ローレン・ヘンダーソン Lauren Henderson 「Sonidos」
スタンダードもヘンダーソン節で・・・ラテンとジャズの絡みが聴きどころ
<Jazz>
Lauren Henderson 「Sonidos」
(CD) BRONTOSAURUS RECORDS / IMPORT / BR2501 / 2025
Lauren Henderson - vocals
Joel Ross - vibraphone
Sullivan Fortner - piano
Dezron Douglas - double bass
Joe Dyson - drums
Guests:
Luisito Quintero - percussion on #10
Eric Wheeler - bass on #3, 4, 12-14
私の期待するなんとも魅力的な歌声で歌い上げる人気女性ヴォーカリストのローレン・ヘンダーソンの待望の2025年作品。私が彼女の歌に初めて接したのは2012年アルバム『LAUREN HENDERSON』の"Veinte Aňos"という曲であった。そしてお気に入りになってアルバムを仕入れたのは、2019年アルバム『Alma Oscura』(BSR201901)だった。これに関しては寺島靖国氏が気に入ってアルバム『For Jazz Vocal Fans Only Vol.4』に取り上げているが、それ以来彼女のアルバムはTerashima レコードで取り上げてきたのだが、どんな事情か今回はどうもBRONTOSAURUSレコードで輸入CDだ。
いずれにしてもアメリカ人(マサチューセッツ出身)だが、ルーツはカリブ海にある彼女らしく、R&Bにラテンやフラメンコ、アフロカリビアンらの音楽要素がしっかりと歌われ楽しませてくれる。そして時には以前からスペイン語も交えてエキゾチックさと、なんとなくセクシーなところもあってヴォーカル・ファンを刺激するのだ。今回もそんな彼女の魅力が盛り込まれてのなんと16曲、サービス満点のアルバムに仕上がっている。
(Tracklist)
1.Vida 4:18
2.Bold 3:28
3.Si Nos Dejan 3:37
4.Love Is Here To Stay 4:14
5.Flight 2:50
6.Luna 4:48
7.On The Street Where You Live 4:44
8.Let's Face The Music And Dance 3:37
9.This Time The Dream's On Me 4:02
10.Soledad 3:32
11.Sounds 3:24
12.Ola 2:28
13.Truth 2:12
14.Trouble 2:43
15.La Llegada 2:19
16.Sonidos 3:22
このアルバムは、過去のアルバムと比較すると諸々の意味に於いて若干刺激度は低いかもしれない。しかしLauren Henderson にとって非常に完成度の高い作品と見なされている。それは彼女の持ち味であるラテン・ジャズ的要素とジャズ・スタンダードを融合させるというアプローチが、なかなかうまくいっていると言って良いのかもしれない。
しかしラテンの持つ明るさよりは、今回はちょっと全体に若干「哀愁」を帯びた印象という感想も持つことが出来そうだ。もともと彼女のルーツの社会的問題の影があることは、過去のアルバムでも知るところであって、私自身がそんな見方をするためかもしれないが。
表現力とか訴える力は相変わらず高い。 ぐっと静かな語り口から語るような演出、抑制と情感のコントロールは相変わらずの評価点。 演奏陣との関係においては、Sullivan Fortner(p,↓左)や Joel Ross(Vib↓左から2番目)、Dezron Douglas(b,↓左から3番目)、Joe Dyson(d, ↓右) をはじめとするミュージシャンの彼女の目指すところの理解度は相変わらず高く、曲の表現に彼らの果たす役割も大きい結果をもたらしている。



M1."Vida" このアルバムを紹介するようなラテン・ナンバーが心地よく響く
M2."Bold" 彼女の生涯のテーマでもある逆境に対しての困難な状況やストレスに直面し、そこから立ち直り、回復しようとする心を歌っているらしい。
M4."Love Is Here To Stay" いつもは彼女の一人ハーモニーが美しいが、ここではアカペラに近いヴォーカルと、バックの静かにして品のある演奏が光る。
M5."Flight" ビブラフォン始めクインテット編成が生きていてスウィング感も。
M6."Luna" 静かな美しいバラードが素晴らしい。このアルバムの一つの頂点。 ラテンとジャズの因子が繊細絡んで響き感動的。
M8."Let’s Face the Music and Dance" ここに聴き慣れたジャズ・スタンダードを自然に溶け込こまして優しく歌う。それにビブラフォン、ピアノ 即興ソロが美しい。
M9."This Time The Dream's On Me" 得意の彼女自身のバック・ヴォーカルも絡むハーモニーが優しく美しく。
M10."Soledad" ぐっとラテンタッチが生きた曲。ゲストの Luisito Quintero による打楽器が彩りを加える。
M11."Sounds" これはアルバム・タイトル曲のM16."Sonidos"の別バージョン、スペイン語歌唱を交えて、浮遊するが如くの歌声。雰囲気・情感たっぷりの世界。やはり彼女のハーモニーの歌声をラテンタッチの落ち着いた世界で締める
彼女のアルバムはやはり彼女にしか無いヴォーカルが魅力だ。今作はかなり感情を抑えているが、そこがむしろある意味哀感があり響いてくる。ちょっとマニヤックな感がある作品であるが、聴きこむにつれて味が出てくるところはさすがである。
強いて問題点を挙げるとしたら、短いトラックの曲がちょっと多すぎたかなぁと、一曲をじっくり聴きたかった。又、今回はインパクトという面ではちょっと弱かったのではないかとも言える。しかし逆にそのスタイルに敢えて今回は挑戦したのかもと想像したりもする。つまり万人受けよりは、繊細な深みのある表現性を重視しての音楽作品としての価値を狙ったアルバムと考えられ、やっぱり彼女のヴォーカル・アルバムは一筋縄では語れないと言っても良いところにある。 それぞれの曲の本質と歌う内容をもう少し研究すると、意外に彼女らしい世界が見えてくるのかもと・・・ふと思ったりしている。
(評価)
□ 曲・編曲・歌 90/100
□ 録音 88/100
(試聴)



























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