アーロン・パークス AARON PARKS 「By All Means」
アコースティック・ジャズ指向に回帰してのジャズの美しさと楽しさと感謝と
<Jazz>
AARON PARKS 「By All Means」
BLUE NOTE Records / Import / 7837202 / 2025
アーロン・パークスAaron Parks (piano)
ベン・ソロモン Ben Solomon (tenor saxophone)
ベン・ストリートBen Street (bass)
ビリー・ハートBilly Hart (drums)
アーロン・パークスAaron Parks(1983-, 米 →)のブルーノート3枚目となるアルバムがリリースされた。彼は、ここでも何回か取り上げてきた私の注目するピアニスト。編成は、2017年にリリースした『Find the Way』(ECM、2017年)で共演していたが、今回そのトリオと再びプレイしたいというアーロンの願いのプロジェクトのベン・ストリートBen Street (b, 1965-, 米 下左)、ビリー・ハートBilly Hart(ds, 1940-, 米 下中央)とのトリオ編成に加え、新進気鋭ベン・ソロモンBen Solomon (ts, 米 下右)を迎えた新たなカルテットによるものだ。
そしてベン・ストリートとの共同プロデュースの形をとっていて、ヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴをきっかけに急速に実現したとのこと。もともとこのピアノ・トリオの美しさと収録曲はパークスの作曲されたモノだけに、美しさが期待される。ソロモンのtsは、パークスの言葉によると「"ここに管楽器を入れてみたいな”と思ったのは、私はコンピング(伴奏)が大好きだし、単に自分がバンドをリードしていくだけではなく、ピアノのサウンドがバンドの一部になっているように響くのも好きなんだ。」と言う事らしい。さてどんな役割を果たすかが注目される。
本作について、アーロン・パークスは「この作品が過去のアルバムと全く異なるものだとは思っていない。これはジャズの伝統、ブラック・アメリカン・ミュージックの伝統を愛するレコードで、それはノスタルジアや保護ではなく、その系譜や連続性の中で生きるということを意図しているんだ。アルバム・タイトルもそれを意味していて、それは大きな肯定であり、『パーティに参加しよう』という意思表示なんだよ。そして何よりも一緒に演奏すること、曲の中で互いに即興で演奏することの喜びがテーマとなっていて、ただ音楽を愛することについて表現しているんだ」と語っていると。
これは、音楽の方向性として 直近作の『Little Big Ⅲ』などで見せたエレクトリック/融合志向からは一転して、今作は伝統的なアコースティック・ジャズ/ポスト・バップ志向ということで、パークス自身によれば、「ジャズ/ブラック・アメリカン・ミュージックの伝統の中で生きる」という事で、私自身も実はほっとしてこのアルバムに興味を持ったところである。
(Tracklist)
1.A Way
2.Parks Lope
3.For María José
4. Dense Phantasy
5.Anywhere Together
6. Little River
7. Raincoat
このアルバムは、結論的にはアーロン・パークス自身のルーツに回帰して、所謂ジャズの伝統のアメリカン・ミュージックの歴史と遺産に敬意を払いながら、「今」を生きるミュージシャンとして作り上げた静かで美しい作品ということになる。ピアノ・トリオに止まっていないで、今回はtsを加えてのカルテットであったが、これも体勢を評価しての彼の実験でもあったろう。私としては無理にtsを加える必要があったのかと言いたいが、そこにはミュージシャンの技巧や斬新さよりも、今様のスタイルを評価しての“演奏や即興の喜び”を聴く者の期待も優先して、その結果としてのスタイルだったと推測する。そして生まれたものは、音には柔らかさと暖かさと、未来希望思考が描かれている。
M1."A Way" 自分を見つめるこのアルパムは、ちょっと内省的な傾向を持つが、このルバートを加味したバラードで幕を開ける。ハートの巧みなブラッシさばき、ストリートのベースは情景を描き、パークスの美的なピアノの質感がなんとなく親密な世界を築いている。そこに問題のソロモンのサックスだが、思いの外音色がトリオの思索的な流れに優しく乗って感情の表現に貢献している。
M3."For María José"(妻へ)、M4."Dence Phantasy"、M6."Little River"(息子へ、子守歌として作られたとか)といったバラード曲のトラックは、ピアノの優しさ溢るる音とメロディーでParks の家族への感情を感謝の気持ちも込めて演じられ、温かさと優しさ、抒情性が強く感じられこのアルバムの良さを感じられるところ。
一方、パークスが若き十代に作曲したM5."Anywhere Together"は、リズムセクションのエネルギッシュな活気性とそのスウィング感あふれる活力は、このアルバムでも両極の一方を担って楽しくしている。巧みなシンバルアクセントとダイナミミックなハートのドラムは、このアルバムの中でも印象的。
ラスト曲M7."Raincoat"は、ちょっとリラックスして、ラテンっぽいリズムをストリートとハートが抑えた演奏で進行し、どことなく平和感のあるピアノとサックスで落ち着いた曲。
音楽的には、ややスローなテンポで流れるバラード調。サックスが吹きまくるというので無く、落ち着いたサックスとピアノの対話的演奏などが主力で、“優しさ”と“感情の深み”をたたえるジャズだ。夜や深い思索の時間に“静けさと余韻”、"抒情"を楽しみたい時などにしっくりくるアルバムだと思う。
(評価)
□ 曲、演奏 : 88/100
□ 録音 : 88/100
(試聴) "Dence Phantasy"

















































最近のコメント