ディナ・デローズ Dena DeRose 「Mellow Tones」
究極のジャズ・クラブ・ヴォーカルの世界を演ずる名アルバムと言いたい
<Jazz>
Dena DeRose 「Mellow Tones」
HIGH NOTE RECORDS / IMPORT / CD / HCD7354 / 2025
Dena DeRose - vocals and piano
Martin Wind – bass
Matt Wilson – drums
Ed Neumeister – trombone (tracks 1 & 9)
米国の実力派ピアニスト兼ヴォーカリスト、ディナ・デ・ローズ(1966年NY生まれ)の2025年新作アルバム『Mellow Tones』が登場。2020年にここで取り上げたアルバム『Ode to the Road』(FCD7323)以来か、彼女はキャリア30年以上、25枚以上の録音モノを持っていて、今日の最も洗練されたジャズ・アーティストとして美的センス溢れるレコーディングで、パンデミック以来ここに戻ってきた。近年は27年間の教育者としての活動も比重が大きくなっていて、音楽と舞台芸術大学のジャズインスティテュートでジャズボイスの教授として過去19年間、オランダのフローニンゲンのプリンスクラウス音楽院、デンハーグの王立音楽院など。現在オーストリアのグラーツに住んでいる。
この待望の新アルバムは、デローズの特徴的なスウィングとセンチメンタルなバラードを披露し、「リラックスしたスウィング感を醸し出す非常にエレガントなピアニスト兼シンガー」としての彼女の評判が強調されている。そして20年以上にわたっての親密な関係のあるマーティン・ウィンド(bass ↓左)、マット・ウィルソン(Drums ↓中央)、そしてスペシャル・ゲスト・トロンボーン奏者のエド・ノイマイスター(2曲 ↓右)といったリズム・セクションをフィーチャーしていての余裕の世界が見えている。
(Tracklist)
1. In a Mellow Tone 7:41
2. Autumn in New York 4:12
3. Two for the Road 4:32
4. Stairway to the Stars 3:40
5. Only Trust Your Heart 5:36
6. Hold Fast to Your Dreams 6:56
7. Thank You for Everything 5:56
8. Maybe September 4:59
9. My Frame for the Blues 5:31
パンデミックで活動が抑制された時は、ミュージシャンの誰もがそうであったように、彼女にとっても相当のストレスであったと言われているが、もともと彼女はピアニストとしてジャズに接していたが、21歳のとき、手根管症候群と関節炎と診断され、右手に激しい痛みを訴え、ピアノを弾くのを止めざるを得なくなった。彼女は落ち込み、薬物とアルコールに頼ったという経験があり、その後、ヴォーカルを勧められた後、何度かの手術にてそれを克服したという経験があり、今回もこのアルバムがパンデミックを克服した証拠としてジャズ総決算的美学のアルバムとしてリリースされていて歓迎。
M1. "In a Mellow Tone" まさにこれぞジャズ、スタートは彼女の挨拶代わりのアカペラ・ヴォーカルにトロンボーンが追従して色を付ける。味なクラシックなジャズの良さが響いてくる。ソロ・ベースラインから始まり、しなやかなピアノ・ライン、優しいドラミングがピアノとベースの間の優しい関係を導く、スウィングしてジャズ美たっぷり。
M2. "Autumn in New York" 彼女の得意なボーカル・ジャズ・フレージングの創造的リフレッシュが効いていることで、なんと魅力的に響くことか。
M4. "Stairway to the Stars" バラード・ヴォーカルの味とピアノ・プレイの競演。
M5. "Only Trust Your Heart "近頃のステーシィ・ケントとも違った囁くようなピアノの響きと同時に歌うデローズの歌は説得力十分の語り口で納得。
M6. "Hold Fast to Your Dreams" 彼女の曲だが初登場らしい。ベースが響き渡って物語の始まりの如く開幕し、彼女の静かに説明する如くのピアノ、そして両者のユニゾンが楽しい。そして美しいゆったりと真摯なヴォーカル、次第に情熱的な姿へと進化していく。究極のジャズの美を感じさせ見事。
M7. "Thank You for Everything" M6.を引き継いで・・彼女の説得力のバラード・ヴォーカルがピアノの響きによってぐっと深く。そしてベースが更に深く説得力を発揮。 かってのよき時代の深夜の究極のジャズを演じてくれる。
M8. "Maybe September" 情景を見事に歌いこんで心情に繋げる。静かなスティック音に乗ってベースとピアノが美しい。
M9. "My Frame for the Blues " トロンボーン登場曲の二曲目、アルバムの締めだ。ブルース調でスウィングしてまさにジャズ・クラブの締めを演ずるのであった。
ジャズの本質的な世界を知らしめるべく造り上げられたようなグルーヴ感のある演奏に、年期の入ったヴォーカルの味は見事である。特に後半の数曲は、情景描写は見事でジャズの神髄に迫ろうとする深い世界のヴォーカルと演奏が聴ける。そして優美さと楽しさも忘れないところの究極のジャズ演奏に浸かれる。
(評価)
□ 選曲・作曲・編曲・歌 : 90/100
□ 録音 : 88/100
(試聴)
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