ブッゲ・ヴェッセルトフト Bugge Wesseltoft 「Am Are」
アコースティックからエレクトロニクスを駆使して、それぞれの特殊性を演じ新しい潮流を作り上げる
・・・・その多様性の複数セクションの登場
<Contemporary Jazz>
Bugge Wesseltoft 「Am Are」
JAZZLAND / IMPORT / CD / 規格番号 3779705 通販番号 1008991662 / 2025
Bugge Wesseltoft- Piano, Synthesisers, organ, Fender Rhodes
Elias Tafjord - Drums
Rohey Taalah - Vocal
Martin Myhre Olsen - Saxophone
Arild Andersen - Acoustic Bass, Effects
Gard Nilssen - Drums
Sveinung Hovensjø - Electric Bass
Jon Christensen - Drums and Bells
Jens Mikkel Madsen - Acoustic Bass
Øyunn - Drums
Oddrun Lilja - Guitar
Sanskriti Shrestha - Tablas, Harp
All songs recorded in Buggesroom by Bugge Wesseltoft and mixed by Ulf Holand at Holand Sound, except:
“Am Are” and “Jazzbasill” recorded and mixed in the Village Recording, Copenhagen, by Thomas Wang.
“Bag” and “Reel” recorded and mixed in Rainbow Studio, Oslo, by Martin Abrahamsen.
Mastered by Helge Sten at Audio Virus LAB.
Produced by Bugge Wesseltoft.
ノルウェーのジャズ・ピアニスト、ブッゲ・ヴェッセルトフト(1964年生まれ)の2025年新作アルバム登場。彼はキーボーディストとしてアコースティクからエレクトロニクスに広く通じ、ミュージック・スタイルもロック、ジャズ、クラブ・ミュージックなどを熟し、エレクトロ/ アンビエント/ テクノとジャズを融合させる新しい潮流を創り上げた。そして彼独自のジャズ表現を形作ってきており、私の最も注目のミュージシャン。具体的にはそれぞれ特徴あるソロ・アルバム、そして「New Conception of Jazz」、「Rymden」、「OKWorld!」 などのグループ 活動、更にSidsel Endresen、Henning Kraggerud、Henrik Schwarz 等とのコラボなどと多彩、過去にもここでいろいろと何回か取り上げてきているが、1997年の『It's Snowing On The Piano』(ACT920-2)以来私は虜になっている。
(参考:https://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/cat69900516/index.html)
そして近年はピアノ・ソロ・アルバムが多かったが、今回のこの『Am Are』は、彼の異色の世界そのものが凝縮されたと言える世代を超えて又いろいろなスタイルを演ずるミュージシャンをフィーチャーして特別な集団を作り上げていて、「音のテクスチャ、ムードとスタイルのダイナミックなコントラストを探求し、まばらなアレンジからダブとループの複雑なレイヤー、即興の相互作用まで多岐にわたる」と評されていて、まさにその通りである。従ってこのアルバムには、ヴェッセルトフトが共演者に刺激を与え、そして彼らの反応から刺激を受け、それを一つの世界に構築すると言うそれぞれの特徴持ったセレクションを収録しているという極めて異色の作品集となっている。
(Tracklist) 曲によりクレジットされているミュージシャンが異なるので下参照
(クリック拡大)
1.How?, 2.ReiN, 3.Is Anyone Listening?, 4.BAG, 5.Reel, 6.Render, 7.Vender, 8.JazzBasill, 9.Am Are, 10.ThinkaHeaD
All songs by Bugge Wesseltoft, except “Is Anyone Listening?” - lyrics and music by Rohey Taalah and Bugge Wesseltoft; Vocal/Sax arrangement by Martin Myhre Olsen.
“Render” and “Vender” by Wesseltoft, Hovensjø and Christensen.
