« コンラッド・パシュクデュスキ Konrad Paszkudzki trio「 Putting'On The Ritz〜Irving Berlin Songbook」 | トップページ | ママル・ハンズ MAMMAL HANDS 「 CIRCADIA」 »

2026年5月17日 (日)

ステイシー・ケント Stacey Kent 「A Time For Love」

親密なる温かい世界をしっとりと歌い上げたジャズの一つの極み

<Jazz>

Stacey Kent 「A Time For Love」
Naive / Import / CD / BLV9072F / 2026

4573686062151w

Vocals – Stacey Kent (tracks: 1-10)
Alto Flute – Jim Tomlinson (tracks: 2, 9)
Backing Vocals – Jim Tomlinson (tracks: 5, 7, 9)
Clarinet – Jim Tomlinson (tracks: 2)
Flute – Jim Tomlinson (tracks: 4)
Percussion – Jim Tomlinson (tracks: 5, 10), Stacey Kent (tracks: 5)
Piano, Keyboards – Art Hirahara (tracks: 1-10)
Soprano Saxophone – Jim Tomlinson (tracks: 5)
Tenor Saxophone – Jim Tomlinson (tracks: 3, 6)

Recorded at Tree House Studio, VA, USA (Summer 2025)

Qlitivqzqh2ygbrrbtehw   アメリカのもうベテランになる女性ジャズ歌手のステイシー・ケント(Stacey Kent, 米国1965年生まれ61歳→)のnaive第2弾のニュー・アルバムがリリースされた。naiveからリリースされた第1弾のアルバム『Summer Me, Winter Me』(2023)は、彼女の持ち歌で録音が期待されていたコンサートレパートリーからファンのリクエストを集めたもので、かなりの好評で、フランスのジャズチャートで初登場1位を獲得するという快挙で、日本でもかなりの評価があった。そんなことからか、やや早めにこの第2弾アルバムの登場となったと思われる。
 今回は、世界中で長く親しまれているグレート・アメリカン・ソングブックのスタンダードから、ポップスの名曲、そして彼女の若き日の音楽を学んだフランスのシャンソン、更にブラジリアン・ミュージックまでを網羅してのかなり親しみやすい作品として作り上げられた。

 これは、彼女の夫であり長年の音楽パートナーでもあるサックス奏者/プロデューサーのジム・トムリンソンJim Tomlinson(英国、1966年生まれ, ↓左)の企画と演奏、そしてピアニストのアート・ヒラハラ(↓右)とともにトリオにて昨年夏にレコーディングしたものである。どうもケントの60歳の還暦を祝しているようだ。

   ステイシー・ケントは、ニューヨークのサラ・ローレンス大学で比較文学を専攻し、卒業後ヨーロッパへ渡り、音楽を学問として深めた。 そしてロンドンのギルドホール音楽演劇学校の大学院音楽課程に入学。 そこで後に夫となり音楽のパートナーとなるジム・トムリンソンと出会う。 音楽との最初の関係は幼少期のピアノレッスンで、その後学問の道を歩むも、しかし成果はなかなか上がらず、歌手としての道を歩んだ。結果 これまでに13枚のスタジオアルバムを発表し、約60か国のステージに立ち、アルバム売り上げは200万枚超えという支持を得た。 彼女の人気は、ジャンルを超え、又言語も多くをこなしての曲の感情の繊細なニュアンスを表現する力にあると言われている。そして夫でありサックス奏者・プロデューサー・作曲家・編曲家のジム・トムリンソンの力も大きい。

Jim_tomlinson_215725wUnnamedw_20260517115301

(Tracklist)

1 Lucky To Be Me 3:30
2 God Only Knows 3:14
3 The Shadow Of Your Smile 4:37
4 La Javanaise 3:35
5 As 4:59
6 A Time For Love 4:46
7 Trains And Boats And Planes 3:09
8 What Goodbye Is For 5:57
9 Carinhoso 3:53
10 E La Chiamono Estate 3:46

   やはり、ヴォーカル・アルバムを意識したアコースティックで最小限の編成が、彼女の独得の発声での親しみやすい歌声を引き立たせ支えて、非常に聴きやすいアルバムとして作り上げられている。やはり英語の他フランス語、ポルトガル語などで歌っており、世界に愛される形を今回も築いている。

Jim_tomlinson_211720w M1."Lucky To Be Me" レナード・バーンスタインがミュージカル『オン・ザ・タウン』の為に書いた曲。ピアノをバックにデュオ感覚で、喜びを、彼女らしい穏やかで温かみのある歌声で表現。
 M2."God Only Knows" なんとなく切なさが叙情的なジャズ・バラード、優しさが溢れている。
 M3."The Shadow Of Your Smile" 私が若い頃好きだった映画『いそしぎ』のテーマだ。歌は哀感たっぷり、バックはヒラハラのピアノが美しく、トムリンソンのTSの登場。
 M4."La Javanaise" フランス語歌唱。彼女の声の質はなかなかぴったり、アンニュイなところが良い。
   M5."As" 彼女の世界に変身の洗練されたジャズ世界に。
   M6."A Time For Love" タイトル曲、美しい気品あふれるバラード。ピアノと後半のTSの情感豊かなところも聴き処。このロマンチックな世界がこのアルバムの主題か。
 M7."Trains And Boats And Planes" どこかノスタルジックで長閑な世界。
 M8."What Goodbye Is For" ここで切ないバラード。Voc、P、TSの3者の静謐なジャズ的世界が素晴らしい。
 M9."Carinhoso" ブラジル音楽の聴き処。ポルトガル語の響きが親密。
   M10."E La Chiamono Estate" 美しいイタリア・メロディを、哀感あるジャズ・ヴォーカルの洗練された世界で締める。

 とにかく、このトリオの世界が静かに親密に美しくそして温かさが演じられるところが素晴らしい。万人向けのジャズ世界の極みだ。今回は、見事な人情の親しみがジックリと描かれていて、まさにケントの還暦祝いアルバムとして気持ちよく聴くことが出来た。ただし、録音音質に若干難があった。それは繊細な高音の美が欲しいところが、少々音が割れていて残念だったところだ。ビニール盤は聴いてないがどんなであろうか。

(評価)

□ 選曲・編曲・歌 :    90/100
□   録音      :    82/100

(試聴)

 

|

« コンラッド・パシュクデュスキ Konrad Paszkudzki trio「 Putting'On The Ritz〜Irving Berlin Songbook」 | トップページ | ママル・ハンズ MAMMAL HANDS 「 CIRCADIA」 »

音楽」カテゴリの記事

JAZZ」カテゴリの記事

女性ヴォーカル」カテゴリの記事

ステイシー・ケント」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« コンラッド・パシュクデュスキ Konrad Paszkudzki trio「 Putting'On The Ritz〜Irving Berlin Songbook」 | トップページ | ママル・ハンズ MAMMAL HANDS 「 CIRCADIA」 »