ニッキ・パロット Nicki Parrott 「After Midnight」
ブルース好きのパロットの編曲とヴォーカルが聴きどころ
<Jazz>
Nicki Parrott 「After Midnight」
vinus records / JPN / CD / VHGD-1002 / 2025
ニッキ・パロット Nicki Parrott - ボーカル&ベース
スティーブ・ラッセル Steve Russell - ピアノ
デイブ・サンダース Dave Sanders - ドラムス
マーサ・バーツ Martha Baartz - テナー&アルトサックス
ジム・ケリー Jim Kelly - ギター
今やビーナス・レコードの完全に顔となったオーストラリアのベーシスト・ヴォーカリストのニッキ・パロットNicki Parrott(1970年生まれ)のニュー・アルバム。彼女のアルバムはここで何回か取り上げてきたが、私の場合、惚れ込んでしまうとか、どうも好きになれないとか、そうした感情の湧かない不思議な存在でここまで来ている。もともとはベーシストとしてのジャズ演奏者であったが、そのヴォーカルも認められて現在はむしろヴォーカリストとしてのアルバム造りが多い。今回は母国オーストラリアでの収録のようだが、「ボーカルがセクシーに切なくブルースの夜を彩る」というキヤッチフレーズ(あまりセクシーという感じで無いが)でのアメリカ音楽のルーツに迫って、そのジャンルもジャズということにこだわらず、ブルース、カントリーの要素も取り込んでの彼女流のジャズ・アルバムに仕上げている。そしてバックはピアノ・トリオであるが、曲によってギター、サックスを取り入れて、味付けしている。レイ・チャールズ、B.B.キング等のブルース・フィーリングをニッキ流のジャズ・ヴォーカルでの世界に生かしている様を聴きこむのも楽しい。
(Tracklist)
1.アイ・ラブ・ビーイング・ヒア・ウィズ・ユー I Love Being Here With You (ペギー・リーとビル・シュルーガー) 4:12
2.アンチェイン・マイ・ハート Unchain My heart (Bobby Sharp)4:21
3. オール・アイ・ドゥ・イズ・シンク・アバウト・ユー All I Do Is Think About You (スティーヴィー・ワンダー、クラレンス・ポール、モリス・ブロードナックス) 4:01
4. クレイジー・ヒー・コールズ・ミー Crazy He Calls Me (カール・シグマン (音楽) & ボブ・ラッセル (歌詞)5:15
5. アフター・ミッドナイト After Midnight (J.J. Cale) 4:13
6. スリル・イズ・ゴーン The Thrill Is Gone (ロイ・ホーキンス、リック・ダーネル) 4:01
7. 恋に破れて What Becomes Of The Brokenhearted?(ウィリアム・ウェザースプーン、ポール・ライザー、ジェームズ・ディーン) 4:07
8.アイ・ドント・ニード・ノー・ドクター I Don't Need No Doctor (ニック・アシュフォード、ヴァレリー・シンプソン、ジョー・アームステッド) 3:55
9.偽りの恋 Your Cheatin' Heart (Hank Williams) 4:02
10.ワイルド・ウーマン・ドント・ハブ・ザ・ブルース Wild Women Don't Have The Blues (アイダ・コックス) 3:35
11.ヒー・コールド・ミー・ベイビー He Called Me Baby (HARLAN HOWARD) 4:37
12.ユー・ドント・ノー You Don't Know (ウォルター・スプリッグス) 4:20
13.レット・ザ・グッド・タイムス・ロール Let The Good Times Roll (サム・シアード&フリーシー・ムーア) 3:30
14.虹の彼方に Somewhere Over The Rainbow (Written by Harold Arlen (music) and Yip Harburg (lyrics) 2:58
Parrott本人の話によると、これは「このアルバムは深夜にぴったり、長い一日のおわり、あるいは深夜のライブの後、リラックスしてお酒を飲みながら足を伸ばして聴きたくなるようなアルバム」と言ってるようだ。いわゆるアメリカン・ジャズの全盛期に戻って、しかも深夜に一日を回顧してホッと出来るときの気持ちを支える歌として彼女は仕上げたようだ。
もともとペギー・リーのファンであったようでここでもM1."I Love Being Here With You "を取り上げている。なかなかスタートにふさわしいメロディアスな曲、サックスも入って賑やか。
続くは、レイ・チャールズのなじみの曲M2."Unchain My heart"では、ぐっとしっとりとしたムードから、軽快な展開まで盛り込んで快調。M8." I Don't Need No Doctor "も彼のヒット曲、ギターと女性バッキング・ヴォーカルも入って聴き応えあり。
M3." All I Do Is Think About You "はStevie Wonderの曲だが、Parrottのベース・ソロとギターで優美な展開。
M4."Crazy He Calls Me "は、しっとりとして歌い込んで私の好み、これぞ深夜向き。
タイトル曲M5."After Midnight"は、Claptonを思い出す、なんとギターが有効なカントリー・ロック調で。
M6."The Thrill Is Gone"、M12."You Don't Know "は、ブルース調の登場でB・Bキングのヒット曲で、バックはギターが活躍。
M9."Your Cheatin' Heart "ハンク・ウィリアムズのカントリーの名曲「偽りの恋」の登場、ちょっと意外。
M10."Wild Women Don't Have The Blues"、M13."Let The Good Times Roll"と彼女の好きなブルースをParrott節で・・・。
M14." Somewhere Over The Rainbow "は、Parrottでなければ出来ないベースとヴォーカルを演ずるソロ展開。この手法、もう一曲ぐらいあっても良かったのでは。
いつも思うのだが、彼女のアルバムは嫌みが無く大きな癖もなく、適度な編曲と歌詞で旨くこなしてくれるので、非常に聴きやすい。そんなところが逆にのめり込むこともなく、逆に嫌うこともなく、ニュー・リリースごとに聴いてしまうのである。今回の特徴は、彼女の好むブルース調曲が明瞭にでているが、ジャズ展開に編曲を加えられいて、なかなか面白く新鮮に聴くことが出来た。
(評価)
□ 選曲・編曲・歌 : 88/100
□ 録音 : 88/100
(試聴) "Crazy He calls Me"































(Tracklist)

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