とにかく聴きごたえ十分というか、圧倒されるというか、気持ちを高揚させてくれる。それは私にとっては昔プログレッシブ・ロックが台頭して、クラシック、ジャズ、ロックの感動を演じ上げた特異なロック現象を好んで聴きこんだという若き頃の私の感覚に若干共通した感覚で対峙したところである。アコースティック・ジャズを演じ、そしてエレクトロニクスを取り込み、北欧の世界に流れる歴史的民族性に迫る音楽をも演じ、彼の多様性の極みの成果がここに凝縮している感がある。
アルバムは、Wesseltoftがソロで演ずるM1."How?"から始まり、静かにシンセが流れ、美しい旋律のピアノが前面に出て、落ち着いたミニマルな演奏の響き、物語の始まりのような展開。
M2."reiN"では、ドラムのE.Tafjordが加わり、Wesseltoftのシンセサイザーとピアノが複雑に流れる。なかなか状況表現の繊細でいてダイナミクスのあるドラムスがややアヴァンギャルドな世界を後押しする。
M3."Is Anyone Listening?"は、ソウフルな曲だ。Rohey Taalah(→)のヴオーカルが一層その流れを深める。パーカッシブなピアノの音が面白い。M.M.OlsenのTSが優しくアクセントを効かせ、退廃的な独特な美しいヴォーカルを押し上げる。
M4."BAG"は、B.Wesseltoft(ピアノ、シンセ,↑上段左)、A.Andersen(ベース, ↑上段中央)、G.Nilssen(ドラム, ↑上段右)のクラシックなピアノトリオがここで初めて登場。快適なテンポからベースとピアノのユニゾン効果が響き、次第に美しいピアノの流れに入る。そして続くM5."Reel"もこのトリオ2曲目、静かに不安の感ずるベースの流れにドラムスの金属音が響き、おもむろにピアノがメロウに語る都会的ダウンビートの展開。ぐっと深く本領発揮だ、聴き入ってしまう。
続くは、Wessltoft(ローズ、コルグMS20シンセ)、S.Hovensjø (エレクトリックベース, ↑下段左)、J.Christensen(ドラム、ベル, ↑下段左から二番目)の別の2番目のピアノトリオが登場。これが又まったく異なる世界で迫ってくる。最初のトラックM6."Render"では、異様な世界をエレクトリックな音でダイナミックでありながら深く沈み深淵に描く。M.7"Vender"もこのトリオで、コンテンポラリーの極み。エレクトリック・キーボードの流れとベースが延々と続くドラムマシンのループに絡み合う様が魅力。
M8."JazzBasill"は3番目のピアノトリオで、J.M.Madsen(アコースティックベース,↑下段右から二番目)、女流ドラマーØyunn(↑下段右)とのトリオ。洗練されたクラシックなピアノ・トリオ・スタイルを聴かせる。リリカルでありなから、ジャジーなスイングもしてみせる。同メンバーでのM9."AM ARE"は、アルバム・タイトル曲、メロディを聴かせる静かな夜のジャズ。
M10."Think Ahead" 最後に異色な構成のトリオ(Wesseltoft(ピアノ、オルガン)、O.Lilja(ギター)、S.Shrestha(タブラ、ハープ))が登場。静かなミニマムな流れのピアノにギターがサポートして、中盤では3者での自然界の荒々しさを抽象的に響かせ、最後はギターとピアノで未来志向に纏める憎い終わり方。
とにかくアルバム3枚以上聴いたような多様な世界に引き込まれる一枚である。ブッゲ・ヴェッセルトフトの幅広さと二面性というか三面性というか、アコースティックとエレクトロニックな世界を対比し、彼のピアノやシンセ等のキー・ボードにて共通性・統一感を築き、一つのアルバムとして仕上げた多面な世界が凝縮されていて、圧巻の世界。
録音が又素晴らしく、それぞれの多様なミュージシャンの演ずる音がクリアに聴き取れてリアルである。これは私の評価だと今年度のトップクラスというところに位置づけられる恐ろしいアルバムだ。
(評価)
□ 曲・演奏 : 90/100
□ 録音 : 90/100
(試聴)
"Am Are"
*
"Render"































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