ロジャー・ウォーターズ フェアウェル・ツアー「THIS IS NOT A DRILL」
ウォーターズのメッセージと訴えのフェアウェル・ツアー・ライブ公式版リリース
一貫した「RESISTの精神」
<Progressive Rock>
Roger Waters 「THIS IS NOT A DRILL - LIVE FROM PRAGUE」
Sony Music Japan International(SMJI) / Blu-spec CD2, Blu-Ray1 / SICP-31780 / 2025
収録:2023.5.25(PRAGUE)
(バンド・メンバー)
ロジャー・ウォーターズ(vo, bass, guitar)、ジョナサン・ウィルソン(guitar)、デイヴ・キルミンスター(guitar)、ジョン・キャリン(piano, keyboard)、ガス・サイファート(guitar, bass)、ジョーイ・ワロンカー(drums)、ロバート・ウォルター(organ, keyboard)、シャネイ・ジョンソン(backing vo)、アマンダ・ベルエアー(backing vo)、シーマス・ブレイク(sax)
"ピンク・フロイドの頭脳"=ロジャー・ウォーターズ(1943年生まれ→)のフェアウェル・ツアーと言われた『This Is Not A Drill これは訓練ではない(これは現実だ)』ツアーは、『US+THEM』ツアー(2017-8)以来4年振りの大規模ツアーで、2022年7月6日米ピッツバーグよりスタート、2023年12月9日エクアドル・キトまで、ヨーロッパ、北米、南米で全99回のショーが行われたもの。
そして2023年5月25日のプラハのO2アリーナのその映像による模様は、世界50ケ国1500館以上で生配信された。それを録画したものを、既に2年前(2023年)ここでオフィシャル映像版のブートレグ「THIS IS NOT A DRILL : LIVE FROM PRAGUE」を紹介したが、今回は再び全世界での映画館配信(ソニー・ミュージック・ヴィジョン&トラファルガー・リリーシング配給によるライヴ・フィルム)して、その上での映像、音源の公式版がリリース(2CD+BDの3枚組セット=このセツト版は日本のみ)されたものだ。内容は映像に関しては、プロショット収録されたモノと言う事は共通だが、マルチ・カメラで撮影されているので、2023年のブート版は、リアルタイムに収録していたモノを世界の劇場用に流したモノで、今回のオフィシャルものはそれなりに時間をかけて編集して造られたもので、比べるとかなり別の面からのショットも多く見れて更に充実した感がある。
今回もチェコのプラハでの収録が選ばれているが、彼にとってもプラハはそれなりに重要な都市であることが伺える。「プラハの春(1968)」(→)に代表される市民の民主運動の地であることが、ウォーターズにとって大きな意義を持っていると思われるのだ。私はまだ共産圏であったこのチェコのプラハを訪れたことがあったが、それは1980年で、1979年末のピンク・フロイドの『THE WALL』リリース直後であった為、若きモノ達が多くが集まってアルバムの曲"Another Brick In The Wall"を大音響で流して歌い踊っていたのを思い出した。当時は自由主義圏のロックは禁じられていた共産圏のプラハだが、おそらくチェコ政府側も目をつぶって放置していたのではと当時推測したのであった。ここで踊り歌っていた若者も、今は65歳ぐらい以上になるのだと思うが、そんな長い歴史の経過でウオーターズは自分の主張を続けているのである。
今回のこの「This Is Not A Drill」のライブは、かってのナチをイメージするシーンがあるので、ドイツでは禁止の通達が出たが、なんとエリック・クラプトンを筆頭にミュージシャン達の「禁止取り下げの運動」が起こり法廷で"禁止は違法の判決"が出たというウォーターズ側の勝訴の経過もあった。しかしポーランドでは、ウォーターズがロシア・ウクライナ戦争に対して、戦争否定の主張で"双方に問題がある"と国連で主張したので、開催を認めないという事もあった。
ウォーターズはこのライブで、シド・バレットと大学入学を志した時からの自己のピンク・フロイドのバンド結成に至るところを回顧し、そして彼の書いたピンク・フロイドの最後のアルバム『Final Cut』(1983)の最後の核兵器の恐ろしさを歌った曲"TWO SUNS IN THE SUNSET"までを演じ、自己のソロ時代の曲を交えて一貫しての"RESIST WAR"を訴え、曲"sheep"で、"RESIST CAPITALISM","RESIST FASCISM","RESIST GENOCIDE"をも訴えている、まさに政治色のライブになっているのだ。そして最初から最後までの23曲に於いて計算して組み合わされており、一貫してその「RESIST精神」を描いているところが、類を見ない彼の凄さである。
又面白かったというか興味あるのは、彼がロック・ミュージシャンとしてボブ・デランを尊敬しているという話で、これもうなずくところであった。
この映像版においては、ステージ・バックに流れるメッセージ、又歌詞、そしてウォーターズの話などの日本語訳がついていて、サービス満点。このウォーターズの最後の大規模ライブの意義を十分に伝えている。そして今回の新曲"The Bar"では、現状の彼の考えをまとめ上げ、更に今の女房との関係などの心境をも語りそして歌っている。
いずれにしても見事なライブのオフィシャル版がリリースされたことは大歓迎だ。特異なのは、ステージはアリーナの中央に設置されていることである。そしてスクリーンも四方八方から見れるように作られている。そしてそこにはリアルな映像と、この難題の山積みの世界に疑問を投げる重要なメッセージが映し出される。そして曲"Sheep"では羊が会場の中を舞い、曲"In The Flesh"では、例の豚が飛ぶ。圧巻の会場操作だ。
このライブのその他詳細はこのブログに書いた"過去の私の記事"に譲ることして、とにかくこの時80歳(今年82歳)になるウォーターズの健闘ぶりにお祝いを述べたいところである。
(評価)
□ ライブ内容・演奏 : 90/100
□ 音質・映像 : 90/100
(試聴)
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