ロベルト・オルツァー Lorenzo Cominoli 、Roberto Olzer 「Dreams of Others」
とにかく気品すら感ずる優しさとドリーミーな静謐さが魅力の演奏
<Jazz>
Lorenzo Cominoli 、Roberto Olzer 「Dreams of Others」
Abeat / Import / ABJZ289 2026
Lorenzo Cominoli - guitar
Roberto Olzer - piano
イタリアの注目ジャズ・ミュージシャンのギタリスト・ロレンツォ・コミノリ と、私の期待株のピアニスト・ロベルト・オルツァーによる2020年の成功作『Timeline』(ABJZ218)に続いての新デュオ作品の登場。彼らは前作で既に評価を勝ち取っていて、作曲と編曲において類まれな才能を発揮しているオルツァーはインターナショナルにファンを獲得してきているし、コミノリはクラシックをベースとしての独創的でありながら、その叙情性には定評がある。両者は簡単に言うと個性的で有りながら心に響く演奏を聴かせてくれるので、当然今回も大いに期待されるところにある。
日本では、特に澤野工房が、オルツァーRoberto Olzerには以前から注目して力を入れてきたので、広く知るところであるが(ここでも彼のピアノ作品を取り上げてきた)、1971年イタリア生まれで、ヨーロッパジャズの巨匠エンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)に師事し、ピアノのタッチの優しさ、叙情性たっぷりの美しいアドリブが聴き処で、やはりクラシックの基礎があっての端正な演奏を聴かせるピアニストだ。代表作はピアノトリオ作品『Steppin’ Out』(2012年)
一方のギタリスト、ロレンツォ・コミノーリ(Lorenzo Cominoli)も、クラシックとジャズを並行して研究してきた演奏家/作曲家。ジャズギターはバークリー音楽大学でギャリソン・フェウェル(Garrison Fewell)に、さらにイタリアのジャズギターの巨匠サンドロ・ジベリーニ(Sandro Gibellini)にも師事してきた。代表作は『City of Dreams』(2017年)など。
(Tracklist)
01.Dreams of Others (Bernardo Sassetti) 04:43
02.St. John’s (Lorenzo Cominoli 04:09)
03.Energy Flow (Ryuichi Sakamoto) 03:58
04.Pulse (Roberto Olzer) 06:18
05.Ninna Nanna per Margherita (Lorenzo Cominoli) 03:28
06.Elm (Richie Beirach) 05:53
07.El noi de la mare (Miguel Llobet) 01:32
08.Tomorrow’s Dawn (Lorenzo Cominoli) 05:28
09.No potho reposare (Giuseppe Rachel) 03:23
コミノリ3曲、オルサー1曲のオリジナル4曲と、世界的な作曲シーン(坂本龍一、リッチー・バイラーク、ミゲル・リョベート、ジュゼッペ・ラチェル、ベルナルド・サセッティ)から集めた楽曲をミックスし洗練された編曲で9曲が聴ける。
又、2楽器のデュオであるため、それらの音がリアルに聴き取れる為、最も要求の厳しいオーディオマニアにも受け入れられるべく、完璧なサウンドを追求されての録音として聴き取れるところが嬉しい。今回はデジタル・リリースされたモノを聴いているが、24bit48kHzのハイレゾ音源で楽しめる。
なんと言っても嬉しかったのは、私の好きなRichie BeirachのM06."Elm"の登場だ。ピアノの音が私には印象の曲だが、このデュオではやはり美旋律はギターに寄っていて若干残念だが、曲の美しさは優しく美しいギター音色で完璧、そしてピアノのアドリブが又美しく納得。
アルバム・スタートのM01."Dreams of Others"は、タイトル曲であるだけに、夢見る心地ので叙情的な幕開け。ギターとピアノによる静謐な旋律演奏が交互に現れとにかく美しさが印象的だ。
コミノリの曲のM02."St. John’s"なんとなく牧歌的、M05."Ninna Nanna per Margherita"も同様で優しさ溢れていて、M8."Tomorrow’s Dawn"は希望的感覚の世界で美しい。
オルツァーのM04."Pulse"は、躍動感あるピアノとギターとのデュオらしい展開が芸術的。
最後のM09."No potho reposare"では、落ち着いたギターの響きでのちょっと哀感のある纏めかただ。
どこか気品の感ずるコンテンポラリー/モダン・ジャズといった世界で、ギターとピアノによる緊密なインタープレイが中心で掛け合いが無理のない自然で聴くに抵抗がない。そしてメロディックで所謂叙情性が高く、静的な美しさと即興の展開が旨く共存している。心安まるアルバムだ。
(評価)
□ 曲・編曲・演奏 : 88/100
□ 録音 : 88/100
(試聴) "Elm"




































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