09)
3. Giulio (5:56)*
4. Eyes Of Black Dog (3:37)*
5. Random Life (4:22)*
6. Big Foot (4:10)
7. Bulle (6:14)*
*印:(1, 3, 4, 5, 7)composed by Igor Gehenot
2 by Cole Porter
6 by Paul Bley
コンテンポラリー・ユーロ・ジャズといったところを地で行く抒情性あるメロディックなプレイとジャズのグルーヴ感を持ち合わせての演ずるところはにくいところである。そして今回はテーマによるせいか、一層抒情性が増してきているように思う。
M1."Shining Face" タイトル曲、幕開けを飾る、光を意識したピアノの美旋律が流れる。大切な人を想う優しさを表現。次第に後半では三者それぞれダイナミックさを強調してゆく。
M2."All of You" スタンダード曲のカバー、アレンジが近代的。三者それぞれのジャズ演奏の技を披露。
M3."Giulio" しっとりと優しき思索的なバラード。間を活かしたピアノの音と、やはり優しきベースソロがぐっと心に。このアルバムの品格も高めている。
M4."Eyes Of Black Dog" がらっと変って、ピアノの激しさとドラムスの変則リズムでスリリングな展開。
M5."Random Life" 思索的に語るように・・、予測の出来ない人生の回顧か。
M6."Big Foot" メロディー優先でないダイナミックなゲエノーのタッチが展開し、ドラムスのソロも入って力強い現代ジャズ。
M7."Bulle" アルバムを締めくくる、未来志向の静かで穏やかな一曲。ベースとピアノの優しき交錯が曲名の「泡」のように、儚ない美音の弾きを見せる。
非常に聴きやすいとうところが一つの完成度の高さかも知れない。ヨーロ感覚が演ずるところにアメリカン・ジャズの価値観を持っての精神性を有したジャズ全体像をも見渡しての世界感があって、バランス感覚が非常に良い。十数年前に新人として1stアルバムを聴いた時を思い出すと、かっての初期の荒々しい衝動性はこのアルバムでは後退していると残念がるかも知れないが、それはテーマによるところが大きいからかも知れない。又録音の質もかなり良く、ベースやドラムスの役割も明瞭に聴き取れ現代トリオの全体像の構築が見事。
(評価)
□ 曲・演奏 : 88/100
□ 録音 : 88/100
(試聴)
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