コンラッド・パシュクデュスキ Konrad Paszkudzki trio「 Putting'On The Ritz〜Irving Berlin Songbook」
伝統的なアメリカン・ジャズのスウィングの流れに現代性が見える世界
<Jazz>
Konrad Paszkudzki trio「 Putting'On The Ritz 〜Irving Berlin Songbook」
Venus Records / JPN / SACD / VHGD-10027 / 2026
コンラッド・パシュクデュスキ Konrad Paszkudzki - piano
ディラン・シャマト Dylan Shamat - bass -
ダグ・マーカス Dag Markhus - drums
Produced by Tetsuo Hara
Recorded at Trading 8s Recording Studio, Paramus, NJ
on August 27th and September 16th , 2025.
Engineered by Chris Sulit
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara
ここで取り上げるは、正統派のジャズ・ピアニストと言われるNYで活躍中のコンラッド・パシュクデュスキKonrad Paszkudzki (→)が率いるトリオによる “Irving Berlin Songbook” というシリーズ的作品。これは米国の歴史的偉大な作曲家に捧げるシリーズ(2017年より)の第7集と言う事になるようだ。過去には、ガーシュイン、コール・ポーターなどを取り上げ、トリオ・メンバーも不変(ディラン・シャマトDylan Shamat (bass, ↓左) 、ダグ・マーカスDag Markhus (drums, ↓右))で、今回は"アーヴィング・バーリンIrving Berlin (1988-1989)"を取り上げている。私自身はこのシリーズには特に接してこなかったのだが、ここまで続けて築き上げているシリーズということだと、やっぱり尊重しつつ聴いてみたいと言うことになるのだ。
ピアニストのパシュクデュスキは、名前からしてなんとなく想像は付くのだが、彼はポーランド出身である。そしてオーストラリア育ち、15歳から大学で学び、18歳で学位を取得する天才ピアニスト。そして現在ニューヨークで活動中だが、Venusレコードで活躍中のあのニッキ・パロットの紹介があって、こうしてVenusからアルバム・リリースしていると言う事だ。
(Tracklist)
01 Count Your Blessings
02 What'll I Do
03 I Used To Be Color Blind
04 Let's Face The Music And Dance
05 Change Partners
06 No Strings
07 The Best Thing For You
08 I Love A Piano
09 Puttin' On The Ritz
10 Isn't This A Lovely Day
11 The Best Things Happen While You're Dancing
12 Be Careful, It's My Heart
13 Always
やはり原曲を意識しての全体的に懐かしのクラシックなジャズのイメージが湧いてくる。ピアノ・トリオで粋なスウィングが溢れて抵抗なく聴くことが出来る。そしてただノスタルジックに演ずるので無く結構テンポやリズムは現代的。曲のイメージの仕上げは"ロマンティックでエレガント"で、飾りが多くならずメロディの美しさを最大限に演じ、タッチは重くならず、トリオ全体が軽やかにスウィングする心地よさが全編を通して充実している。
つまり古典的ジャズに対しての「革新性」の追求というよりは、洗練されたリズム感にてのアメリカン・スタンダードの美しい旋律を呼び起こして、スウィング感の尊重と、ピアノ・トリオの三位一体の追求を試みているとみることが出来た。
M01." Count Your Blessings" 穏やかな幕開け。「歌心」がストレートに演じられて聴く方の気分を良くしてくれる。
M02. "What'll I Do" なんとなく切ないメロディが迫るバラード。ピアノ美しさが曲の全編に流れる。
M03. "I Used To Be Color Blind" 中音域の響きが豊かで展開も快調。
M04. "Let's Face The Music And Dance" 小気味よい前進するテンポ。トリオの息の合ったところが粋で快感、聴き慣れた曲をジャズとして堪能できる。
M05. " Change Partners" ピアノが哀愁を帯びたメロディをほぼ演じきるが。ベースラインの支えがジャズとしてのスリリングな味を出す。
M06. "No Strings" 軽快に弾むようなスウィング感。
M07. "The Best Thing For You" アップテンポで快調、ピアニストの流れる演奏が冴える。
M08. " I Love A Piano" ピアニストも曲に酔っての演奏で、その遊び心も楽しめる。
M09. " Puttin' On The Ritz" アルバム・タイトル曲。 都会的センスが響き、このトリオの現代性を込めての快演。
M10. " Isn't This A Lovely Day" 懐かしの時代の明るさが目に浮かぶ。
M11. " The Best Things Happen While You're Dancing" ドラムのブラシワークに乗って。
M12." Be Careful, It's My Heart" ベースが詠う世界と弾むピアノの繊細さが妙に合っている。
M13. " Always" 快適なリズムと快感のピアノの音、トリオの乱れぬ演奏が聴き処。
やはり「粋なスウィングの楽しさ」と言うのが、よき時代からのジャズ世界の味だというのがよく解る演奏で、多岐にわたるジャズ・アルバムを聴いている中で、こうした世界にふと現代的なアプローチで帰ってみるのはなかなか良い事だと思わせる。
私が何時も偏って聴く「北欧的世界」、「ECM的な流れ」、「イタリア的な歌心・メロディ」、「クラシックがベースにあるポーランド流ジャズ」などなどから、ふとこの「アメリカンな軽妙なスウィング・ジャズ」も、時には良いモノだと聴いた次第である。
特にこのトリオの演奏は、技巧に酔って難解に流れることなく、聴きやすさに溢れているところが又一つの良かった点でもあると評価したい。
(評価)
□ 選曲・編曲・演奏 : 88 /100
□ 録音 : 88 /100
(試聴)













































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