ジョー・ロヴァーノ & マルチン・ヴォシレフスキ JOE LOVANO & MARCIN WASILEWSKI TRIO 「Homage」
叙情的流れの上にインタープレイと即興の展開の楽しさ
<Jazz>
JOE LOVANO & MARCIN WASILEWSKI TRIO 「Homage」
ECM , Universal Music / JPN / UCCE1215 / 2025
Joe Lovano ジョー・ロヴァーノ (tenor saxophone except 6) (tarogato on 2, 3) (gong on 2, 3, 6)
Marcin Wasilewski マルチン・ヴォシレフスキ (piano except 4, 6)
Slawomir Kurkiewicz スワヴォミール・クルキエヴィチ (double bass except 4, 6)
Michal Miskiewicz ミハウ・ミシキエヴィチ (drums except 4, 6)
Manfred Eicher : Producer, Mixing Engineer
Maureen Sickler : Recording Engineer
Michel Hinreiner : Mixing Engineer
録音:2023年11月18日ヴァン・ゲルダー・スタジオ(米ニュージャージー州イングルウッド・クリフス)
米国のベテランのジャズ・サックス奏者、アルト・クラリネット奏者、フルート奏者、ドラマーであるジョー・ロヴァーノJoe Lovano(1952年12月29日 - ↓左)が、我が注目のポーランドのピアノ・トリオであるマルチン・ヴォシレフスキ・トリオ(クルキエヴィチ(b)とミキシエヴィチ(d)↓右)との共演で、ECMにて『Arctic Riff』(2020)に続く2作目が登場した。
このアルバムは、2023年晩秋のヴィレッジ・ヴァンガードにてスタジオ・セッションで録音されたものである。私は、もともと管モノはあまり聴かないのだが、マルチン・ボシレフスキのピアノとの繋がりとなると、なにはともあれ聴くことになったといっていいものである。ただ前作『Arctic Riff』が、叙情的な流れにある曲と演奏が印象強いので文句なく聴きたいと思うところにあった。
なお、ジョー・ロヴァーノは、ECMとの関係においては、「この作品は、マンフレートとレーベルの歴史に捧げられたものだ。僕はECMの録音を聴いて育ったんだ。ECMは僕が一緒に演奏したいと思ったモノだったし、僕に多くの方向性を与えてくれた音楽だった」と語っている。
(Tracklist)
1. ラヴ・イン・ザ・ガーデン Love In The Garden 04:11
2. ゴールデン・ホーン Golden Horn 10:18
3. オマージュ Homage 08:00
4. ギヴィング・サンクス Giving Thanks (solo tenor saxophone) 02:26
5. ディス・サイド - キャットヴィル This Catville 12: 04
6. プロジェクション Projection (solo gong) (maybe solo cymbal?) 02:01
アルバムの10分を超えるM02., M05.の長編曲2曲とタイトル曲M03.等を始め、一曲以外ロヴァーノのオリジナル曲だ。ロヴァーノがテナー・サックスとタロガトー(ソプラノ・サックスと似ている)を使い分け、又さまざまな打楽器をも交えている。
タイトル曲"Homage "は、2023年の「ECM祝賀会」のために、マンフレート・アイヒャーの80歳の誕生日を祝う為に作曲したもの。そこでは、アヴィシャイ・コーエン、ティグラン・ハマシアン、ナシート・ウェイツとのカルテットでこの曲を演奏した。そしてこのアルバムでは、過去から繋がりがあり、そのセンスと技量を認めているマルチン・ヴォシレフスキ・トリオとの共演にて、造り上げたもので、この曲を中心にこの2度目の共同挑戦において、特に冒険心が前作より一歩前進している。前作に息づいていた叙情的流れを基に、ロヴァーノはトリオとの共演を通じて、自由に流れるようなインタープレイと即興の展開とそのパッセージの流れの彩をさらに探求している。
一方、ヴォシレフスキは、自己のトリオとロヴァーノとの関係では、「ジョーとは最初から意気投合していたんだ。それは自然なことだった。彼は、その瞬間に飛び込んで、聴いたものは何でも一緒に演奏するタイプのミュージシャンだ。何年にもわたって一緒にツアーをすることで、ステージの上でも外でも、このつながりはさらに強くなった。彼の気さくさと自発性によって、真の音楽的対話が実現したのだ」と、語っている。そこには彼らの希有の表現力と精神的な意味での共調性がこのセッションの価値を高めていて、とりわけ冒険的な精神を抵抗なく発揮している。
冒頭のM01." Love In The Garden"は、ヴォシレフスキの提案の曲のカヴァーだが、前作の流れを感じさせ、ロヴァーノのふくよかにしてソフトなトーンのテナー・サックスの響きは、けだるさや物憂さも見せながら、「哀愁の歌心」にしっかり根ざした耽美性を描く。そして耽美性では負けないヴォシレフスキのピアノが、情景の印象を更に増すが如く流れる。
10分以上の長編曲M02." Golden Horn"では、ロヴァーノのソフトなテナー・サックスの響きはパワーが加わり、ヴォシレフスキのピアノは、ダイナミズムの溢れる弾奏を展開しアヴァンギャルドなスパイスを聴かせる。中盤にロヴァーノはマルチン・ボシレフスキ・トリオによる即興的な曲展開を促し、そしてトリオは、自由にこの曲のイメージを作り上げる即興の妙を演じて味わい深い。
又一方のM05."This Catville"の長編曲では、様相が変わって冒頭からのサックスとドラムスのインタープレイが面白く、中・後盤ではヴォシレフスキのピアノが前衛性を発揮。
タイトル曲M03. "Homage" の冒険性とアヴァンギャルドな展開はスリリングさもあって、ここでは稀有な曲であるが、アルバムの多様性にも貢献している。
M06." Projection"は、サックス、ピアノ、ベース無しでのロヴァーノのソロでの世界(打楽器による)で、彼の体のリズムだと言う。これでこのアルバムを締めくくる。
このアルバムは録音がなかなか良い。特にサックスの音は、中心でありながらもあまり前面に出るでなく少し後退している位置で広く響くスタイルをとっていて聴くに抵抗ない。トリオもただ広がるのでなく中央よりでありながらホール感の中にいて聴きやすい。そして音質も良く、これはなかなかの録音として高評価したい。さすがアイヒャーの元でのミックスも見事である。
(評価)
□ 曲・演奏 : 90/100
□ 録音 : 90/100
(試聴)
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<参考2>









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